FURUSATO TAX GUIDE

副業がある人の
ふるさと納税、
上限はどう考える?

売上・所得・控除を分けて、追加寄附の前に確認。

公開:2026年10月8日 / 執筆:公認会計士・税理士 岡田健志

給与だけで出した上限に、副業の売上をそのまま足していませんか。副業がある場合は、収入の種類に応じて所得を計算し、その年の控除も含めて上限の目安を見直します。

この記事は、給与と、業務委託などの副業がある方のための確認ガイドです。制度の全体像はふるさと納税の基本、申告手続は副業とワンストップ特例の注意点で説明しています。

1.上限は、その年の所得と控除から考える

ここでいう「上限」は、ふるさと納税による年間の自己負担を原則2,000円に収められる寄附額の目安です。寄附できる金額そのものに、この上限があるという意味ではありません。

給与と副業に別々の寄附枠があるわけではなく、本人の1年間の所得と控除をもとに、所得税・住民税への影響を合わせて確認します。2026年中の寄附なら、2026年分の所得税と2027年度の住民税に関係します。

上限を確認する順番

  1. 1所得をそろえる

    給与の見込みと、副業の収入・必要経費を整理。

  2. 2控除を反映する

    社会保険料、扶養、医療費控除などを確認。

  3. 3年間の上限を試算

    対象年・所得の種類に対応する方法で計算。

住民税の特例控除には、所得割額(調整控除後)の20%という限度があります。「年収が同じなら上限も同じ」とは限りません。また、住民税決定通知書は、その年度の前年の所得に基づくため、今年の所得・控除が変わる場合は参考資料として扱います。

根拠:所得税法第78条、地方税法第37条の2・第314条の7。国税庁 No.1155、大阪市「ふるさと寄附金について」、大阪市「税額控除額の種類と計算」

2.副業の売上を、そのまま年収へ足さない

まず、副業が勤務先からの「給与」なのか、業務委託などの「報酬」なのかを分けます。給与であれば複数の勤務先の給与収入を合計し、給与所得を計算します。業務委託などで事業所得・業務に係る雑所得に当たる場合は、原則として総収入金額から必要経費を差し引きます。

架空例:業務に係る雑所得の場合

単位:万円

副業の総収入100
−
必要経費40
=
副業の所得60

100万円すべてが所得になるわけではありません。40万円は全額が税務上の必要経費に該当し、他の調整がないと仮定した例です。

給与の分

給与収入から
給与所得控除等を反映

→ 給与所得

報酬の副業の分

総収入100万円
− 必要経費40万円

→ 雑所得60万円
給与所得 + 副業の所得
↓
各種控除・税額を確認して、上限を試算

給与収入の欄に「給与収入+副業の売上」を入力すると、所得の計算が合わなくなります。使う試算サービスが副業所得に対応しているか、入力欄が「収入」か「所得」かを確認してください。

事業所得に当たるかは実態で判断します。適用がある場合の青色申告特別控除なども反映が必要です。また、雑所得の赤字は、給与所得と損益通算できません。副業が赤字ならそのまま給与から差し引ける、と考えないようにしましょう。

参考:国税庁 No.1500「雑所得」、No.1350「事業所得」、No.1410「給与所得控除」、No.2250「損益通算」

3.収入・経費・控除の変化を反映する

年初の予想から副業の利益が変わったときは、上限も再確認します。収入が増えても経費も増えていれば、所得が同じだけ増えるとは限りません。税率や控除の条件も関係するため、「利益がいくら増えたから、同額だけ寄附できる」という計算はしません。

所得の見込みを更新

  • 本業の給与・賞与は予定どおりか。
  • 副業の収入と必要経費は年末まで集計できているか。
  • 転職・休職などで年間収入が変わっていないか。

控除の見込みを更新

  • 扶養の状況や家族の所得は変わっていないか。
  • 社会保険料や各種掛金を反映しているか。
  • 医療費控除などを追加する予定はないか。

医療費控除などの所得控除が増えると、課税所得や住民税所得割額が下がり、ふるさと納税の上限が下がる場合があります。医療費の支払総額と医療費控除額は別なので、補填額や基準額を反映した控除額で確認します。詳しくは医療費控除とふるさと納税をご覧ください。

住宅ローン控除は税額控除で、医療費控除などの所得控除とは仕組みが異なります。併用する場合は、所得税からの控除と住民税への影響を含めて確認します。借入残高や控除額を、寄附上限からそのまま差し引く計算ではありません。

対象年の制度に対応した試算を使ってください。
前年の入力結果を流用する場合も、所得・控除・税制の対象年を確認します。当サイトの「かんたんシミュレーター」は給与所得者向けの簡易版で、副業など給与以外の所得がある方は対象外です。

参考:国税庁 No.1120「医療費控除」、大阪市「税額控除額の種類と計算」。上限への影響は、これらの控除・税額計算の仕組みに基づく説明です。

4.寄附済み額を引いて、追加額を検討する

上限の目安を見直したら、同じ年に、同じ本人名義で行った寄附の合計額と比べます。複数のポータルサイト、自治体への直接寄附、ワンストップ特例を申請した分も一緒に整理します。

架空例:年間上限の目安が変わったら

下の上限6万円・5万円は、差引きの説明のために置いた仮定です。前の副業所得60万円から算出した金額ではありません。

単位:万円

当初の見込み

年間上限の目安6
−
寄附済みの合計4
=
残りの目安2

所得・控除を見直した後

見直し後の上限5
−
寄附済みの合計4
=
残りの目安1

追加寄附は、見直した後の数字で検討します。見込みが確定していなければ、残りの目安をすべて使い切る前に変動の余地を考えます。

この差引きに、さらに2,000円を足す計算はしません。「自己負担2,000円となる年間の寄附上限」と「すでに寄附した額」を同じ基準で比べます。寄附済み額が見直し後の上限を超えている場合は、自己負担が2,000円より多くなる可能性があります。

寄附額はサイトごとの購入履歴だけでなく、受領証明書や年間証明書も照合します。同じ寄附を2回数えたり、別サイトの分を落としたりしないようにしてください。

制度の根拠:国税庁 No.1155。差引きの図は当事務所作成の説明例です。

5.年末にそろえる資料と、申告の確認

  • 給与:当年の給与・賞与明細。源泉徴収票が出る前は、残りの支給予定も含めて見積もります。
  • 副業:収入の一覧、必要経費の明細、年末までに発生する取引の見込み。入金・出金だけでなく、対象年に計上する収入・経費を整理します。
  • 控除:社会保険料、保険料・掛金の証明書、扶養家族の所得見込み、医療費・補填額など。
  • 寄附:本人名義の寄附日・自治体・金額・証明書。対象年をそろえます。

2026年の寄附に使う試算であれば、2026年分の所得税と2027年度の住民税に対応しているか確認します。副業所得などを入力できる自治体の税額試算や詳細計算でも、対象年度と適用範囲の確認が必要です。現時点で別年度の試算しかない場合は、その結果を今年の確定値として扱いません。

副業などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した寄附も含めて申告します。「副業が20万円以下なら、上限の計算から無条件に除いてよい」という意味でもありません。申告の要否と住民税の扱いは副業の確定申告とふるさと納税で確認できます。

参考:国税庁 No.1155、大阪市の制度・税額試算案内。

よくあるご質問

副業の売上を給与年収に足して試算してよいですか?

業務委託などの報酬は、そのまま給与収入の欄に足しません。所得の区分を確認し、事業所得・業務に係る雑所得であれば、必要経費などを反映した所得を、対応する欄へ入力します。副業も給与の場合は複数の勤務先の給与収入を合計して給与所得を計算します。

副業が黒字なら、ふるさと納税の上限は必ず増えますか?

副業以外の所得や各種控除も関係するため、黒字だけでは判断できません。給与・副業・控除を含めた年間の見込みを更新し、対象年に対応した方法で試算します。

副業の雑所得が赤字なら、給与から引いてよいですか?

雑所得の赤字は給与所得と損益通算できません。事業所得か雑所得かは実態に基づき判断し、上限を下げるために区分を選ぶことはできません。

当サイトのかんたんシミュレーターで副業分も計算できますか?

給与所得者向けの簡易版のため、副業など給与以外の所得がある場合は対象外です。副業所得と控除を扱える詳細な試算方法で確認してください。

副業と寄附の状況をまとめて相談する

給与・副業の収入と経費、控除の資料、寄附済み額をそろえると、確認が必要な点を整理できます。大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、ご相談内容と必要な作業範囲を確認し、料金を事前にご案内します。

あわせて確認したい記事

この記事の執筆者

岡田 健志|公認会計士・税理士

岡田健志公認会計士・税理士事務所(大阪市福島区)

代表プロフィールを見る →

2026年10月8日に国税庁・大阪市の公表資料を確認。主な根拠:所得税法第27条・第28条・第35条・第69条・第73条・第78条、地方税法第37条の2・第314条の7。総合課税となる給与と副業を中心とした一般的な説明です。分離課税の所得、損失の繰越し、税額控除などがある場合は個別に確認します。図の金額は架空の説明例で、個別の寄附上限を示すものではありません。

税務・確定申告の記事一覧へ →

お気軽にお問合せください

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

岡田けんし
公認会計士・税理士事務所

住所

〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島5丁目13-18 福島ビル422号室

アクセス

福島駅から徒歩1分

受付時間

10:00~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日