経理システムの見直し 06 / 06

経理システムの保守終了・更新案内が来たら?データと切替期限の確認順

執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)
関連資料確認:2026年10月15日

01終了条件
02データ出力
03試行と移行
04保存と契約終了
この記事の内容

使っている経理システムについて、保守終了や契約更新の案内が届いた。継続するか、別の製品へ移るかを判断するには、何がいつ終了し、その後にどの操作・支援を利用できるかを確認する必要があります。

保守終了、更新プログラムの提供終了、クラウドサービスの終了、契約の満了は、それぞれ意味が異なります。案内の名称だけで判断せず、対象の製品・バージョン・契約を確かめてください。

案内文から終了するものを整理する

提供会社に確認する内容を、次の表にまとめます。

確認する項目 確認したい内容
対象 自社が利用する製品、バージョン、契約が対象か
終了日 問い合わせ、更新、利用、データ出力ができる最終日
終了後の状態 閲覧・入力・帳票出力を継続できるか
継続の選択肢 延長、新版への移行、閲覧専用契約等の有無と条件
関係する環境 OS、データベース、連携ソフト等への影響
移行支援 出力形式、移行対象、作業期間、費用

「保守が終わっても動く」という説明を受けた場合も、障害時の対応、法令や周辺環境の変更への対応、復旧方法を確認します。利用継続の可否は、技術的な条件と会社の業務への影響を踏まえ、提供会社等と検討してください。

解約前にデータを取り出せるか確かめる

試算表や総勘定元帳だけでなく、必要な明細、取引先等のマスタ、添付資料、処理履歴を確認します。どれが標準機能で出力でき、どれが別作業や追加料金になるかを調べてください。

データの区分 確認例
会計記録 仕訳、残高、元帳、補助明細、固定資産の情報
継続中の取引 未回収の売掛金、未払の買掛金、前受・前払等の内訳
資料 請求書・領収書等の添付資料と、取引との対応
設定・区分 勘定科目、取引先、部門、案件、税区分の対応
運用記録 必要な承認・訂正履歴、連携設定、処理手順

まず一部のデータを出力し、別の環境で開けるか、必要な項目が含まれるかを確認します。製品専用のバックアップファイルは、その製品や特定の環境がなければ読めない場合があります。復旧用の控えと、過去の内容を確認するための保存を分けて考えます。

移すデータと保存する資料を決める

新システムで日々使う情報と、過去取引を確認するために保管する情報を整理します。未決済の債権債務を引き継ぐ場合は、合計残高だけでなく、相手先・期限・取引ごとの明細を管理できるかを確認してください。

旧システムを解約しても、会社の帳簿書類の保存義務がなくなるわけではありません。法人の帳簿書類の保存期間は、書類や事業年度等の条件に応じて確認します。国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間

電子帳簿、スキャナ保存、電子取引データでは、確認する保存要件が異なります。移行や出力の際に、必要な検索、表示・出力、訂正削除への対応等を維持できるか、採用している保存方法に応じて確認してください。CSVやPDFを出力しただけで、すべての保存要件を満たしたと判断しないことが大切です。国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト

終了日から逆算して移行の工程を組む

希望する切替日だけでなく、請求・支払・給与・決算・申告等の期限を予定表に入れます。システム会社の対応日と、社内担当者が確認できる日も合わせて調整してください。

  1. 現行の契約・機能・データ出力を確認する。
  2. 移行範囲と、過去資料の保存・閲覧方法を決める。
  3. 新システムで代表的な取引と例外処理を試す。
  4. 移行の試行を行い、残高・明細・帳票を照合する。
  5. 本番の切替手順と、延期・復旧する条件を確認する。
  6. 本番移行後の処理と最初の月次締めを確かめる。
  7. 過去資料の閲覧と残作業を確認し、旧契約の終了を判断する。

実際の順番や並行運用の期間は、契約期限と業務に合わせて決めます。旧システムを止めた後に訂正が見つかった場合、どこで処理し、誰が記録を残すかも確認しておきます。

残り時間が短いときに優先すること

終了が迫っている場合は、最初にデータへアクセスできる期限と、延長・閲覧の選択肢を確認します。次に、直近の請求、支払、給与、申告等を続けるために必要な処理を明確にします。

新しい管理機能まで一度に作るかどうかは、切替に必要な確認時間を確保してから判断します。暫定的に手作業が残る場合は、入力元、担当者、照合方法、暫定運用を終える条件を記録してください。見積りの比較では、延長や並行運用の費用も含めて確認します。

更新案内を受け取った段階から相談できます

岡田健志公認会計士・税理士事務所では、経理フロー、会計データの引継ぎ、移行後の月次確認をご相談いただけます。案内に記載された製品名、期限、現在困っていることをお知らせください。提供会社へ確認する技術的な事項と、会計・業務面の確認事項を整理し、必要な支援範囲と料金をご案内します。

よくある質問

保守終了日を過ぎたらソフトは使えなくなりますか?

製品と契約により異なります。操作を継続できるか、更新や問い合わせだけが終了するか、データを取り出せるかを提供会社へ確認してください。

全期間のデータを新システムへ移す必要がありますか?

新システムで利用する範囲と、過去資料の保存・閲覧方法を整理して判断します。移さない資料についても、必要な保存要件と確認できる環境を確保します。

決算が終わるまで旧システムを解約しない方がよいですか?

決算・申告の作業、移行後の照合、過去資料の閲覧、契約上の期限を合わせて判断します。解約後に必要な操作ができなくならないかを確認してから終了日を決めてください。


執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。制度・関連資料確認日:2026年10月15日。

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