FURUSATO TAX GUIDE
育休・転職・退職した年の
ふるさと納税
去年と同じ金額を寄附する前に、今年の収入を整理。
育休で給与が減った、転職で勤務先が変わった、年の途中で退職した。このような年は、前年の年収を使った目安では、控除上限を見誤ることがあります。
基準は、寄附した年の1月〜12月の所得と控除です。手元に入るお金をすべて「給与収入」にせず、給与・非課税の給付金・退職金を分けて確認しましょう。
1.今年の収入で上限を見直す
自己負担が原則2,000円に収まる寄附額の目安は、給与の年収だけで決まるものではありません。副業などの所得、社会保険料、扶養、医療費控除なども影響します。
2026年に寄附する場合
その年の所得・控除で確認
寄附金税額控除が反映
2026年度に納めている住民税は、原則として2025年の所得が基準です。今年の寄附上限をそのまま示す金額ではありません。
育休に入る前や退職前に寄附した分も、その年の年間合計に含まれます。寄附した時点で給与を受け取っていたから、その時点の年収見込みで上限が確定するわけではありません。
前年の源泉徴収票は確認項目を知る参考にはなりますが、今年の収入が変わるときは、給与明細や賞与の見込みなどで更新します。
2.育休:給与と給付金を分ける
育児休業給付金などの育児休業等給付は非課税です。出産手当金・出産育児一時金も非課税のため、給与収入に足して上限を見積もることはしません。
一方、育休前・復職後の給与、賞与、育休中に勤務先から受け取る課税対象の給与は確認が必要です。勤務先の給与・手当と、公的な給付金を区別してください。
架空例:4月から育休に入った年
1〜3月は月額30万円の課税給与、4〜12月は勤務先の給与なし。別に課税対象の賞与20万円を受け取った場合。
非課税の給付金を、上の110万円に加算しません。
図は給与収入の集計例です。110万円から寄附上限を示したものではありません。実際の課税給与・賞与・控除で確認します。
給与が少ない年は、控除を受ける税額も確認する
その年の所得が小さければ、ふるさと納税で軽減できる所得税や翌年度の住民税所得割も小さくなります。年収の多かった前年と同額を寄附すると、自己負担が2,000円を超えることがあります。
出産に伴う医療費控除、実際に支払った社会保険料、配偶者に関する控除なども、該当する内容で見直します。医療費控除との関係は、医療費控除とふるさと納税の記事で確認できます。
控除は寄附者本人の所得・税額が基準です。育休中の方が行った寄附を、収入の多い配偶者の寄附として申告し直すことはできません。
参考:厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」Q100、国税庁 No.1191「配偶者控除」Q5・Q6、国税庁 No.1155「ふるさと納税」。
3.転職:前職分を二重に足さない
年の途中で転職した場合は、同じ年の前職と転職先の課税給与・賞与を合計して考えます。手取りの振込額ではなく、課税対象の支払額を確認します。
架空例:前職と転職先の給与を整理
給与の「支払金額」400万円
前職の180万円が既に含まれているなら、180万円をもう一度足しません。
説明用の模式図です。実際の源泉徴収票の様式を再現したものではありません。摘要欄や勤務先の説明で、前職分を含むか確認してください。
年末調整前の見込みと、年末調整後の資料を区別する
転職先の年末調整では、一定の前職給与を含めて精算します。前職の源泉徴収票を提出している場合でも、何が合算されたかを最終的な源泉徴収票で確認します。不明なときは勤務先の給与担当者に確認してください。
年末調整前に上限を見積もるときは、既に受け取った課税給与・賞与に、その年中に支払われる予定の額を加えます。転職後の月給を単純に12倍すると、無職の期間や前職の給与・賞与との差を反映できません。
前職の源泉徴収票が確認できず年末調整を受けられなかった場合などは、確定申告での精算を確認します。副業がある方は、給与と副業所得を分けた控除上限の考え方もあわせてご覧ください。
4.退職:給与・失業給付・退職金を分ける
退職後に再就職しなかった年は、退職までの給与・賞与などを基に確認します。退職前の月給を12倍したり、口座に入った失業給付や退職金を給与に足したりしないようにします。
退職した年の「3つの収入」を整理
その年に支払われる課税給与を集計。源泉徴収票で確認します。
雇用保険の失業等給付は非課税。給与収入に含めません。
一般的な退職一時金は退職所得として別に計算。給与年収の欄へ足しません。
退職金があるから上限が大きくなる、と決めない
退職所得は、原則として他の所得と分離して税額を計算します。一般的な退職一時金のように現年分離課税となる退職所得は、住民税の寄附金税額控除で用いる総所得金額等には含まれません。
所得税への影響も含め、給与だけの簡易な年収表で判断せず、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票も用意して確認します。退職金の受取額を、そのまま給与収入欄へ入れる方法は適切ではありません。
年末調整の有無と、申告する場合の退職所得を確認
年の途中で退職し、同じ年に再就職しなかった方は、一部の例外を除き年末調整を受けていません。源泉徴収された所得税を精算すると、還付を受けられる場合があります。
退職所得は、退職所得の受給に関する申告書を提出して適切に源泉徴収されていれば、一般的にはそれだけで確定申告を要しません。ただし、医療費控除や寄附金控除などのために確定申告をする場合は、退職所得も申告書に記載します。給与の源泉徴収票だけで準備を終えないようにしましょう。
参考:国税庁「2026年分 年末調整Q&A」、国税庁 No.1910「中途退職で年末調整を受けていないとき」、国税庁 No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」、宇都宮市「寄附金控除」。
5.追加で寄附する前の確認順
- 1今年の所得を集める
給与・賞与、副業などの所得を整理。非課税の給付金と退職所得を区別します。
- 2控除と申告予定を更新
社会保険料、医療費、扶養などを確認。年末調整・確定申告の予定も整理します。
- 3寄附済みの合計と照合
見直した年間上限の目安と、その年に既に行った寄附を比べます。
上限の目安は年間の合計額です。寄附サイトごと、自治体ごとに別枠の上限があるわけではありません。複数のサイトを使っているときも、寄附済みの額を一つにまとめます。
賞与・復職時期・再就職時期が未確定なら、収入が多い場合だけでなく、少ない場合も確認してください。既に寄附した金額があるため、見直し後の目安の全額を追加で寄附するわけではありません。
手元にそろえる資料
- その年の給与明細・賞与明細・前職と転職先の源泉徴収票
- 育休・復職・退職・再就職の時期と、その年の支払見込み
- 給付金の種類が分かる通知、退職所得の源泉徴収票
- 副業所得や社会保険料・医療費などの控除資料
- その年の寄附先・日付・金額の一覧と証明書
6.還付申告をするなら、ワンストップ申請済みの寄附も入れる
育休・転職・退職をしたことだけで、ワンストップ特例が使えなくなるわけではありません。原則として、所得税の確定申告や住民税の申告が不要で、寄附先が年間5自治体以内であることなどが条件です。
退職後の還付申告でも同じです
その後、所得税の還付申告をする
申請済み分を含む、その年の寄附をすべて申告へ
「税金を戻してもらうだけの申告だから、ワンストップ特例はそのまま」とはなりません。医療費控除や源泉所得税の精算などで確定申告するときは、ふるさと納税も漏れなく含めます。
確定申告書第二表の寄附金の記載に加え、住民税に関する事項の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄も確認します。
転居した方は、ワンストップ申請の住所も確認
ワンストップ申請後、寄附した翌年の1月1日までに住所などが変わった場合は、原則として翌年1月10日までに寄附先へ変更届を提出します。確定申告に切り替える場合も、申請した寄附を含めて整理してください。
申請忘れ・申告漏れへの対応は、ワンストップ申請を忘れたときの対応フローへ。手続後は、翌年度の住民税決定通知書で控除を確認する方法もご覧ください。
よくあるご質問
育休中は、ふるさと納税をしない方がよいですか?
育休中かどうかだけでは決まりません。その年の課税給与・賞与、他の所得と各種控除で確認します。非課税の育児休業給付金などを給与収入に足さず、前年の年収をそのまま使わないことが大切です。
転職先の源泉徴収票に、前職の給与をもう一度足しますか?
転職先で前職分を含めて年末調整している場合は、支払金額に前職分が含まれているため、重ねて足しません。摘要欄や勤務先への確認により、含まれる範囲を確かめてください。
退職金を給与年収に足して、控除上限を計算できますか?
一般的な退職一時金は退職所得として別に計算するため、その受取額を給与年収に足す方法は適切ではありません。給与と退職所得の源泉徴収票をそろえ、所得税・住民税への影響を分けて確認します。
退職後に還付申告をするだけでも、ワンストップ特例は無効になりますか?
はい。還付申告も所得税の確定申告です。ワンストップ申請済みの分を含め、その年のふるさと納税をすべて申告に含めます。
収入が変わった年の申告を相談する
育休・転職・退職の時期、給与や退職金の資料、寄附済みの金額をお知らせください。大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、申告の要否や必要資料、ふるさと納税を含む申告内容を確認します。相談内容と対応範囲を確認し、料金を事前にご案内します。
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2026年10月8日に国税庁・厚生労働省・自治体の公表資料を確認。主な根拠:所得税法第30条・第78条・第190条、雇用保険法第12条、健康保険法第62条、地方税法第37条の2・第314条の7・附則第7条等。数値は架空の集計例です。個別の寄附上限を保証するものではなく、対象年の所得・控除・申告内容により確認してください。