法人の税務顧問・契約前の確認

税務顧問は何をしてくれる?
法人の業務範囲と確認事項

公開:2026年10月14日 / 執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

「顧問料を払えば、記帳から申告まで全部任せられるのか」。税務顧問を初めて依頼する法人にも、今の契約を見直す法人にも、重要な問いです。税務顧問という名称だけで、依頼する業務や対応頻度は決まりません。 見積書と契約書で、会社が行う作業と税理士が行う作業を分けて確認します。

この記事では、記帳・月次確認・税務相談・決算申告を順に整理し、契約前に確認したい項目を示します。現在の契約に疑問がある場合も、まず約束した業務範囲と実際の運用を照らし合わせるところから始められます。

税理士の業務と、顧問契約の範囲は分けて考える

税理士法上の税理士業務には、税務代理、税務書類の作成、税務相談があります(国税庁:税理士法第2条関係)。税理士は、これらに付随する会計帳簿の記帳なども取り扱います(日本税理士会連合会:税理士とは)。

ただし、税理士が取り扱える業務が、個々の顧問契約にすべて含まれるわけではありません。たとえば「申告書の作成を依頼する」ことと「日々の領収書を整理して仕訳を入力してもらう」ことは別の作業です。契約では、対象の法人・年度・税目、記帳の分担、確認頻度、決算申告、追加業務を具体的にします。

記帳は誰が行い、どこまで確認するか

まず、請求書・領収書・通帳などの資料を誰が集め、会計ソフトへ誰が入力するかを決めます。会社が入力する場合でも、税理士に何を確認してほしいかは異なります。勘定科目の相談、残高の照合、未処理取引の確認、決算前の修正事項など、対象と頻度を確認してください。

記帳代行を依頼する場合は、資料の受渡方法、入力の対象期間、提出期限、会社が確認する内容を決めます。過去月の未入力や残高不一致の修正まで通常の月額に含まれるとは限りません。freeeなどの会計ソフトを使う場合は、事業所の管理者、閲覧・編集権限、口座連携の明細を誰が処理するかも明確にします。

月次確認と税務相談の進め方

月次確認では、どの月までの帳簿を、いつ、どの資料と照合し、結果をどう共有するかを確認します。数字の報告だけでなく、処理が止まっている取引、資料不足、決算までに判断が必要な事項を共有できると、申告前の確認が進みます。

税務相談は「いつでも何でも無制限」とは考えず、相談できる担当者、連絡方法、通常の回答の進め方、資料調査や書面による回答が必要な場合の扱いを聞いてください。役員報酬や設備取得などは、取引の事実と時期によって判断が変わります。契約の範囲や着手前の見積りを確認したうえで相談します。

決算・申告で確認する対象と期限

決算書の作成と法人税等の申告書の作成・提出を、誰が、どの範囲で担当するかを確認します。月額顧問料とは別に決算・申告報酬が設定される契約もあれば、月額に含める契約もあります。消費税申告、地方税申告、電子申告の代理送信、納付方法の案内についても、対象を明記してもらうと比較しやすくなります。

会社側は、決算前に必要な資料の提出時期、未確定の取引の伝え方、申告内容を確認する機会、申告書控えの受渡方法を確かめてください。申告期限が近いときや期中から依頼するときは、開始前の月の帳簿を誰が整えるかも重要です。

顧問料とは別に確認したい業務

次の業務は、事務所や契約によって取り扱いと料金が異なります。見積書に含まれていないものが必要になったときの相談先と、追加の見積り方法も確認してください。

業務 契約前に聞きたいこと
記帳代行・過年度の修正 入力する人、対象期間、資料整理や残高修正の範囲
消費税申告 申告書の作成・提出と、課税方式の確認が対象か
年末調整・法定調書・償却資産申告 作業と提出の担当、対象人数や資料の準備方法
税務調査対応 事前相談、立会い、調査後の対応の範囲と料金
経営資料・資金繰り 月次の数字の共有に加え、分析や計画づくりを依頼するか
会計ソフトの設定・運用 初期設定、権限管理、口座連携、運用見直しの担当

税務調査の連絡が来てから依頼を検討する場合は、顧問税理士がいない場合の初動も参考になります。顧問契約があれば、追加業務が自動的にすべて含まれるわけではありません。

見積りを比べるときの6項目

金額を見る前に、同じ業務を比較しているかを確認します。契約書や見積書で、次の6項目を並べてみてください。

  1. 記帳入力・資料整理は会社と税理士のどちらが行うか。
  2. 月次の確認は何を、どの頻度と方法で行うか。
  3. 税務相談の対象、担当者、資料調査が必要な場合の扱い。
  4. 決算・法人税等の申告と消費税申告の料金の分け方。
  5. 年末調整、税務調査、会計ソフト支援など追加業務の扱い。
  6. 契約開始時期、過去月の整理、契約終了時の資料の受渡方法。

現在の顧問契約が希望と合わない場合は、先に不足している業務を具体的に伝える方法があります。税務判断に疑問が残るなら法人の税務セカンドオピニオン、変更を検討するなら法人の引継ぎチェックリストを参考にしてください。

当事務所の税務顧問について

岡田健志公認会計士・税理士事務所では、法人の記帳・月次確認、税務相談、決算・申告を、会社の体制と資料に応じて支援します。記帳の分担、確認の頻度・方法、申告業務の範囲を契約前に決めます。税務顧問の支援内容をご覧ください。

料金ページでは、税務顧問の二つのプランを掲載しています。どちらも決算料の追加はなく、消費税申告書の作成は別途料金です。期中からの開始や記帳代行、論点が多い場合の取り扱いも現行の料金案内で確認できます。正式な範囲と料金は、現状とご希望を伺って着手前にお見積りします。

初回は、決算月、直近の申告書・決算書、利用中の会計ソフト、記帳済みの月、希望する支援を、分かる範囲でお知らせください。資料が揃っていなくても、まずは必要な確認事項から整理します。お問い合わせフォームには概要を記載し、申告書や帳簿の共有方法はご案内後に確認してください。

よくある質問

顧問契約があれば記帳もすべて任せられますか?

記帳入力や資料整理を含むかは契約内容によります。会社が入力し、税理士が月次確認を行う形もあります。資料の収集、入力、照合、修正の担当を分けて確認してください。

決算料は毎月の顧問料に含まれますか?

事務所ごとに料金体系が異なります。当事務所の税務顧問プランには決算料の追加はありませんが、消費税申告書の作成は別途料金です。契約前に対象税目と追加業務を含めた見積りをご確認ください。

税務調査や年末調整も顧問契約に含まれますか?

一律には決まりません。税務調査の事前相談・立会い・調査後の対応、年末調整や法定調書の作成・提出について、それぞれ契約の対象と料金を確認してください。


執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。2026年10月14日時点の国税庁・日本税理士会連合会の公表資料と当事務所の料金案内を確認。業務範囲と料金は個別の契約・見積りによります。

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