税務・確定申告
税理士になるには?試験・公認会計士・国税OB・大学院のルートを解説
POINT
税理士の経歴を見ると、税理士試験合格者のほか、公認会計士・税理士、弁護士・税理士、国税OB税理士など、さまざまな表記があります。これは、税理士となる資格を得るまでに複数のルートがあるためです。
私は大阪国税局で国税調査官として勤務した経験もありますが、税理士登録の基礎となった資格は公認会計士です。国税での勤務経験があるだけで、自動的に税理士になれるわけではありません。
この記事では、現在の制度を前提に、税理士になる主なルートと登録までの流れを整理します。
税理士になるには資格と登録が必要
税理士になるためには、税理士法に定められた「税理士となる資格」を満たし、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録される必要があります。
主な資格のルートは次のとおりです。
1.税理士試験に合格する
2.税理士試験の全科目について免除決定を受ける
3.弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
4.公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)
このうち、税理士試験合格者と全科目免除者は、租税に関する事務または会計に関する所定の事務に通算2年以上従事した実務経験が必要です。会計事務所での勤務だけに限られるわけではありませんが、具体的な経験が要件を満たすかは個別に確認されます。
1.税理士試験に合格するルート
税理士試験は、会計学に属する2科目と、税法に属する3科目の合計5科目に合格する制度です。
会計学に属する科目(2科目)
簿記論
財務諸表論
会計学の2科目はいずれも必須です。2023年度(第73回)税理士試験から受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験できます。
私も公認会計士試験の受験前に、簿記論と財務諸表論を受験した経験があります。ただし、必須科目であることと難易度が低いことは別であり、十分な準備が必要です。
税法に属する科目(選択3科目)
税法科目は次の中から3科目を選択します。
所得税法
法人税法
相続税法
消費税法または酒税法
国税徴収法
住民税または事業税
固定資産税
所得税法または法人税法のいずれか1科目は必ず選択する必要があります。消費税法と酒税法、住民税と事業税は、それぞれ同時に選択できません。
税法科目には学識、資格、職歴等による受験資格があります。会計学の科目と受験要件が異なるため、申込み前に国税庁の最新の受験案内を確認する必要があります。
科目合格制
税理士試験は科目合格制です。1年に5科目すべてを受験する必要はなく、合格した科目は税理士となるまで有効です。そのため、実務に従事しながら科目ごとに合格を積み上げることも可能です。
登録の実務経験
5科目に合格しただけで登録が完了するわけではありません。前述の通算2年以上の実務経験を満たし、税理士登録の申請を行う必要があります。
2.公認会計士が税理士登録をするルート
公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)は、税理士法上の「税理士となる資格」を有します。「税理士試験の全科目に合格したとみなされる」という説明より、公認会計士として別の登録資格が定められていると理解する方が正確です。
2017年4月1日以後の合格者
2017年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者については、実務補習団体等が実施する所定の税法に関する研修を修了した公認会計士であることが必要です。
登録手続
所定の要件を満たした上で、日本税理士会連合会へ税理士登録を申請します。
私はこの公認会計士の資格を基礎とするルートで税理士登録をしています。
3.弁護士が税理士として活動するルート
弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)も、税理士法上の「税理士となる資格」を有します。
税理士業務を行う制度
弁護士については、税理士登録のほか、所定の通知により一定の条件の下で税理士業務を行う制度もあります。
制度上の位置づけ
このルートも「税理士試験の難易度を避ける方法」というものではありません。弁護士としての資格と実務を基礎とした、別の制度上のルートです。
4.国税従事者の試験科目免除
税務官公署で所定の国税に関する事務に従事した者は、担当した事務の内容と通算年数に応じて、税理士試験の科目免除を申請できる場合があります。
日本税理士会連合会は、主な取扱いを次のように紹介しています。
主な免除の目安
10年または15年以上の国税従事経験:税法に属する科目の免除
23年または28年以上の国税従事経験と指定研修の修了:会計学に属する科目の免除
個別確認が必要
必要な年数は、従事した事務の種類によって異なります。勤務先が国税庁・国税局・税務署であったというだけで免除が決まるわけではありません。具体的な免除範囲は、税理士法の要件と個別の従事経歴によって確認する必要があります。
5.大学院の学位による科目免除
会計学または税法に関する研究により修士または博士の学位を取得した場合、国税審議会の認定等を経て、対応する試験科目の免除を受けられる場合があります。
修士の学位
現行制度では、免除を受けたい分野の科目のうち1科目に合格した上で、学位に係る研究内容について国税審議会の認定を受ける必要があります。
会計学に属する研究:会計学1科目に合格し、残りの会計学1科目の免除を申請
税法に属する研究:税法1科目に合格し、残りの税法2科目の免除を申請
博士の学位
所定の研究により博士の学位を取得し、国税審議会の認定を受けた場合は、研究分野に応じて会計学の2科目または税法の3科目の免除を受けられる場合があります。
学位の取得だけで免除が自動的に決まるわけではありません。研究分野、論文等の内容、進学時期による経過措置などによって取扱いが異なるため、必ず国税庁の最新案内と進学先の履修要件を確認する必要があります。
まとめ
税理士になる主なルートには、税理士試験、公認会計士・弁護士の資格、国税従事経験や学位による試験科目免除があります。ただし、どのルートも学習、専門資格、実務、研究などそれぞれの前提があり、単純な近道とはいえません。
また、どのルートで税理士になったかと、その税理士がどの分野で実務経験を積んでいるかは別の問題です。税理士を選ぶ際は、資格取得のルートだけでなく、相談したい分野の経験や支援内容も確認することが大切です。
参考資料
国税庁:税理士試験の概要 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/gaiyo/gaiyou.htm
国税庁:税理士試験受験資格の概要 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm
国税庁:税理士の登録 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/toroku/touroku.htm
国税庁:学位による試験科目免除制度Q&A https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/kaisei-qa/menu.htm
日本税理士会連合会:税理士の資格取得 https://www.nichizeiren.or.jp/prospects/work/
e-Gov法令検索:税理士法 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237