会計・経営
財務分析の第一歩~増減分析(売上の分析)~
POINT
売上高が前期と同じでも、販売数量や販売単価は大きく変わっていることがあります。合計だけでは見えない変化を捉える方法が、増減分析です。
本記事では、過去2期の損益計算書と販売データを使い、売上高の変化を数量と単価に分けて確認する方法をご紹介します。
増減分析を始めよう
増減分析は、2つの期間を比較し、各項目がいくら増減したかを確認する方法です。売上高だけでなく、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益なども併せて確認します。
比較前には、集計期間の長さ、会計処理、対象となる事業や商品、税込・税抜の扱いなどの条件をそろえます。季節性の強い事業では、前年同月との比較も有用です。
損益計算書で全体の変化を把握したら、商品別・取引先別の販売データで詳しく調べます。決算書だけでは、販売数量や単価の変化まで分からないことがあるためです。
売上高の増減分析
売上高は「販売数量×販売単価」で表せます。複数の商品をまとめる場合は、数量の単位をそろえたうえで、「売上高÷販売数量」で求めた平均販売単価を使います。
以下は計算方法を示す仮定の例です。数量の単位はトン、売上高の単位は万円、単価の単位は円/トンです。
【前期】売上高30,000万円、販売数量1,500,000トン、販売単価200円/トン
【当期】売上高30,000万円、販売数量2,000,000トン、販売単価150円/トン
今回は、単価差異を当期数量、数量差異を前期単価で計算します。数量と単価が同時に変わった影響の配分方法には複数ありますが、この方法なら2つの差異の合計が売上高の増減額と一致します。
| 区分 | 計算式 | 増減額 |
|---|---|---|
| 単価差異 | (当期単価-前期単価)×当期数量 | △10,000 |
| 数量差異 | (当期数量-前期数量)×前期単価 | 10,000 |
| 合計 | 単価差異+数量差異 | 0 |
単価差異の計算は、(150-200)円/トン×2,000,000トン=△10,000万円です。
数量差異の計算は、(2,000,000-1,500,000)トン×200円/トン=10,000万円です。
両者の合計は0万円となり、売上高の増減額(30,000万円-30,000万円)と一致します。販売数量の増加によるプラスと、平均販売単価の低下によるマイナスが相殺されたことを確認できます。
ただし、この計算だけで平均販売単価が下がった原因までは分かりません。同じ商品の値下げだけでなく、単価の低い商品や取引先への売上割合が増えた可能性もあります。
数字の変化から原因を確かめる
集計値で確認できる事実と、その原因についての仮説は分けて考えます。上の例だけでは、「新規取引先に値下げを求められた」「生産能力が足りず、高単価の受注を逃した」とは断定できません。
単価が下がった理由は、商品別・取引先別の単価、値引き、返品、売上構成などで確認します。数量が増えた理由は、新規取引、既存先の発注量、市場需要などの情報と照合します。
生産能力や受注機会の問題を検討する場合は、稼働状況、納期、断った受注などの記録も必要です。数量と単価の変化だけでは判断できません。
原因を確認したうえで、価格交渉、受注構成の見直し、生産体制の改善などを検討します。その際は売上高だけでなく、取引ごとの採算、追加費用、必要な投資、資金繰りへの影響も併せて確認します。
まとめ
増減分析は、数字の変化から「次に何を確認するか」を見つけるための出発点です。比較条件をそろえ、数量と単価に分け、商品別・取引先別のデータで原因を確かめていきましょう。
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