TAX RETURN GUIDE
医療費控除と
ふるさと納税
申告前に、5項目を確認。
医療費控除とふるさと納税は、要件を満たせば同じ年分で利用できます。気をつけたいのは、医療費控除のために確定申告をすると、申請済みのワンストップ特例も無効になることです。
医療費だけで申告を終えず、その年のふるさと納税も一緒に確認しましょう。
1.申告するなら、その年の寄附をすべて確認
同じ年分の確定申告をする場合、ワンストップ特例を申請した寄附も含めて、寄附金控除の計算に入れます。寄附先が5自治体以内でも、ワンストップ特例を残したまま、医療費控除だけを別に申告する扱いにはなりません。
申告に含める内容
その年に支払った対象医療費と、保険金などの補てん額を整理。
その年の寄附をすべて確認。ワンストップ特例を申請済みの分も含みます。
↓ 同じ年分の確定申告へ
給与などの所得や、年末調整済みの控除等も含めて申告書を作成します。上の2項目だけで申告書が完成するわけではありません。
例えば、2026年中の寄附について、2027年に2026年分の医療費控除を申告する場合です。2025年中の寄附と混ぜず、年分をそろえて準備します。
2.医療費控除額と、還付額を分けて考える
医療費控除は、一定の金額を所得から差し引く制度です。支払った医療費や医療費控除額が、そのまま振り込まれる制度ではありません。
医療費控除の計算例 | 金額の単位:万円
= 医療費控除額 5万円
この5万円は「所得から差し引く金額」です。
実際の還付額は、税率・ほかの控除・源泉徴収税額などによって変わります。
総所得金額等が200万円以上で、対象医療費20万円に対応する補てん額が5万円という架空例です。
総所得金額等が200万円未満なら、差し引く基準額は総所得金額等の5%です。医療費控除額は最高200万円で、計算結果がマイナスの場合は0円です。「医療費が10万円以下だから対象外」とは限りません。
保険金や高額療養費などは、その給付の対象となった医療費から差し引きます。補てん額が余っても、関係のない別の医療費から一律に引く取扱いではありません。
根拠:所得税法第73条。国税庁 No.1120「医療費を支払ったとき」
3.寄附上限の目安を見直す
ふるさと納税の上限目安は、給与収入だけでは決まりません。医療費控除などで住民税の所得割額が小さくなると、自己負担を2,000円に収められる寄附額の目安も下がる場合があります。
前年の目安を、そのまま使わない
- 1今年の収入
給与・副業など、その年の所得を確認。
- 2今年の控除
医療費控除、扶養、社会保険料などを反映。
- 3上限を再確認
既に寄附した額も確認して、追加の寄附を検討。
住民税のふるさと納税の特例控除には、調整控除後の所得割額の20%という上限があります。医療費控除額と同じ金額だけ寄附上限が下がる、という計算ではありません。
当事務所のかんたんシミュレーターは、医療費控除がある場合には対応していません。
対象外の条件を「該当しない」として計算せず、医療費控除を反映できる自治体の試算案内や個別の確認をご利用ください。
寄附する時点では年間の収入・控除が確定していないこともあります。試算結果を確定額とは扱わず、条件が変わったら見直します。
参考:大阪市 税額控除額の種類と計算、市民税・府民税等のQ&A(Q15:寄附金の試算)。上限への影響は、掲載されている算式と所得控除の関係に基づく説明です。
4.医療費と寄附の資料をそろえる
- 医療費通知・領収書
- 実際の支払日と支払額
- 保険金・高額療養費などの補てん額
- 医療費控除の明細書
- その年の寄附金受領証明書等
- 自治体・寄附日・金額の一覧
- 給与所得の源泉徴収票等
- ほかの所得・控除の資料
医療費は診療を受けた年だけでなく、実際に支払った年を確認します。医療費通知と手元の領収書を両方使う場合は、同じ支払を二重に集計しないようにします。寄附も、年間証明書と個別の受領証明書の重複を確認してください。
医療費控除の明細書を作成し、対象となる領収書は原則として確定申告期限等から5年間保存します。医療費通知で記載を簡略化する場合などは、国税庁の提出・保存要件を確認します。
ふるさと納税転記ノートは、寄附の整理に使えます。
医療費控除額や寄附上限の計算は行いません。2025年分の転記補助・2026年分の明細整理という対応範囲を確認してご利用ください。
提出前は、寄附金控除だけでなく、申告書の住民税に関する寄附の欄にも反映されているか確認しましょう。
5.申告後に寄附の入れ忘れに気づいたら
「ワンストップを申請したから大丈夫」と思って医療費控除だけで確定申告を済ませた場合は、申告書の控えと寄附の証明書を照合します。
誤りを直した申告書を、期限内に改めて提出する方法を確認します。
税額が多すぎた・還付が少なかった場合は、更正の請求を検討します。
申告期限内でも、既に還付処理が行われている場合には、同じ方法で訂正できないことがあります。国税庁の期限内訂正の案内を確認し、税務署へ相談してください。
更正の請求の期間は原則として法定申告期限から5年以内です。ただし、寄附金控除を追加しても最終的な所得税等の額が変わらない場合は、国税庁は更正の請求ができないとして、お住まいの市区町村への相談を案内しています。提出済みかどうか、年分、税額への影響によって手続を確認します。
根拠:国税通則法第23条。国税庁 No.2026「確定申告を間違えたとき」、No.1155(寄附金控除の申告漏れ)
よくあるご質問
ワンストップ特例を申請済みでも、寄附を入力し直すのですか?
はい。同じ年分の確定申告をする場合は、申請済み分を含むふるさと納税を寄附金控除の計算に入れます。医療費控除だけの申告で終えないよう、年間の寄附一覧と照合してください。
医療費が10万円以下なら、医療費控除は使えませんか?
総所得金額等が200万円未満の方は、差し引く基準額が総所得金額等の5%になります。対象医療費と補てん額を整理して判定します。給与の額面年収と総所得金額等は同じではありません。
医療費控除を受けると、ふるさと納税はできなくなりますか?
要件を満たせば両方を利用できます。ただし、同じ年分の確定申告には寄附も含めます。また、医療費控除を反映すると上限の目安が変わる場合があるため、収入やほかの控除も含めて試算し直します。
かんたんシミュレーターに医療費控除を入力できますか?
当事務所の現行のかんたんシミュレーターでは、医療費控除がある方は対象外です。寄附の明細整理にはふるさと納税転記ノートを使えますが、医療費控除や上限額は別に確認してください。
申告内容をまとめて確認したい方へ
対象年、申告済みかどうか、医療費と寄附の資料がどこまでそろっているかをお知らせください。申告書の作成・見直しなど、必要な対応範囲と料金を事前にご案内します。
あわせて確認したい記事
2026年10月7日に国税庁・大阪市の公表資料を確認。主な根拠:所得税法第73条・第78条、国税通則法第23条、地方税法第37条の2・第314条の7及びワンストップ特例関係規定。例示は架空で、個別の控除・還付額を保証するものではありません。