経理システムの見直し 04 / 06
システムを入れ替えたのに経理が楽にならないときの見直し方
この記事の内容
新しいシステムを入れたのに、Excelの管理表が増えた。入力はできても、担当者が不在だと処理が止まる。前より数字の確認に時間がかかる。このようなときは、止まっている工程と、会社が必要とする確認を整理します。
機能不足、設定の問題、業務の分担、データの不整合を分けると、対応すべき相手と順番が見えてきます。 追加機能を契約する前に、現在の処理を一件ずつたどってみてください。
最初に期限のある業務と未処理を確認する
請求、支払、給与、月次決算、申告など、期限がある業務への影響を確認します。「システムに入っているが承認されていない」「承認済みだが支払われていない」といった違いが分かるように、現在の状態と次の担当者を記録してください。
データが重複しているように見えても、すぐに削除せず、元資料、登録経路、処理済みの範囲を確認します。移行データ、外部連携、手入力が同じ取引に重なっていないかを調べ、修正方法を決めます。freeeを使っている場合は、未処理の整理や二重登録の確認の関連記事も参照してください。
困り事を四つに分ける
| 状況 | 確認すること | 主な相談・対応先 |
|---|---|---|
| 必要な処理そのものができない | 標準機能、契約プラン、代替処理、選定時の条件 | 提供会社・導入担当 |
| 機能はあるが使えていない | 権限、初期設定、マスタ、説明・教育 | 管理者・導入担当 |
| 作業が担当者の間で止まる | 受付、承認、期限、不在時の引継ぎ | 社内責任者・各担当 |
| 数字や処理状況が合わない | 移行残高、重複、未処理、集計条件 | 経理・会計確認担当・提供会社 |
例えば「請求情報が会計に反映されない」という症状でも、連携対象外、実行エラー、承認待ち、会計側の集計期間の違いなど、原因は複数考えられます。画面の表示だけで判断せず、元の取引と処理履歴をたどります。
Excelが残っている理由を調べる
残っている管理表について、目的、入力元、使う人、更新の頻度を確認します。システムにない集計を補っているのか、導入時の確認用なのか、担当者が不安で控えを作っているのかによって対応が変わります。
必要な管理項目をシステムへ持たせる、既存データから集計する、確認手順を明確にするなど、目的に合わせて見直します。帳票を廃止する場合は、その帳票で行っていた承認・照合・情報共有をどこで行うかを決めてから更新を止めてください。
中小機構は、導入済みシステムが定着しない場合や、個別に導入したソフトを部門間で活用できない場合も相談例として挙げています。参考:IT経営サポートセンター
一つの業務で修正した手順を確かめる
最初の対象は、取引が継続して発生し、担当者と完了状態を確認しやすい業務を選びます。例えば、受領した請求書を確認し、承認し、支払い、会計記録と照合するまでの流れです。
この流れについて、登録する場所、担当者、期限、差し戻す条件を決めます。通常の取引に加え、金額訂正、重複受領、支払保留などの例も確認してください。うまく進まなかった箇所は、画面の操作と業務ルールのどちらを直すか分けて記録します。
確認が終わったら、担当者が同じ手順を実行できる形で残します。操作説明だけでなく、判断に迷ったときの連絡先と、次の担当へ渡せる条件も記載すると引継ぎに使えます。
改善したかを作業時間と未処理で確かめる
改善前後で、同じ対象業務と集計条件を使って確認します。次は確認項目の例です。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 作業時間 | 入力、確認、差額調査にかかった時間を分ける |
| 未処理 | 件数、止まっている工程、担当、期限 |
| 手戻り | 訂正や再入力が必要になった原因 |
| 月次の完了 | どの月まで、誰が何を確認したか |
| 管理表 | 廃止できた表と、継続する理由がある表 |
取引量や担当者数が変わった場合は、その影響も併記します。一度の処理で判断せず、月次の締めまで確認すると、翌月へ持ち越す問題が分かります。月次決算の早期化では、工程ごとの期限と完了条件を説明しています。
再度入れ替えるかを判断する
現在の製品の仕様では必須の業務に対応できず、代替運用の負担が大きい場合は、追加開発や再度の入れ替えも選択肢になります。その際は、現行製品で改善する案と、別の製品へ移る案を、今後の費用・時間・運用負担で比較します。
すでに支払った費用と、これから必要な支出を分けて整理してください。次の選定には、今回確認できた例外処理や業務上の条件を引き継ぎます。入れ替えの見積比較も活用できます。
導入後の経理を立て直したい方へ
岡田健志公認会計士・税理士事務所では、現在の資料、入力・承認の手順、残高や未処理の状況を確認し、経理フローと月次運用を整理します。初回のご連絡では、導入したソフト、現在止まっている作業、次の期限をお知らせください。資料確認や修正が必要な範囲と料金は、着手前にご案内します。
よくある質問
導入を依頼した会社以外にも相談できますか?
相談できます。既存の契約、設定を変更できる権限、保守の担当を確認し、追加で相談する範囲を明確にします。設定やデータを変更する前に、関係者で手順を共有してください。
Excelの管理表は全部なくした方がよいですか?
目的ごとに判断します。二重入力や最新版の混乱を減らす一方、分析や比較に必要な表もあります。廃止する場合は、そこで行っていた確認をどこへ移すか決めます。
数字が合わない状態でも相談できますか?
相談できます。対象期間、比較している帳票、差額、元資料、移行や連携の履歴を分かる範囲で整理してください。原因を確認してから修正方針を決めます。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。関連資料確認日:2026年10月15日。