法人の決算・申告

法人の決算・申告を税理士に相談する前に|必要資料・依頼範囲・相談時期

公開:2026年10月19日 / 執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

「今期の決算・申告を税理士に頼みたい」と思っても、何を準備し、どこまで依頼できるのか分からないことがあります。最初の相談では、帳簿や資料を完成させてから連絡する必要はありません。決算月と申告期限、記帳がどこまで進んでいるか、税理士に任せたい範囲を、分かるところから伝えると、対応方法を検討しやすくなります。

この記事は、中小法人が決算・申告について相談する前の整理表です。申告書の作成方法を一律に示すものではありません。実際の受任可否と見積りは、資料、期限、依頼範囲を確認して決まります。

まず確認するのは「期限・帳簿・依頼範囲」

最初に次の三つをメモしてください。全部分からなくても、そのまま「未確認」と伝えれば構いません。

  1. 期限:決算月、対象の事業年度、法人税等の申告期限、消費税申告の要否と期限、既に期限延長の手続をしているか。
  2. 帳簿:利用中の会計ソフト、入力が済んだ月、預金・売掛金・借入金などの残高確認、未入力や資料不足の有無。
  3. 依頼範囲:決算書と申告書の作成だけか、過去月の記帳・残高の修正から必要か。申告後の月次確認も希望するか。

法人税の確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に提出します。期限延長の特例などがある場合は個別に確認が必要です。消費税の課税事業者である法人も、原則として課税期間終了の日から2か月以内に確定申告を行います。「決算が終わってから相談すればよい」と決めず、実際の期限を先に確かめてください。 国税庁:法人税等の申告/国税庁:法人の消費税の提出期限

最初の連絡で伝える6項目

問い合わせフォームや電話では、まず概要を伝えます。申告書や会計データそのものを、連絡前に送る必要はありません。

  1. 会社の事業内容と決算月、相談したい事業年度。
  2. 申告・納付の期限と、期限延長の有無。分からなければ「未確認」。
  3. 現在の担当者。社内で記帳しているか、顧問税理士がいるか、決算・申告の作業がどこまで進んでいるか。
  4. 利用中の会計ソフトと、入力済みの月。紙・Excelで管理している場合はその状況。
  5. 依頼したい範囲。記帳や資料整理、決算書、法人税等・消費税等の申告、申告後の継続支援のうち、何を希望するか。
  6. 特に確認したい取引や、資料不足・残高不一致など、進行を止めている事項。

顧問税理士がいる場合は、現在の契約でどの事業年度の決算・申告を誰が担当するかを確認してください。相談をしただけで担当が切り替わるわけではありません。税理士変更が必要な場合は、法人の引継ぎ項目も参考になります。

詳細確認で使う資料は、手元にあるものから

初回連絡の後、依頼範囲を検討する段階で、次の資料の有無を確認します。すべて揃っていない場合も、不足している資料と未処理の期間を伝えてください。

  1. 前期の決算書・申告書控え、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書。
  2. 当期の試算表、総勘定元帳、会計ソフトの入力状況。
  3. 預金通帳や入出金データ、売掛金・買掛金、借入金、固定資産の内訳。
  4. 請求書・領収書、給与・役員報酬に関する資料など、未処理取引を確かめるための記録。
  5. 過年度から持ち越した未解決事項、税務署等からの通知や届出の控え。

これは相談時の確認例であり、どの会社にも同じ資料を一式求める趣旨ではありません。申告に必要な書類や検討事項は会社の取引・税目によって変わります。資料の受渡し方法も、相談後に確認してください。国税庁:法人税等の申告書・添付書類

「決算・申告だけ」と継続支援をどう選ぶか

その事業年度の決算・申告だけを依頼したい場合も、記帳済みの数字をそのまま申告書へ転記すれば終わるとは限りません。未入力取引、預金等の残高差異、役員との取引、消費税区分などがあれば、決算前の確認や修正が必要です。見積りでは、対象の事業年度・税目、会社と税理士の作業分担、資料整理や修正の範囲を具体的にします。

一方、期中から月次の数字や税務上の判断を確認したい会社では、継続的な税務顧問が選択肢になります。決算直前だけでは判断や準備が難しい事項もあるためです。顧問契約に含まれる業務は事務所ごとに異なるので、税務顧問の業務範囲と当事務所の税務顧問を確認し、希望する支援を伝えてください。

当事務所の税務顧問の料金案内では、月額に決算料を含め、消費税申告書の作成は別途料金としています。今回の決算・申告のみの依頼に同じ料金が適用されるという意味ではありません。 対応できる範囲と料金は、期限、記帳・資料の状況を確認し、着手前にご案内します。料金・プラン

期限が近いときは、未整理のまま早めに状況を伝える

申告期限が近い場合は、資料が揃うまで連絡を待つと、確認や修正に充てられる時間が短くなります。期限、帳簿の最終入力月、未処理の量、現在の担当者を先に伝えてください。引き受けられるか、どこまで進められるかは、その時点の作業量と資料を確認して判断します。

申告期限の延長が認められているか、消費税にも延長が及ぶかは、申請・届出の状況によって異なります。「法人税の期限が延びているから消費税も同じ」とは判断できません。国税庁:法人の消費税の提出期限と延長

よくある質問

帳簿がまだ完成していなくても、相談できますか?

相談できます。入力済みの月、未入力の取引、預金等の残高差異、手元にない資料を分かる範囲で伝えてください。必要な記帳・修正の範囲と、対応可否・料金は資料を確認してご案内します。

決算・申告だけを依頼する場合、顧問契約は必要ですか?

依頼先や業務内容によります。当事務所では、希望する対象年度・税目、帳簿の状況と期限を伺い、今回の依頼と継続支援のどちらが適切かを含めて、対応範囲をご案内します。どちらの場合も、着手前に範囲と料金を確認します。

申告期限が迫っています。すぐに引き受けてもらえますか?

期限だけでは判断できません。帳簿・資料の状況、必要な修正、対象となる申告を確認して受任可否をお伝えします。まず決算月、期限、作業の進行状況をお知らせください。

決算・申告について相談する

岡田健志公認会計士・税理士事務所では、法人の記帳・月次確認から決算・申告まで、会社の状況に応じた支援をご案内します。最初の連絡では、決算月、対象年度、申告期限、利用中の会計ソフト、記帳済みの月、希望する依頼範囲を、分かる範囲でお知らせください。資料が揃っていなくても、まず必要な確認事項から整理します。


執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。2026年10月19日時点の国税庁の法人税等・消費税の案内と、当事務所の公開料金案内を確認。申告期限、受任範囲、料金は会社ごとの状況と契約内容により異なります。