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公認会計士と中小企業|監査で関わる場面と相談できること

執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

POINT

「公認会計士は大企業の監査をする専門家で、中小企業には関係がない」と思われるかもしれません。

しかし、自社に法定監査の義務がなくても、親会社や取引先、金融機関の監査を通じて、公認会計士と関わる場面があります。また、監査とは別に、財務分析や経理体制の整備などを相談することもできます。

この記事では、監査で中小企業と関わる場面と、経営者が任意に依頼する支援を分けて説明します。

中小企業でも公認会計士の監査は必要ですか?

すべての中小企業に、公認会計士や監査法人による監査が義務付けられているわけではありません。ただし、非上場であることや従業員数だけでは、監査義務の有無は判断できません。

会社法に基づく監査

例えば、会社法上の大会社に当たる株式会社には、会計監査人の設置が必要です。大会社とは、原則として最終事業年度の貸借対照表において、資本金として計上された額が500百万円以上、または負債として計上された額の合計が20,000百万円以上の株式会社をいいます。設立後最初の定時株主総会までの間は、設立時の貸借対照表により判定します。

また、大会社に当たらなくても、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社には会計監査人が必要です。根拠は会社法第2条第6号、第327条第5項、第328条です。

参考:会社法/日本公認会計士協会「会社法監査」

上場準備に伴う監査

上場準備でも監査への対応が必要になります。例えば、東証スタンダード市場では、最近2年間の財務諸表等について、所定の要件を満たす登録上場会社等監査人の監査等を受けることが求められます。対象市場の基準を確認し、早い段階から準備することが大切です。

参考:日本取引所グループ「上場審査基準概要(スタンダード市場)」

監査義務がなくても関わることがあります

自社に法定監査の義務がなくても、親会社のグループ監査、取引先の残高確認、金融機関の監査を通じて、公認会計士への対応が必要になることがあります。以下で3つの場面を説明します。

監査で中小企業と関わる3つの場面

1. 親会社の監査に伴う子会社往査

親会社が連結財務諸表の監査を受けている場合、中小規模の子会社でも、グループ監査のために資料の提出や説明を求められることがあります。

子会社自身に法定監査の義務があるかどうかと、グループ監査でどのような手続が必要かは、別の問題です。手続の対象や範囲は、連結財務諸表の重要な虚偽表示リスクなどを踏まえて判断されます。

監査人が子会社の事務所や工場などを訪問し、資料の閲覧や担当者への質問などを行うことを、一般に「子会社往査」と呼びます。ただし、すべての子会社に毎年訪問するとは限らず、対象となる勘定科目や実施する手続も一律ではありません。

子会社側の監査人が作業する場合も、グループ監査人の役割は指示書を送って終わりではありません。必要な連携を取り、作業への指揮・監督・査閲や、得られた結果の評価を行います。

参考:日本公認会計士協会・監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」第5・8・13項

2. 取引先の監査に伴う残高確認

取引先の決算監査に際して、売掛金や買掛金などの残高を確認する依頼が届くことがあります。

これは、監査人が取引先などの第三者から直接回答を入手し、監査証拠とする手続です。確認依頼が届いたことだけで、回答する会社自身が監査対象になるわけではありません。

回答する際は、指定された基準日や対象取引を確認し、自社の帳簿と照合します。差額がある場合は、無理に相手の金額へ合わせず、差額や把握している理由を伝えることが大切です。

監査人も、回答を受け取るだけで手続を終えるわけではありません。差異があれば内容を調査し、回答がなければ状況に応じて代替手続などを検討・実施します。回答を得ることが不可欠で、代替手続では足りない場合もあります。

参考:日本公認会計士協会・監査基準報告書505「確認」第5・6・11〜13項

3. 金融機関の監査における借入企業の情報の検討

金融機関の監査では、貸出金に関する貸倒引当金などの妥当性を検討します。その過程で、金融機関が行った自己査定や、その根拠となる借入企業の決算情報、返済状況、事業の見通しなどを確認することがあります。

このため、公認会計士が金融機関の保有する資料を通じて、中小企業の財務や事業の状況に接する場面があります。ただし、ここで監査しているのは金融機関の財務諸表です。借入企業そのものへの監査や、借入企業に対する経営相談とは区別する必要があります。

参考:日本公認会計士協会・銀行等監査特別委員会報告第4号、第16〜23項

監査とは別に、財務・経理の相談もできます

ここまで紹介したのは、監査を通じた関わりです。一方、公認会計士の知識を活用する方法は、監査だけではありません。日本公認会計士協会も、中小企業への支援として財務分析や経営計画、会計・経営管理体制の整備などを紹介しています。

例えば、決算書や試算表の分析、部門別・商品別の採算や毎月確認する経営数値の整理、月次決算が遅れる原因の確認や資料の受け渡し・確認手順の見直しなどを相談できます。

監査は、財務諸表に対する意見表明を目的とする業務です。これに対し、上記の相談は、経営上の課題を整理し、改善策の検討や実行を支援する業務です。監査契約に、これらの支援が自動的に含まれるわけではありません。

公認会計士に依頼すれば必ず利益が増えるというものではありませんが、自社の課題に合った支援を選ぶことで、数字を経営判断に使いやすくすることを目指せます。

参考:日本公認会計士協会「公認会計士による中小企業支援内容」

当事務所では、財務分析、月次管理、経理フローの見直しなどについて、顧問契約のない方からのスポットのご依頼も受け付けています。現在の状況と、整理したい課題をお聞かせください。支援内容と料金を事前にご案内します。

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記事執筆者

岡田 健志

公認会計士・税理士

大阪国税局(国税調査官)勤務、Big4監査法人勤務を経て2024年大阪市福島区で独立開業。JR福島駅徒歩1分の事務所を拠点に、会計・税務のプロフェッショナルとして企業の成長を支援しています 。 「数字に強い経営者になりたい」「資金繰りの相談がしたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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