法人の決算前に
法人の決算が近いのに記帳が終わっていないとき|確認順と相談の準備
決算が近いのに記帳が途中で止まっていると、「まず領収書を全部入力しなければ」と考えがちです。しかし、どの月のどの取引が未処理か分からないまま入力すると、口座連携の明細との二重登録や、資料がない取引の見落としが起こります。最初に期限、入力済みの期間、未処理の種類を見えるようにしてください。
この記事では、法人が決算前に記帳を再開するための確認順を示します。個別の勘定科目、計上時期、消費税区分や決算整理仕訳は、取引内容と資料によって判断します。
先に決算日と申告期限を確認する
決算日、対象事業年度、法人税等の申告期限を確認します。法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。期限延長の適用がある場合や、消費税の申告が必要な場合は、それぞれの期限を別に確認してください。法人税の延長だけで消費税も自動的に延びるとは限りません。国税庁:法人税等の申告/国税庁:法人の消費税の申告期限
期限が近い場合は、記帳を完成させてから相談する順番にこだわらず、現在の進行状況を早めに伝えます。対応できる範囲や日程は、未処理の量と資料の状態を確認して決める必要があります。
月別に「入力済み・未入力・確認待ち」を分ける
会計ソフトの仕訳帳や総勘定元帳を開き、最後に入力した月を確認します。ただし、その月までの全取引が入力済みとは限りません。月ごとに次の三つをメモすると、作業の残りが分かります。
- 入力済み:銀行・カード・現金、売上・仕入、給与などで、記録と資料の対応を確認できたもの。
- 未入力:取引があることは分かっているが、会計ソフトに登録されていないもの。
- 確認待ち:明細はあるが内容が分からないもの、請求書などが未着のもの、計上時期や税区分の判断が必要なもの。
「何月から全部未入力」だけでなく、入力済みの月に残る未処理も拾います。例えば、預金は連携済みでも、売掛金の計上や給与の記録が終わっていない場合があります。国税庁も、法人が取引を帳簿へ記録し、帳簿と取引関係書類を保存することを案内しています。国税庁:帳簿書類等の保存期間
銀行・カードの明細と、入力済みの行を先に照合する
銀行口座、法人カード、現金の記録を、同じ期間の会計ソフトの帳簿と比べます。口座連携を使っている場合は、未取込・未登録の行と、取込済みだが未処理の行を区別します。手入力した取引が連携明細にもあるときは、同じ取引を二度登録しないように確認してください。
入出金の金額だけで取引の内容を推測せず、請求書・契約書・給与資料などと結び付けます。不明な行は日付、金額、相手先、確認した資料をメモし、無理に科目や税区分を決めません。既に登録されたデータを一括削除したり再取込したりする前に、現在の帳簿と未処理一覧を保管しておくと、経緯を追いやすくなります。
売上・仕入と、決算で必要な資料を並べる
銀行明細だけでは、未入金の売上や未払いの仕入・経費は分かりません。発行した請求書、受け取った請求書、契約書、入出金記録を取引先別・月別に並べ、帳簿にあるか確認します。給与・役員報酬、借入金の返済、固定資産の購入・売却、棚卸資産なども、会社に該当するものを確認します。
資料がない取引は「資料未着」、内容が分からないものは「内容確認待ち」、会計処理に判断が要るものは「処理判断待ち」と分けます。資料不足を架空の領収書や推測した金額で埋めないでください。記帳に使った原資料と、確認した担当者・日付を追える形で残します。
入力を進めた後は残高を確認する
未入力の取引を整理して登録したら、預金、売掛金、買掛金、借入金などの残高を外部資料と照合します。入力が進んでも残高が合わない場合は、差額を消す仕訳を先に入れず、どの科目の、いつ時点の差額かを確認します。具体的な照合順は決算前に試算表の残高が合わないときをご覧ください。
過年度からの未処理、役員との取引、計上時期や消費税区分などは、事実関係と資料を確認して判断します。記帳を急ぐために、内容不明の取引をまとめて仮払金や雑費に入れることは避けます。
税理士へは未完了のまま、残りの作業を伝える
相談するときは、次の概要があれば進行状況を共有しやすくなります。帳簿・資料一式を最初の問い合わせフォームへ送る必要はありません。受渡し方法は相談後に確認してください。
- 決算月、対象事業年度、申告期限と期限延長の有無。
- 使用中の会計ソフト、最後に入力した月、口座・カード連携の状況。
- 未入力が残る月と取引の種類、おおよその件数、資料不足や内容不明の項目。
- 預金等の残高確認の進行状況と、前期から持ち越した未解決事項。
- 自社で続けたい作業と、税理士に依頼したい作業。
今期の決算・申告だけの依頼を考えている場合は法人の決算・申告を税理士に相談する前にも参考にしてください。月次の記帳や残高確認から継続的に整えたい場合は、税務顧問の業務範囲をご確認ください。
よくある質問
領収書が揃うまで入力を止めた方がよいですか?
他の取引まで一律に止める必要はありません。資料が揃った取引と不足している取引を分け、後者は内容と必要資料を一覧にします。資料がない取引の処理は、事実関係を確認して判断します。
口座連携をしていれば記帳は完了していますか?
完了とは限りません。明細の取込状況、未処理の行、手入力との重複、請求書に基づく未入金・未払いの取引などを確認します。
記帳が数か月分残っていても相談できますか?
相談できます。ただし、対応できる範囲・日程・料金は期限と未処理の量、資料の状況により異なります。入力済みの月と残る作業を分かる範囲でお知らせください。
決算前の記帳について相談する
岡田健志公認会計士・税理士事務所では、法人の記帳・月次確認から決算・申告まで、状況に応じて支援をご案内します。決算月、申告期限、入力済みの月、未処理の取引と資料不足を分かる範囲でお知らせください。対応範囲と料金は資料と作業量を確認し、着手前にご案内します。
執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)。2026年10月19日時点の国税庁の法人税等・消費税の申告案内と帳簿書類の案内を確認。具体的な会計処理と税務判断は、個別の取引と資料により判断します。