TAX RETURN GUIDE
医療費控除の
明細書の書き方
領収書を、人別・支払先別にまとめて転記。
医療費の領収書がたまっていても、明細書へ1枚ずつ書き写す必要はありません。まず医療費通知に載っている分を分け、残りを「医療を受けた人」と「病院・薬局などの支払先」で整理します。
この記事では、通常の医療費控除の明細書を作る順番を、架空の領収書と記入例で説明します。セルフメディケーション税制の明細書とは別の様式です。
1.最初に、通知と領収書を分ける
対象は、その年にご自身が支払った、ご自身又は生計を一にする配偶者・親族のための医療費です。診療日だけでなく、実際に支払った年を確認します。
同じ支払を、両方へ入れない
必要な事項が記載された通知を確認。明細書の「1 医療費通知に記載された事項」へ。
通知に含まれない支払を集計。「2 医療費(上記1以外)の明細」へ。
↓ 最後に「3 控除額の計算」へ
例えば、医療費通知に含まれない時期の支払や、対象となる市販薬・通院交通費などです。医療費通知を使わず、領収書から明細を作る方法もあります。マイナポータル連携などで取り込んだ支払も、手入力分と重複させないようにします。
すべてのレシートが対象になるわけではありません。治療に必要な医薬品と、病気の予防・健康増進のための購入は分けて確認してください。
根拠:所得税法第73条。国税庁 No.1120「医療費を支払ったとき」、No.1122「医療費控除の対象となる医療費」
2.医療費通知の3つの金額を確認する
明細書の上段では、通知の自己負担額、そのうち対象年に実際に支払った額、その支払に対する補填額を分けます。通知に載っている医療費総額の10割分を、そのまま自己負担額として入力しないようにします。
通知を使う分の記入例 | 単位:円
- (1)通知に記載された医療費の額(自己負担額)
- 80,000
- (2)(1)のうち、その年中に実際に支払った額
- 80,000
- (3)(2)に対応する保険金などの補填額
- 10,000
すべて対象年に支払い、対象となる医療費に対応する補填額が10,000円ある架空例です。欄名は説明のため一部短くしています。
通知の支払額と実際の負担額が違うときは、領収書や助成の資料を照合します。医療費通知を使うには、被保険者等の氏名、療養を受けた年月、療養を受けた人、病院・薬局等、支払った医療費の額、保険者等の名称という6項目が原則として必要です(後期高齢者医療広域連合が発行する通知では、療養を受けた人の氏名の記載は不要です)。項目が不足する通知は、そのまま記載簡略化に使わず、領収書に基づく明細の作成方法を確認します。
3.人別・支払先別にまとめて記入する
通知へ含めていない支払を「医療を受けた人」と「支払先」の組合せでまとめます。同じ人が同じ病院へ複数回通った場合は、年間の合計を1行にできます。
例:同じ人・同じ病院の領収書 | 単位:円
4月の領収書4,500
5月の領収書6,500
↓ 4,500 + 6,500 = 11,000
- 医療を受けた方の氏名
- Aさん
- 病院・薬局などの支払先の名称
- ○○内科
- 医療費の区分
- 診療・治療
- 支払った医療費の額
- 11,000
- そのうち保険金などで補填される金額
- 0
対象年の支払で、医療費通知との重複・補填がない架空例です。説明用の図であり、国税庁の画面を再現したものではありません。
別の人・支払先は、行を分けて整理
上の例に、薬局での購入とBさんの通院を加えた整理表です。国税庁の明細書では、医療費の区分は該当するものをすべて選びます。
単位:円。スマートフォンでは表を左右に動かせます。
| 医療を受けた人 | 支払先 | 区分 | 支払額 | 補填額 |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | ○○内科 | 診療・治療 | 11,000 | 0 |
| Aさん | △△薬局 | 医薬品購入 | 3,000 | 0 |
| Bさん | ○○内科 | 診療・治療 | 8,000 | 0 |
| 計 | 22,000 | 0 | ||
正式な区分は「診療・治療」「介護保険サービス」「医薬品購入」「その他の医療費」です。通院のための対象となる電車・バス代は「その他の医療費」へ。利用日、医療を受けた人、通院先、区間、金額を記録して集計します。自家用車のガソリン代・駐車場代は対象になりません。
参考:国税庁 明細書の記載要領、No.1122(通院費等の範囲)
4.保険金などは対応する医療費から差し引く
高額療養費や入院給付金などは、給付の対象となった医療費に対応させます。家族全員の年間医療費から、保険金の総額を一律に引くと、控除対象額が小さくなりすぎる場合があります。
給付金が医療費を上回った例 | 単位:円
支払額:100,000
対応する給付金:120,000
差し引く額:100,000
支払額:30,000
対応する補填:なし
残る対象医療費:30,000
入院分で余る20,000円を、別の通院分から引きません。給付の対象となる範囲が上記のとおり分かれている架空例です。
この対応関係は、人別・病院別に合算する前に確認しておくと整理しやすくなります。申告時に補填額が確定していない場合は、見込額を差し引き、後日確定した額と違うときは申告の訂正手続を確認します。
また、医療費の集計額と医療費控除額は別です。対象医療費から補填額と基準額を差し引いて控除額を計算し、その控除額がそのまま還付されるわけではありません。
根拠:所得税法第73条、所得税基本通達73-10。国税庁 No.1120(保険金などで補填される金額)、同Q&A(補填額が未確定の場合)、明細書の記載要領。控除額の計算は医療費控除とふるさと納税の記事でも説明しています。
5.整理した金額をe-Taxへ入力する
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、控除の入力画面から「医療費控除」を選びます。医療費通知・連携で取り込んだ分と、残りの明細を分けて入力し、画面の案内に従って確認します。
- 1資料を集計
通知以外の分を人別・支払先別に整理。支払額と補填額を確認します。
- 2同じ欄へ転記
氏名・支払先・医療費の区分・支払額・補填額を入力します。
- 3元資料と照合
通知と領収書の重複、金額、年分を確認して先へ進みます。
無料の医療費整理ノートを使う場合
表形式の入力欄やCSV取込で明細を整理し、集計結果を転記の下書きに使えます。ノートの「医薬品」は明細書の「医薬品購入」、「通院交通費」は「その他の医療費」に対応させます。介護保険サービスなどは対象範囲と正式な区分を別途確認してください。
ノートのCSVは、e-Taxへ直接取り込むためのファイルではありません。
国税庁の「医療費集計フォーム」は別のExcel様式です。ファイルを取り込む方法を使う場合は、申告する年分の公式フォームと利用案内を確認してください。
スマートフォンでも、整理表の金額と入力欄の名称を照合して進めます。画面の名称・配置や取込方法は、年分・端末・選択した作成方法によって異なります。この記事は2026年10月8日時点の公表資料に基づく案内です。
参考:e-Tax 「医療費控除の入力方法を教えてください。」、国税庁 医療費集計フォーム(確認時点の案内は2025年分)
6.提出前の照合と、資料の保存
- 実際に支払った年と、申告する年分が一致しているか。
- 医療費通知・マイナポータル連携・領収書の間で、同じ支払を重複させていないか。
- 対象となる医療費だけを集計し、保険金などを対応する支払から差し引いているか。
- 整理表と申告画面で、支払額・補填額・氏名・支払先が一致しているか。
領収書に基づいて作成する場合、領収書は原則として確定申告期限等から5年間保存します。一定の医療費通知を添付して記載を省略した部分には例外があります。「e-Taxだから全部処分してよい」とは考えず、使った資料に応じた保存要件を確認してください。
ふるさと納税のワンストップ特例を申請している方は、同じ年分の確定申告をすると特例が適用されなくなるため、寄附の申告も必要です。医療費控除とふるさと納税の確認項目もあわせて確認しましょう。
参考:国税庁 No.1120(提出書類・保存)、No.1155「ふるさと納税」
よくあるご質問
領収書を1枚ずつ明細書に書く必要がありますか?
人別・病院や薬局などの支払先別に合計して記入できます。同じ支払を医療費通知の欄にも重ねて入れないよう、集計前に資料を分けてください。
家族の医療費も一緒に整理できますか?
ご自身が支払った、生計を一にする配偶者や親族のための対象医療費は整理できます。氏名を分けて入力し、誰が支払ったかも確認します。ほかの家族の申告と同じ支払を重複させないようにしてください。
医療費通知に載っていない支払はどうしますか?
対象となる支払は、領収書や通院交通費の記録などに基づいて、通知以外の明細へ整理します。通知にないことだけを理由に対象外とはせず、医療費控除の対象かを確認します。
医療費整理ノートのCSVをe-Taxに取り込めますか?
ノートのCSVはe-Taxへの直接取込用ではありません。集計結果を転記の下書きに使ってください。国税庁の医療費集計フォームを使う場合は、別途、公式のExcel様式と対象年分の案内を確認します。
資料の整理から申告まで確認したい方へ
対象年、医療費通知の有無、領収書の整理状況、保険金などの資料がそろっているかをお知らせください。必要な対応範囲と料金を事前にご案内します。
あわせて使える記事・ツール
2026年10月8日に国税庁の公表資料を確認。主な根拠:所得税法第73条、所得税法施行令第207条、所得税法施行規則第40条の3、所得税基本通達73-10。記入例は架空で、個別の支払が控除対象となることを保証するものではありません。