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売上を追い求めるのか、利益を重視するのか
現代のビジネス環境では、中小企業が売上を伸ばすのは決して簡単な話ではありません。市場は成熟し、競争は激化し、消費者の購買行動も変化しています。そんな中で、「とにかく売上を伸ばさなければ」と焦るあまり、利益を犠牲にしてしまう企業も少なくありません。
もちろん、売上を増やすこと自体が悪いわけではありません。しかし、ただ売上の数字を追いかけるのではなく、「その売上がどれだけの利益を生み出しているか?」という視点を持つことが、長期的に会社を成長させるためには欠かせません。
ここでは、なぜ売上だけを重視するのが危険なのか、そして利益をしっかり確保するために社内で取り組むべきことについてお話しします。
売上増加に固執する企業の心理
売上が増えれば、会社の成長を実感しやすく、社内の士気も上がります。また、外部からの評価も得られやすい。取引先や金融機関に対して「前年より売上が伸びています」と伝えれば、それだけで好印象を与えられることもあります。
しかし、売上が増えても、利益がしっかり確保できていなければ意味がありません。例えば、大幅な値引きや広告費の増加で売上を伸ばしても、結果的に利益が残らなければ、経営が苦しくなるだけです。
経営者は常に結果を求められます。特に資金繰りが厳しい会社では、「とにかく売上を上げなければ」というプレッシャーから、利益よりも目先の売上を優先しがちです。
しかし、短期的に売上を伸ばすために無理な営業をかけたり、大幅な値引きをしたりすると、長期的にはブランド価値の低下や顧客の質の悪化を招くことになります。
利益を増やすためにできること
利益を増やすためには、売上を伸ばすだけでなく、コストを最適化することも重要です。特に、中小企業では業務フローの中に無駄が多く潜んでいることがあります。
例えば、手作業で行っている業務をデジタル化することで、時間を短縮し、ミスを減らすことができます。また、社内での意思決定プロセスをシンプルにすることで、スピーディーに動けるようになり、機会損失を防ぐことも可能です。
ここで言うデジタル化とは、高度なシステムを導入するのではなく、Microsoft Officeの機能を使うだけでも十分なデジタル化です。
利益を確保するためには、無駄なコストを減らすことも必要です。
・仕入れコストの見直し:仕入先と価格交渉し、仕入コストを抑える。
・在庫管理の最適化:不要な在庫を抱えないようにする。
・広告費の適正化:費用対効果の低い広告を削減する。
こうした細かい見直しを積み重ねることで、売上を無理に伸ばさなくても、利益を確保できるようになります。
従業員が効率よく働ける環境を整えることも、利益を増やす上で重要です。例えば、無駄な会議を減らしたり、業務の分担を見直したりするだけでも、生産性は向上します。
また、従業員のモチベーションが上がることで、結果的に顧客満足度も向上し、リピート率の増加につながります。これが、長期的な利益につながるのです。
売上を追い求めること自体は間違いではありません。しかし、それが「利益を生み出しているか?」という視点を持たなければ、会社の成長は続きません。
短期的な売上アップに頼るのではなく、社内の業務改善やコスト削減、生産性向上など、利益をしっかり確保するための取り組みを行うことが大切です。
「売上が伸びればうまくいく」という考えを見直し、「利益を最大化するためにはどうすればいいか?」という視点を持つこと。それが、長期的に安定した経営を実現するカギとなります。
岡田 健志
公認会計士・税理士
大阪国税局勤務、Big4監査法人勤務を経て2024年大阪市福島区で独立開業。