法人の税務顧問・連絡文例
税理士を変更するとき、
今の税理士にはどう伝える?
「税理士を変えたいが、今の先生に何と言えばよいか分からない」。法人の顧問変更では、連絡の言い回し以上に、契約を終える日と、その時点で残る仕事を明確にすることが大切です。感情的な理由を並べるより、希望日、次の申告の担当、資料の受け渡しを具体的に伝えると、会社側も引継ぎを管理しやすくなります。
この記事では、現在の顧問税理士への連絡文例と、連絡の前後に確認したい事項を紹介します。契約の終了条件や精算は契約書ごとに異なるため、文例の日付・方法をそのまま使わず、自社の契約と進行中の業務に合わせてください。
連絡前に確認する5項目
- 顧問契約の終了条件:契約期間、解約の予告期間・通知方法、月額顧問料と決算・申告報酬の範囲を契約書や見積書で確認します。
- 近い期限と担当者:法人税・消費税・地方税の申告・納付、源泉所得税、年末調整や届出など、進行中の業務を並べます。誰がどこまで担当するか、終了日だけで判断しないでください。
- 後任の開始時期:後任の税理士に、受任できる業務と開始日を事前に相談します。まだ決まっていない場合は、急ぐ期限と未完了の仕事を先に洗い出します。
- 資料とデータの所在:申告書・決算書の控え、帳簿、固定資産台帳、会計ソフトの管理者、証憑の保管場所を確認します。具体的な資料は法人の税理士変更チェックリストにまとめています。
- 費用の精算:終了月の顧問料、着手済みの決算・申告業務、追加業務の精算方法を契約に沿って確認します。返金・追加請求の扱いを一律には決められません。
変更時期の選び方は期中・決算前・申告後の比較をご覧ください。変更を決める前に別の見方を聞きたい場合は、法人の税務セカンドオピニオンから始める方法もあります。
最初の連絡文例:終了希望日と担当範囲を伝える
まずは、終了希望日と、終了までの業務を確認したい旨を簡潔に伝えます。契約で通知方法が定められている場合はそれに従い、電話で話した内容も日付・担当を確認できる形で残しておくと整理しやすくなります。
件名:税務顧問契約に関するご連絡
〇〇先生
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
社内で検討した結果、顧問体制を見直すことになりました。現在の契約条件を確認したうえで、〇年〇月〇日を目安に顧問契約を終了したいと考えています。
終了日までにご対応いただく業務、進行中の申告・届出、報酬の精算について、確認の機会をいただけますでしょうか。
引継ぎに必要な資料や会計データの受け渡し方法も、あわせて相談させてください。これまでのご対応に感謝しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
これは文面の例です。**「終了することが確定しているのか」「契約上いつ終了できるのか」**を区別してください。予告期間が未確認なら、上のように「目安」「相談」として、契約上の終了日を確認してから確定します。変更理由を取り繕ったり、現顧問の判断を一方的に非難したりする必要はありません。
次の連絡文例:未完了業務と資料を確認する
終了日が決まったら、前任・後任・会社の担当を一覧にします。未完了業務の抜けを防ぐため、資料の依頼は「すべて一式」ではなく、対象年度と資料名を示すと確認しやすくなります。
件名:顧問契約終了に伴う業務・資料の確認
〇〇先生
顧問契約の終了に向け、以下の点を確認させてください。
1.現在進行中の決算・申告・届出と、それぞれの期限・ご担当範囲
2.何月分まで記帳・残高確認が完了しているか
3.当社へお渡しいただく申告書控え、帳簿・固定資産台帳等と受渡方法
4.会計ソフト・電子申告に関する権限や通知の確認事項
5.終了日までの報酬の精算
不足や確認が必要な点があれば、お知らせください。後任との直接の引継ぎが必要な場合は、当社から進め方をご相談します。
相手からの回答は、会社側でも保存してください。後任との直接連絡や資料共有が必要な場合は、対象・方法を会社が確認して進めます。会計ソフトの権限を見直すときは、先に会社が管理者とデータの所在を把握してください。freee会計を使う法人は事業所・権限・未承認仕訳の引継ぎもご確認ください。
税務代理とe-Taxの委任関係は別に確認する
顧問契約の終了連絡だけで、税務代理やe-Tax上の委任関係が自動的にすべて切り替わると考えないでください。国税庁は、税務代理権限証書に記載した委任が終了した場合の通知手続を案内しています(国税庁:税務代理の委任が終了した旨の通知)。また、e-Taxの委任関係の登録は、原則として納税者または税理士が解除するまで継続します(e-Tax:委任関係の登録と解除)。
会社、前任、後任の間で、税務代理の終了・新しい委任、通知の受領先、e-Tax上の登録や解除を誰が確認するか決めてください。対象の税目・期間や利用している機能により確認内容が異なります。
連絡後に会社が残す確認メモ
終了日だけでなく、次の5行を一つのメモに残すと、後任への説明にも使えます。
| 項目 | 会社が記録する内容 |
|---|---|
| 契約 | 終了日、予告・通知の方法、報酬の精算状況 |
| 期限 | 次の申告・納付・届出の日付と担当者 |
| 業務 | 記帳済みの月、申告書や届出書の作成・提出状況 |
| 資料 | 受け取ったもの、不足しているもの、保管場所 |
| 権限 | 会計ソフト、税務代理、e-Taxの委任関係の確認担当 |
このメモを後任との相談時に見せれば、受任範囲と必要な追加作業を話し合いやすくなります。顧問契約を急いで終えるか迷う場合も、まず期限と担当を確認してください。
当事務所へ相談する場合
大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、法人の税務顧問の変更や、変更前のセカンドオピニオンをご相談いただけます。現在の決算月、近い申告・納付期限、記帳済みの月、顧問契約の終了予定日、利用中の会計ソフトを分かる範囲でお知らせください。申告書や帳簿の詳細確認が必要な場合は、対象範囲と料金を着手前にご案内します。
よくある質問
後任の税理士が決まる前に、現在の顧問へ連絡してもよいですか?
連絡はできますが、近い申告・納付期限と未完了業務の担当を先に整理してください。後任が受けられる時期と範囲が未定のまま、申告担当に空白ができないよう確認します。
税理士を変える理由を詳しく説明する必要がありますか?
契約に定められた通知事項を確認したうえで、連絡文では希望する終了日と業務の区切りを明確にします。事実と異なる理由を作る必要はありません。対応への不満を伝える場合も、具体的な業務や連絡事項に絞ると確認が進みます。
会計ソフトのメンバーを削除すれば引継ぎは終わりますか?
終わりません。帳簿・証憑・未処理の取引、申告・納付の担当、税務代理やe-Taxの委任関係も確認してください。権限の変更は、会社の管理者とデータの保管状況を確認して進めます。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。2026年10月14日時点の国税庁・e-Tax公表資料を確認。契約条件、税務代理の範囲、未完了業務、料金の精算は会社ごとに確認が必要です。