FURUSATO TAX GUIDE

住宅ローン控除と
ふるさと納税は併用できる?

初年度の申告と、控除を使い切れるかを分けて確認。

公開:2026年10月8日 / 執筆:公認会計士・税理士 岡田健志

住宅ローン控除とふるさと納税は、要件を満たせば併用できます。ただし「両方使える」ことと、「寄附額から2,000円を引いた分がすべて税負担の軽減につながる」ことは同じではありません。

まず、住宅ローン控除を受ける初年度か、2年目以降かを確認します。そのうえで、所得税と住民税に分け、住宅ローン控除をどこまで使えるかを見ます。

1.初年度は、ふるさと納税も確定申告へ

住宅ローン控除を受ける最初の年分は、給与所得者も確定申告が必要です。給与所得者は、2年目以降であれば年末調整で住宅ローン控除を受けられます。

最初に分けるのは「申告するか」

1

住宅ローン控除の初年度

住宅ローン控除を受けるために
確定申告をする

ふるさと納税も
その申告書に含める

ワンストップ申請済みでも、その年の寄附をすべて整理します。

2

住宅ローン控除の2年目以降

給与所得者は
年末調整で控除できる

ほかに申告が不要なら
ワンストップ特例を検討

寄附先が年間5自治体以内など、特例の条件を満たすことが必要です。

確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になる

初年度に限らず、医療費控除や副業などで確定申告をする年は、ワンストップ申請を済ませていても、その年のふるさと納税を申告書へ入れます。住宅ローン控除だけを申告し、寄附を抜かさないようにしましょう。

2年目以降でも、自営業などで確定申告が必要な方は申告書に含めます。「2年目以降なら誰でもワンストップ特例が使える」というわけではありません。住民税の申告をする場合も特例の対象外です。

申請や申告を忘れた場合は、ワンストップ申請忘れ・申告漏れの対応をご覧ください。

参考:国税庁 No.1230「調書方式による住宅借入金等特別控除」、国税庁 No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」、大阪市「ふるさと納税ワンストップ特例制度」。

2.所得控除と税額控除の順序を知る

確定申告をする場合、ふるさと納税の寄附金控除は「所得控除」、住宅ローン控除は「税額控除」です。差し引く段階が異なります。

所得税を計算する順序のイメージ

  1. 1
    所得から、所得控除を差し引く

    ふるさと納税の寄附金控除は、ここで反映されます。

  2. 2
    課税される所得から、所得税額を計算

    所得控除が増えると、税額控除を適用する前の所得税額が小さくなります。

  3. 3
    所得税額から、住宅ローン控除を差し引く

    所得税で引ける金額には、その年の所得税額による制約があります。

仕組みを示す簡略図です。他の税額控除、分離課税、復興特別所得税などの計算は省略しています。

そのため、寄附金控除で所得税額が小さくなると、所得税から引ける住宅ローン控除の額が小さくなる場合があります。所得税から引ききれない住宅ローン控除は、一定の範囲で翌年度の住民税の控除対象になります。

ワンストップ特例は、控除の経路が異なります。

ふるさと納税の控除は、所得税相当分も含めて翌年度の住民税から受けます。所得税の寄附金控除を使う場合とは計算経路が異なりますが、特例の要件や控除の限度は確認が必要です。

住宅ローン控除を受けているという理由だけで、ふるさと納税ができなくなるわけではありません。どの税金から、いくら控除できるかを分けて確認します。

参考:国税庁 No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」、国税庁 No.1200「税額控除」、大阪市「税額控除額の種類と計算」、大阪市「ふるさと納税ワンストップ特例制度」。

3.住民税へ回る住宅ローン控除にも限度がある

所得税から引ききれなかった住宅ローン控除が、すべて自動的に住民税から引かれるわけではありません。住民税の住宅ローン控除には、居住開始年などに応じた限度があります。

架空例:住宅ローン控除の配分を考える

控除可能額30万円
−
所得税で控除20万円
=
引ききれない額10万円
残りの10万円 → 住民税の限度額を確認

10万円の全額が住民税から控除されるとは限りません。適用される限度額と所得割額の範囲で確認します。

単位:万円。控除可能額と所得税での控除額を仮定した説明例です。実際の適用額や寄附上限を算出した例ではありません。

寄附を加えたとき、両方の控除を使えるかを見る

上の図で、寄附金控除により「所得税で控除できる部分」がさらに小さくなれば、住宅ローン控除の引ききれない額は増えます。住民税側の限度まで既に使っている場合などは、増えた分を控除できず、税負担の軽減が想定より小さくなることがあります。

これは、所得控除・税額控除の計算順と、住民税の住宅ローン控除の限度を組み合わせた注意点です。併用時は、ふるさと納税だけの上限の目安と、両制度を通じた実際の軽減額を区別して確認します。

住宅ローン控除額を、そのまま寄附上限から引かない

ふるさと納税の特例控除額の限度は、住民税の所得割額のうち調整控除後の額を基にします。納付する住民税の年額や、住宅ローン控除を差し引いた後の税額をそのまま使うわけではありません。

「住宅ローン控除が20万円あるので、寄附上限も20万円減る」といった単純な計算はしません。所得・各種控除・住宅ローン控除の適用条件を反映して試算します。

入居年・住宅の区分に合う制度で確認

住民税へ控除できる範囲は一律ではありません。入居年や取得条件等を合わせて確認します。特定増改築等に係る住宅借入金等は、住民税の住宅ローン控除の対象ではありません。

参考:大阪市「税額控除額の種類と計算」、国税庁 No.1211-1「住宅の新築等をし、2022年以降に居住の用に供した場合」。

4.寄附前に確認する資料と項目

給与年収と家族構成だけを使う簡易な早見表では、住宅ローン控除との関係を十分に反映できない場合があります。次の資料をそろえ、住宅ローン控除に対応した試算で確認します。

1今年の所得・控除

給与・賞与・副業所得、社会保険料、扶養、医療費など。

2住宅ローン控除

居住開始年月日、住宅の区分、年末残高、控除可能額など。

3寄附と申告予定

寄附済みの合計、追加予定、確定申告をするかどうか。

源泉徴収票の「控除額」と「控除可能額」を区別

年末調整で住宅ローン控除を受けた方は、源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除の額」を確認します。所得税から控除しきれない場合には、「住宅借入金等特別控除可能額」も確認対象です。源泉徴収税額がゼロであることだけでは、住民税への控除や寄附上限までは判断できません。

初年度は、住宅ローン控除の計算明細書、借入れの年末残高が分かる資料、売買契約や住宅の区分が分かる資料などを用意します。必要書類は、取得した住宅と利用する制度によって異なります。

年末残高は紙の証明書に限りません。調書方式に対応した金融機関では、マイナポータル連携による年末残高等情報を利用できるため、借入先の方式と準備手続を確認してください。

大阪市の税額試算案内では、その年の収入・控除を入力して試算できます。寄附時点でその年の所得等が確定していなければ、結果は目安です。入力欄や対応範囲を確認し、住宅ローン控除を省いた結果を確定額として扱わないようにします。

育休・転職・退職が重なる方は、収入が変わる年の確認ポイントもご覧ください。前年の源泉徴収票だけで今年の上限を決めないことが大切です。

参考:e-Tax「作成コーナーで住宅ローン控除を入力したい」、国税庁 No.1211-1「住宅の新築等をし、2022年以降に居住の用に供した場合」、国税庁 No.1230「調書方式による住宅借入金等特別控除」、大阪市「市民税・府民税・森林環境税に関するQ&A」。

5.申告と翌年度の通知書で確認する

確定申告では、住宅ローン控除と寄附金控除の両方が反映されたかを確認します。2年目以降に年末調整で住宅ローン控除を受けた方も、確定申告をする場合には、その内容を申告へ反映します。

提出前の3つの確認

  • 住宅ローン控除の情報が、申告内容に反映されているか。
  • ワンストップ申請済みを含む、その年のふるさと納税をすべて入れたか。
  • 第二表の寄附金に関する事項と、住民税に関する事項の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄を確認したか。

e-Taxの作成コーナーでは、源泉徴収票に記載された住宅ローン控除は給与所得の入力から反映します。別の住宅ローン控除入力と重ねて二重に計上せず、その年分の画面案内に従ってください。

住民税決定通知書では、2種類の控除を分ける

翌年度の通知書では、住宅ローン控除と寄附金税額控除の内訳を確認します。「税額控除額」の合計を、すべてふるさと納税による控除とみなさないようにします。

例えば2026年中の寄附は、2027年度の住民税で確認します。確定申告をした場合の所得税の還付額には、住宅ローン控除や源泉徴収の精算なども含まれるため、還付金の総額だけでふるさと納税の効果を判定できません。

通知書の見る箇所は、住民税決定通知書でふるさと納税の控除を確認する方法に図解しています。不明な内訳は、課税した市区町村の住民税担当へ確認してください。

参考:国税庁 No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」、e-Tax「作成コーナーで住宅ローン控除を入力したい」、大阪市「市民税・府民税・森林環境税に関するQ&A」。

よくあるご質問

住宅ローン控除の初年度も、ふるさと納税はできますか?

併用は可能です。ただし住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告が必要です。ワンストップ申請済みの分を含め、その年のふるさと納税を申告書に入れます。控除上限と両制度を適用した税負担は別途確認します。

2年目以降ならワンストップ特例を使えますか?

給与所得者が住宅ローン控除を年末調整で受け、ほかに確定申告や住民税の申告が不要で、寄附先が年間5自治体以内などの条件を満たせば利用できます。医療費控除や副業で確定申告をする場合は利用できません。

源泉徴収税額がゼロなら、ふるさと納税の控除もゼロですか?

それだけでは判断できません。住宅ローン控除後の所得税がゼロでも、住民税に寄附金税額控除が適用される場合があります。住宅ローン控除の可能額・住民税への控除・寄附上限を分けて確認します。

住宅ローン控除額を、ふるさと納税の上限から引けばよいですか?

そのような単純計算ではありません。ふるさと納税の上限の目安と、住宅ローン控除を含めた実際の軽減額は別に確認します。今年の所得・各種控除・入居年等を反映した試算が必要です。

住宅ローン控除と寄附を含めて、申告内容を確認する

初年度の申告や、医療費・副業なども重なる場合は、住宅の取得資料、給与の源泉徴収票、寄附の証明書などをご用意ください。大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、必要な確認・申告の範囲を整理し、料金を事前にご案内します。

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この記事の執筆者

岡田 健志|公認会計士・税理士

岡田健志公認会計士・税理士事務所(大阪市福島区)

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2026年10月8日に国税庁・大阪市の公表資料を確認。主な根拠:所得税法第78条、租税特別措置法第41条・第41条の2の2・第41条の2の3、地方税法第37条の2・第314条の7・附則第5条の4・第5条の4の2・第7条等。図は制度を説明するための模式図です。対象年分・居住開始年・住宅の区分・個別の所得と控除に応じて確認してください。

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