法人の決算・申告を進める
法人の決算後にやること|申告・納付までの流れと期限
決算日を過ぎると、帳簿を締め、決算書と申告書を作り、税金を納めるまでの作業が続きます。最初に決めたいのは、自社の申告・納付期限と、会社・税理士それぞれの担当です。
法人税の確定申告・納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。その間に資料の確認や決算の承認も必要になるため、申告期限から逆算して進めます。この記事では、一般的な国内の株式会社・合同会社を念頭に、決算後の流れを整理します。会社の形態や期限延長の有無などによって必要な手続は変わります。
- 01資料・残高期末の取引を確認
- 02決算案・税額内容と資金を確認
- 03決算確定・申告承認と受付を確認
- 04納付・引継ぎ完了と保存を確認
まず、自社の申告・納付期限を確認する
決算月だけでなく、対象事業年度の開始日・終了日、期限延長の適用状況を確認します。 法人税と地方法人税の確定申告・納付は原則2か月以内で、期限が土曜日・日曜日・祝日等に当たるときは、その翌日が期限となります。国税庁:法人税等の申告、申告と納税
例えば、2026年9月期(決算日2026年9月30日)で期限延長等がなければ、法人税等の原則期限は2026年11月30日(月)です。消費税の課税期間を短縮している場合などは、別途その期限も確認します。
確認する税金は、法人税だけではありません。次の表は主な申告先の整理です。
表は横にスクロールできます。
| 主な税金 | 申告先 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 所轄税務署 | 対象事業年度、期限延長、既に納めた中間税額 |
| 防衛特別法人税 | 所轄税務署 | 対象事業年度が2026年4月1日以後に開始しているか |
| 消費税・地方消費税 | 所轄税務署 | 課税事業者か、課税期間、消費税の期限延長届出の有無 |
| 法人住民税・法人事業税・特別法人事業税 | 関係する都道府県・市町村 | 事務所等の所在地、提出先、期限延長の手続と中間税額 |
防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から、各事業年度の所得に対する法人税を課される法人が対象です。対象法人は防衛特別法人税額が0でも確定申告が必要です。「2026年4月以後に決算日が来るか」だけで判定しないようにしてください。e-Tax:防衛特別法人税の創設に関する案内
法人の消費税も、課税事業者であれば原則として課税期間終了後2か月以内に申告します。地方税は各自治体の案内で確認し、事務所等が複数の自治体にある場合は提出先を漏れなく整理します。国税庁:法人の消費税の提出期限、大阪府:法人府民税、大阪市:法人市民税
決算日から申告まで、何を進める?
資料をそろえる日、会社が回答する日、決算内容を確認する日を先に共有すると、作業の停滞を減らせます。 次の順番を基本に、会社と税理士の契約範囲に合わせて担当を決めます。
1.期末までの取引と残高を確認する
売上・仕入・経費の計上漏れ、未入金・未払の取引、預金・借入金の残高、在庫や固定資産の資料などを確認します。期末後に届いた請求書も、請求書の発行日だけで判断せず、取引の内容と対象期間を確かめます。
資料不足や判断待ちは、対象の取引、必要な資料、確認する人、回答予定日を一覧にします。記帳が途中なら決算前に記帳が終わっていないとき、残高に差があるなら試算表の残高が合わないときの確認順を参考にしてください。
2.決算案と税額を確認し、納税資金を見込む
決算整理を行い、決算書と申告書の作成を進めます。経営者は、売上・利益・資産負債の大きな変化、未解決事項、主な税務調整の理由を確認します。利益額だけで納税額を推測せず、税目ごとの計算結果と中間納付額を確認してください。
納税資金は、税額がすべて確定する前から概算で確保し、確定後に更新します。税理士には「年間の税額」と「中間納付等を差し引き、今回実際に納める額」を分けて伝えてもらうと、支払予定を作りやすくなります。資金繰り表の作り方も参考にできます。
3.決算を確定し、申告書と添付書類を提出する
法人税の確定申告は、確定した決算に基づいて行います。株式会社では株主総会等、会社の機関設計に応じた承認手続と日程を確認します。申告書には決算書、勘定科目内訳明細書、事業概況に関する書類などが必要になるため、提出書類を税理士とすり合わせます。国税庁:法人税のあらまし「申告の種類と内容」
電子申告後は、送信した申告書の控えと受付結果を受け取ります。国税と地方税のそれぞれについて、会社名、対象事業年度、提出先、税目、受付結果を確認し、追加の提出書類が残っていないかも確かめます。
4.納付完了を確認し、翌期へ引き継ぐ
納付は、選んだ方法に従って手続を行い、完了まで確認します。口座からの引落しなら残高と実際の引落結果、納付書なら領収証書等を確認します。税理士へ申告を依頼している場合も、誰が納付手続を行い、誰が完了を確認するかを決めておきます。
最後に、決算書・申告書・受付結果・納付記録を会社でも保管し、会計ソフトの翌期首残高を確定決算と合わせます。翌期の中間申告・納付の予定や、今回資料が遅れた項目も引き継ぐと、次の決算の準備につながります。
2026年9月期の進め方の例
次は、2026年9月30日決算、申告期限の延長なし、消費税の課税期間短縮なしの会社を想定した架空の作業計画です。各月の作業日は法定期限ではなく、会社と税理士で決める目安です。
表は横にスクロールできます。
| 時期 | 会社と税理士で進めること | 完了の目安 |
|---|---|---|
| 9月末まで | 棚卸し等の準備、担当・提出日・納付方法の確認 | 決算後に必要な資料と担当が決まっている |
| 10月前半 | 資料回収、期末取引・残高の確認 | 不足資料と確認事項が一覧になっている |
| 10月後半~11月前半 | 決算案・税額の確認、納税資金の準備 | 経営者への説明と残る確認の日程が決まっている |
| 11月中 | 決算の承認、申告書等の提出、納付手続 | 各提出先の受付結果と納付予定を確認できる |
| 11月30日まで | 原則期限までの申告・納付、控えの保管 | 申告の受付と納付完了をそれぞれ確認できる |
例えば、11月に入っても在庫の集計が終わっていなければ、「資料一式を出しました」で終わらせず、残っている作業と回答予定日を税理士へ伝えます。期限が近いときほど、未解決事項を具体的に共有することが大切です。
申告した後、納付で確認すること
申告の受付結果と、税金の納付結果はそれぞれ確認します。 e-Taxのダイレクト納付は、事前の届出等に加え、即時納付や納付日の指定などの手続が必要です。申告データを送っただけで、選択していない納付方法が自動的に実行されるわけではありません。e-Tax:ダイレクト納付による納税手続
- 税目・提出先ごとの今回の納付額と納付期限
- 納付方法、手続を行う人、使用する口座
- 口座残高と、引落日または支払日の予定
- 受付・納付の完了記録の保管先
税目ごとに納付方法が異なる場合があります。防衛特別法人税についても当面の納付方法が案内されているため、対象年度は利用する方法を確認してください。国税庁:防衛特別法人税の納付手続
申告期限を延長している場合の注意点
延長の対象税目、適用事業年度、必要な届出、延長期間中の利子税等を確認します。 法人税の定款の定め等による期限延長は、原則として最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までに申請する制度です。決算後に作業が遅れたことだけで、当然に期限が延びるものではありません。国税庁:定款の定め等による申告期限の延長
法人税の延長を受けていても、消費税を延長するには、要件を満たしたうえで消費税申告期限延長届出書の提出が必要です。通常の法人では適用を受ける事業年度末までの提出を確認します。法人住民税等についても自治体への届出を確認してください。国税庁:消費税の期限延長、大阪市:法人市民税Q&A・Q15
定款の定め等による申告期限延長の期間には、国税の利子税や地方税の延滞金が生じる場合があります。延長後の申告日だけを予定表に入れず、元の期限を踏まえた見込納付の要否・金額・日程も税理士と相談します。国税庁:法人税の申告期限延長の説明、大阪府:法人府民税の納める方法
災害等による期限延長は別の制度です。期限が迫っているときは、自社の状況に使える手続を税理士や所轄税務署等へ確認してください。
よくある質問
赤字なら申告や納付は不要ですか?
赤字で納付する法人税がない場合も、原則として法人税の確定申告は必要です。また、法人住民税の均等割や消費税など、法人税とは別に申告・納付が必要になる税金を確認してください。大阪市も、赤字の場合の法人市民税の申告と均等割の納付を案内しています。
会計ソフトで決算書ができれば申告も終わりますか?
決算書を作成した後も、税務上の調整、申告書・添付書類の作成、提出と受付確認、納付手続が必要です。会計ソフトと申告ソフトの対応範囲を確認し、会社と税理士の担当を決めてください。
決算日を過ぎてから税理士へ相談できますか?
相談できます。対応可能な範囲は、申告期限までの日数、記帳の進み具合、資料の状況などによります。決算日、期限延長の有無、入力済みの月、未解決事項を先に伝えると、必要な作業を整理しやすくなります。
決算・申告と、毎月の経理をつなげる
岡田健志公認会計士・税理士事務所では、法人の記帳・月次確認から決算・申告まで、会社の状況に応じて支援をご案内します。決算で見つかった資料不足や確認の遅れを、翌期の月次経理チェックリストへ反映すると、毎月の経理も進めやすくなります。
ご相談の際は、決算日、申告期限、利用中の会計ソフト、記帳済みの月、依頼したい範囲を分かる範囲でお知らせください。対象業務と料金は、資料と作業量を確認して着手前にご案内します。