経理システムの見直し 02 / 06
販売管理と会計ソフトへの二重入力を減らすには?連携前に決めたいこと
この記事の内容
営業担当者が販売管理へ入力し、経理担当者がその一覧を見て会計ソフトへ入力する。請求書を修正すると、別のExcelと会計データも直す。同じ取引を複数の場所で管理していると、訂正の連絡や照合に時間がかかります。
二重入力を減らすには、どのシステムで情報を確定し、どの情報を、いつ会計へ渡すかを決めます。 連携できる製品かどうかと合わせて、訂正・取消し・入金確認までの手順を整えることが必要です。
中小機構も、販売管理と会計の連携や、別々に管理している請求・入金確認を相談例に挙げています。参考:IT経営サポートセンター
一件の取引をたどり 二重入力の場所を見つける
まず、通常の売上取引を一件選び、受注から月次報告まで追ってみます。以下は説明用の架空の業務例です。
| 工程 | 現在の処理例 | 整理すること |
|---|---|---|
| 受注・納品 | 販売管理へ取引先、品目、数量を登録 | 誰が内容を確定するか |
| 請求 | 販売管理から請求書を発行 | 請求番号、締日、訂正履歴 |
| 会計 | 請求一覧を見ながら売上・売掛金を入力 | 売上計上の時点、税区分、会計へ渡す単位 |
| 入金 | Excelと銀行明細を見比べる | 入金と請求の対応、一部入金、手数料 |
| 月次確認 | 複数の一覧を合計して差額を調べる | 比較する期間、未処理・訂正の一覧 |
同じ項目を入力している場所に印を付けます。一方、取引を登録した人とは別の人が内容を確認する作業には役割があります。入力の削減と、必要な承認・照合の維持を一緒に考えてください。
情報の登録元と修正する場所を決める
取引先名、請求番号、金額、税区分、部門など、項目ごとに登録元を決めます。会計側で名称を独自に変更した結果、販売側の取引先と対応が取れなくなることもあるため、名称だけに頼らず取引先コードなどで対応を管理します。
請求を訂正した場合は、販売管理を直せば会計も自動的に直るのか、取消データと新データを送るのか、会計側で確認する必要があるのかを明確にします。単に同じデータを送り直すと、製品や設定によっては重複登録になることがあります。
連携の担当者には「同じデータを再実行したとき」「途中で止まったとき」「一部だけ登録されたとき」の動きを確認します。エラーを受け取る人と、再処理してよいと判断する人も決めておきましょう。
請求額と会計上の売上を同じものとして扱わない
会計へ渡す条件は、自社の契約と会計方針を踏まえて設計します。請求日と売上計上の時点が一致しない取引、前受金、返品・値引き、月をまたぐ取引などは、通常の請求データと区別して検討が必要です。
例えば、月末の請求一覧だけを連携している会社では、請求前に計上すべき売上や、翌月に訂正された取引が比較対象から抜けていないかを確認します。請求一覧と試算表の差額を、未請求、計上時期、取消しなどに分けて説明できる状態を目指します。具体的な計上時期や税区分は、取引内容に基づき顧問税理士等と確認してください。
会計へ渡す単位も重要です。日別・取引先別の合計で足りるのか、案件や部門まで必要なのかによって、移行後に確認できる内容が変わります。部門別・案件別の利益管理を行う場合は、必要な区分を連携項目に含めます。
CSV連携と自動連携を業務に合わせて選ぶ
定期的にCSVを出力して取り込む方法と、システム間で自動的にデータを受け渡す方法があります。使える方法は製品・プラン・連携先で異なります。
| 確認する点 | CSV等のファイルによる連携 | API等による自動連携 |
|---|---|---|
| 実行の管理 | 出力・取込の担当、対象期間、使用済みファイルを管理 | 実行時刻、権限、連携停止時の通知を管理 |
| 訂正の扱い | 訂正済みデータの再取込方法を確認 | 訂正・取消しが連携対象かを確認 |
| 重複・漏れ | 件数・合計・対象番号を照合 | 連携結果と失敗したデータを照合 |
| 継続費用 | 作業時間と確認の負担を含める | 利用料、設定変更、保守対応を含める |
自動連携を選ぶ場合でも、残高や未処理項目を確認する担当は必要です。最初は限定した取引で試し、通常処理と例外処理が扱えることを確認してから対象を広げます。
入金消込をどこで行うかを決める
売掛金の消込を販売管理側で行うのか、会計側で行うのかを決めます。両方で管理する必要がある場合は、片方の結果をどう反映し、どの時点で残高を合わせるかを明確にしてください。
一部入金、複数請求の合算入金、振込手数料の差引き、入金名義の違いなどをサンプルにします。会社全体の売掛金残高が一致していても、取引先や請求ごとの対応が間違っている可能性があるため、明細も確認します。
連携前の確認表を作る
- 情報を最初に登録するシステムと担当者。
- 取引先・取引を識別する番号と対応表。
- 会計へ渡す対象、単位、計上時期、税区分。
- 取消し・訂正・再実行の手順。
- 連携できなかったデータの確認担当。
- 売掛金残高と明細の照合方法。
- 旧管理表の更新を終える条件。
連携だけで解決できるか、現在の製品の機能では足りないかが分かった段階で、システム入れ替えの範囲を決めます。紙の回覧や資料収集が主な原因であれば、紙・Excel中心の経理の見直しも参考にしてください。
当事務所へ相談する場合
現在のソフト名、転記している一覧、困っている訂正や照合作業を、分かる範囲でお知らせください。岡田健志公認会計士・税理士事務所では、会計につながる業務フローと月次確認の方法を整理します。技術的な連携可否・開発範囲は提供会社への確認事項とし、当事務所が支援する内容と料金を事前にご案内します。
よくある質問
ソフトを入れ替えずに二重入力を減らせますか?
現在の製品の出力・取込機能、連携機能、運用を確認して判断します。既存機能の設定や、情報の登録元を決めることで改善できる場合もあります。
自動連携すれば照合は不要ですか?
照合は必要です。未連携、重複、訂正の未反映、対象期間の違いを確認し、残高や明細が対応することを確かめます。
販売管理と会計の売上が一致しない場合は何を確認しますか?
比較期間と集計条件をそろえ、未請求、計上時期、返品・値引き、取消し、税の集計方法などの差を確認します。差額の内容を確かめてから修正方針を決めます。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。関連資料確認日:2026年10月15日。