法人の税務顧問・切替時期
税理士を変更するタイミングはいつ?
期中・決算前・申告後の進め方
「決算が終わってから税理士を変えるべきでしょうか」と相談されることがあります。法人の税理士変更に、すべての会社に共通する最適な月はありません。先に決めたいのは、次の決算・申告を誰が担当し、現在の顧問契約をいつまで続けるかです。
変更をまだ決めていない場合は、顧問を変える前のセカンドオピニオンも選択肢です。この記事では、交代する場合の「時期」に絞ります。資料や権限の具体的な引継ぎは法人の税理士変更チェックリストをご覧ください。
まず次の4つの日付を並べる
| 日付 | 確認する内容 |
|---|---|
| 決算日 | 決算整理と申告準備をいつ始めるか。 |
| 次の申告・納付期限 | 法人税などの対象税目と、適用される期限延長の有無。 |
| 現契約の終了日 | 契約書の解約予告期間、決算・申告報酬と月額顧問料の範囲。 |
| 新契約の開始日 | 新しい税理士が帳簿を確認し、担当業務を開始できる日。 |
法人税の確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出します。ただし期限延長などの例外があるため、自社の期限を確認してください(国税庁:法人税の確定申告)。消費税や地方税、源泉所得税の期限も別に確認します。顧問契約の終了日が、申告期限を自動で延ばすことはありません。
期中に変更する場合
期中は、新しい税理士が決算前に数か月分の帳簿と業務の流れを確認できる余地があります。一方、月次記帳をどこまで旧税理士が行い、何月分から新税理士が引き受けるかを曖昧にすると、未処理の取引や二重作業が残ります。
たとえば「9月分まで旧税理士が入力・確認、10月分から新税理士」と月で区切り、試算表、残高、未処理明細と証憑の保管場所を共有します。年末調整、法定調書、償却資産申告、消費税の中間申告など、期中の業務が近い場合は担当を個別に決めます。契約書に定める解約予告と報酬の扱いも先に確認してください。
決算直前に変更する場合
決算直前は、次の申告までに帳簿の未処理を解消し、決算方針を確認する時間が取れるかが重要です。新しい税理士が依頼を受けられるかは、資料の整備状況や期限までの期間で変わります。契約を先に終了させる前に、新税理士が決算・申告を担当できるか、範囲と着手日を確認します。
旧税理士が途中まで作成した決算資料、税務上の検討事項、前期からの繰越項目を誰が確認するかも決めます。申告だけを新税理士へ依頼する場合と、記帳・決算から依頼する場合では必要な作業が異なります。見積りと責任範囲を文書でそろえておくと、認識違いを減らせます。
決算後から申告前に変更する場合
決算日を過ぎても、申告書の作成や電子申告が終わっていなければ、その期の作業は残っています。この時期は「決算書は誰が確定するか」「法人税・消費税・地方税の申告書を誰が作り、提出するか」「税務署からの連絡を誰が受けるか」を税目ごとに整理します。
新税理士に途中から依頼する場合は、前任者の作成途中の数字をそのまま前提にできるとは限りません。帳簿・証憑と申告資料の確認時間を見込み、受任の可否、追加の確認作業、報酬総額を着手前に相談してください。期限が迫っている場合ほど、空白の担当期間を作らないことが大切です。
申告後に変更する場合
前期の申告が完了した後は、新しい期の月次記帳から担当を切り替えやすくなります。ただし、申告後にも納付確認、申告書・決算書の控え、税務署や自治体からの通知、修正・更正に関する照会が残る場合があります。前期について後から照会が来たときの窓口と、前期の資料を誰が保管するかを決めてください。
「申告後まで待てば必ず安全」というわけではありません。現在の顧問への不安が大きい場合や、今期の月次を立て直したい場合は、契約終了前に別の税理士へ相談し、現顧問の継続、セカンドオピニオン、交代を比較できます。
交代日までに決めておきたい担当表
| 業務 | 決めること |
|---|---|
| 月次記帳・残高確認 | 何月分まで旧税理士が完了し、何月分から新税理士が確認するか。 |
| 決算・各税目の申告 | 対象事業年度と税目ごとに、作成・レビュー・提出の担当者。 |
| 未完了の相談・届出 | 期限、作成途中の資料、判断の根拠、誰が引き継ぐか。 |
| 電子申告・税務代理 | 新旧の委任関係、メッセージボックスや通知の確認担当。 |
| 会計ソフト・資料 | 会社の管理権限、帳簿と証憑の控え、新担当者のアクセス。 |
税務代理の委任関係が終了した場合、税理士側の税務代理権限証書に関する委任関係終了の届出や、e-Taxの委任関係の解除も確認事項です。会社・旧税理士・新税理士で、それぞれ必要な対応を確認してください。freee会計を使う会社は事業所と権限の引継ぎも併せて確認できます。
相談時に伝えていただきたいこと
次の情報が分かれば、切替時期と依頼範囲を検討しやすくなります。分からない項目は「不明」のままで構いません。
- 決算月、次の申告・納付期限、期限延長の有無
- 現在の顧問契約の終了希望日と解約予告期間
- 何月分まで記帳・月次確認が終わっているか
- 次の決算・申告を誰に依頼したいか、相談したい論点
- 利用中の会計ソフトと、会社側で帳簿・証憑を確認できるか
当事務所では、現状と期限を確認したうえで、受任できる範囲、着手時期、必要な資料をご案内します。相談フォームに機密資料やログイン情報を入力する必要はありません。
よくある質問
決算直前でも税理士を変更できますか?
変更自体は検討できますが、新しい税理士が期限までにどの業務を受けられるかを先に確認してください。記帳の進み具合、申告期限、作成途中の資料によって、必要な作業と受任の可否が変わります。
申告が終わるまで待つべきですか?
一律には決まりません。次の申告の担当者、契約終了日、帳簿の状態、相談したい問題を並べて判断します。交代前に特定の論点だけ相談する方法もあります。
今の税理士にはいつ伝えればよいですか?
まず契約書の解約予告期間を確認します。そのうえで、新しい税理士の受任範囲と開始日、申告や月次の担当を決め、引継ぎに必要な時間を見込んで連絡します。通知方法や報酬の精算は契約内容に従います。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。国税庁・e-Taxの案内を2026年10月13日に確認。契約条件、対象税目、期限延長の有無、会社の資料状況によって進め方は異なります。