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大企業と町工場

はじめに

私はこれまで、公認会計士として売上総額2兆円を超える大企業から、国税調査官として中小企業や町工場まで、幅広い企業の経営に触れてきました。その経験を通じて言えるのは、会社の規模に関係なく、組織の根本にある骨組みは本質的に変わらないということです。

大企業と町工場を比べた場合、売上高や従業員数、海外に広く展開しているかなど、目に見える差は明らかです。しかし、どちらも最大限の利益を獲得することを目標としている点では一致しています。では、何が違いを生むのでしょうか。それは、自社のブランド、顧客、競合、自社商品をどれだけ理解し分析しているか、また事業計画を策定し、資金繰りやコストを管理できているかという点です。

大企業が大きくなる理由

大企業が大きく成長してきた理由は、利益を生む仕組みを効率的に作り上げ、それを継続して運用しているからです。具体的には、以下のような点が挙げられます。

事業計画の策定

大企業は、マーケティングや販売データ、財務データを活用して、将来の動向を予測し、戦略的な意思決定を行い、年次計画や中長期計画を策定します。

事業計画の策定

月次決算を行い、毎月の財務状況や業績、資金繰りを分析します。これにより、早期に問題点を特定し、対処することができます。

内部統制システムの構築

内部統制システムとは、簡単に言うと企業の透明性を高め、効率的な運営を支える仕組みです。

売上を例に挙げますと、通常、売上計上にあたり売上伝票と出荷記録について照合を行います。
これは、売上が計上される前に、売上伝票が実際の出荷記録と一致しているか確認する仕組みを設けることで、架空売上や計上ミスを防止することができるからです。・公認会計士試験の難易度が高い

これらは重要なポイントであり、中小企業でも参考にできる部分が多いです。

中小企業の課題と可能性

一方で、中小企業の経営者と話をしていると、こうした話題に対して「うちは中小企業だから、大企業のやり方は参考にならない」と考える方が少なくありません。確かに、大企業が活用するツールや手法は、中小企業にとって規模やコストの面で現実的でない場合もあります。しかし、考え方やアプローチそのものは、多くの場合適用可能です。

中小企業が大企業から取り入れるべきポイント

中小企業が大企業から取り入れるべきポイントは多くあると考えています。
今回はそのうちのいくつかを挙げてみます。

計画と目標設定

大企業では、上記で記載した通り年次計画や中期経営計画の策定は当然実施しますが、中小企業でも、年間の売上目標や費用目標を設定することで、具体的な行動計画を立てやすくなります。

決算書の分析

決算書は経理が作ってきたものを見て、今年は売上が少ない、利益が少ないと思うだけのものではないです。それぞれの数字にはストーリーがあります。

なぜ売上や利益が少なかったのか、その中身まで分析して読み取ることが重要です。

資金繰り表の作成

「黒字なのに資金不足」という事態を防ぐには、実際の資金の流れを把握することが欠かせません。これにより、黒字倒産を回避できます。

製品別計算、原価計算

多数の製品を作っている場合や事業をされている場合、製品や事業ごとに採算性を確認したことはありますか?実際蓋を開けてみると主力だと思っていた製品や事業が経営の足かせとなっている場合もあります。

フロー図の作成

内部統制システムを中小企業で構築する必要はないですが、簡易な業務フロー図を作成するだけでも、業務の仕組み化や効率化が図れます。

DX化

紙媒体の作成資料をエクセルに変えることや、ネットバンキングの導入もDX化の第一歩です。

まとめ

大企業と町工場の間には、確かに規模の違いがあります。しかし、大企業の参考にできるところを自社に合った形で取り入れることで、中小企業の成長につながります。

しかし、世の中に大企業の中身を把握できている人は少ないです。

こうした大企業の中身を広く理解をしているのは、財務諸表監査の経験が豊富な公認会計士の最大の強みとなるところです。
公認会計士としての知見を活かし、弊事務所では経営者の皆様をサポートしています。ぜひ一度、ご相談ください。

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記事執筆者

岡田 健志

公認会計士・税理士

大阪国税局勤務、Big4監査法人勤務を経て2024年大阪市福島区で独立開業。

 

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