税務・確定申告

医療費控除は家族分を合算できる?共働き・別居の親がいる場合の確認ポイント

公開:2026年11月4日 / 執筆:公認会計士・税理士 岡田健志

2026年中に支払った医療費について、2026年分の確定申告を検討する方向けの解説です。

家族がそれぞれ病院にかかったとき、「医療費は家族全員分をまとめられるのか」「共働きなら、どちらが申告するのか」と迷うことがあります。

医療費控除では、誰の治療費かに加え、誰が実際に支払ったか、その人と治療を受けた親族が生計を一にしているかを確認します。同居しているか、健康保険の扶養に入っているかだけで判断するものではありません。

まず確認するのは「支払った人」と「生計」

2026年分の医療費控除は、2026年1月1日から12月31日までに、本人または本人と生計を一にする配偶者・その他の親族のために支払った医療費を基に計算します。支払っていない医療費は、実際に支払った年を確認します。

確認すること見るポイント
誰のための医療費か本人、配偶者、子、親など、治療を受けた人
誰が支払ったか領収書の宛名だけで決めず、実際の支払者を確認
生計を一にしているか同居・別居だけで決めず、生活費等の負担状況も確認
いつ支払ったか2026年中に実際に支払ったか
保険金等はあるか対応する医療費を補てんする給付を確認

医療費が対象かどうかも別途確認します。領収書がある支出が、すべて自動的に控除対象になるわけではありません。

共働きの夫婦は、どちらが申告する?

例えば、生計を一にする共働きの夫婦について、妻の治療費を夫が支払った場合、その支払分は原則として夫の医療費控除の対象です。妻に所得があることだけで対象外にはなりません。

夫が支払った費用と妻が支払った費用がある場合は、それぞれの実際の負担を確認します。単に税率が高い方へ、家族全員分の支払を自由に付け替えられるという説明にはなりません。同じ医療費を夫婦双方が重複して申告しないよう、支払記録を整理してください。

家族名義のカードや共有口座を使った場合など、誰が負担したか明らかでないときは、引落しや精算の状況を確認します。形式的な名義だけで一律に決めず、個別事情が分からなければ税務署や税理士に相談してください。

子どもの医療費はどう扱う?

本人と生計を一にする子どもの医療費を本人が支払った場合、その支払分は本人の医療費控除の対象になり得ます。共働き家庭では、健康保険の被扶養者がどちらになっているかだけではなく、実際に誰が医療費を支払ったかを確認します。

医療費通知に記載された名前と実際に医療費を負担した人が異なる場合もあります。医療費通知を使う場合は、申告する人が負担した金額と、他の家族の申告と重複していないかを確認しましょう。

別居している親の医療費も対象になる?

別居していることだけで対象外と決まるわけではありません。生活費や療養費の送金状況などから、生計を一にしているかを確認します。そのうえで、親のための医療費を申告者が実際に支払ったかが重要です。

例えば、親とは別居しているものの、生活費を継続して送金し、療養費を本人が支払っている場合は、生計関係や負担の実態を確認します。逆に、別居の親が自分で支払った医療費を、子が実際に負担していないのに子の控除へ入れることはできません。

生計が同じかどうかは具体的な生活状況によります。単に送金の有無だけで結論を出さず、迷う場合は事情を整理して相談してください。

明細をまとめる前に、保険金と支払年を確認する

家族分を整理するときは、支払日、治療を受けた人、医療機関、支払者、金額を分けて記録します。医療費通知と領収書を併用する場合は、同じ支出を二重に集計しないようにします。

入院給付金や高額療養費などがある場合は、その給付の対象となった医療費から差し引きます。引ききれない給付額を、関係のない別の人の医療費から一律に差し引くわけではありません。

家族ごとの領収書の整理や補てん額の確認は、医療費控除の明細書の書き方と保険金・高額療養費の差し引き方でも解説しています。医療費整理ノートは、入力資料を整理するための無料ツールです。

よくある質問

扶養控除の対象でない家族の医療費は対象外ですか?

その理由だけで対象外とは限りません。医療費控除では、生計を一にする配偶者・その他の親族のために、申告者が実際に支払ったかなどを確認します。親族に所得がある場合も、所得があることだけで対象外にはなりません。

年末に受診し、翌年支払った費用はどちらの年分ですか?

原則として実際に支払った年を確認します。2026年に受診し、未払いだった費用を2027年に支払った場合は、その支払年である2027年分の対象となるかを確認します。

保険金を受け取ったら家族全員の医療費から引きますか?

いいえ。給付の対象となった医療費との対応を確認します。補てん額はその対象医療費を限度として差し引き、余った額を他の医療費から一律に引きません。

ご自身で整理したい方・迷う点を相談したい方へ

まずは、確定申告を自分で進める手順と医療費整理ノートをお役立てください。家族の生計関係や支払者、保険金との対応など、個別の判断で迷う場合は確定申告の相談に必要なことをご確認いただけます。対応範囲と料金は事前にご案内します。

参考資料

確認日:2026年11月4日。法令や対象年分の手続は更新される場合があります。

この記事の執筆者:岡田 健志|公認会計士・税理士

岡田健志公認会計士・税理士事務所(大阪市福島区)

代表プロフィールを見る | 税務・確定申告の記事一覧へ

お気軽にお問合せください

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

岡田けんし
公認会計士・税理士事務所

住所

〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島5丁目13-18 福島ビル422号室

アクセス

福島駅から徒歩1分

受付時間

10:00~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日