業務用AIの回答が間違ったときは、まず元資料のどこから違っているかを確かめます。 指示を長くしたり、何度も回答させたりする前に、入力、参照資料、指示、出力、人の確認を分けて見ます。
以下は架空の資料確認業務を使った説明です。特定のAIモデルの性能評価や、誤りをなくせる指示文を示すものではありません。
1.もっともらしい文章と、確認できた事実を分ける
回答の読みやすさだけでは、元資料との一致は分かりません。確認対象の値や記述を取り出し、原本の該当箇所へ戻ります。AIが示した参照先も、実在して内容が対応するかを確認します。
| まず残すもの | 確認する目的 |
|---|---|
| 使った入力資料 | 何を根拠として渡したか |
| 指示文と利用環境 | 同じ条件で試せるか |
| 実際の回答 | 誤った箇所と、正しかった箇所を分ける |
| 期待した結果 | 何を根拠に誤りと判断したか |
誤りを含む出力を業務へ渡した場合は、影響した資料と範囲を先に確認し、必要な確認担当へ戻します。再実行した回答が変わっただけで、使用済みの資料まで直ったとは扱いません。
2.入力不足と、参照先の違いを確認する
必要なページや列が渡っていない場合、出力側の指示だけを変えても根拠は増えません。旧版を参照している場合も、先に現在の資料を確認します。
| 誤りの例 | 確認するところ |
|---|---|
| 対象月が違う | 入力した資料と指示の対象月 |
| 廃止した手順を答える | 参照文書の版と現在の適用範囲 |
| 別の担当者へ紐付く | 識別子、略称、同名の記録 |
| 空欄に自然な値が入る | 未記載を残す指示と出力様式 |
元の資料にも答えがない場合は、誰へ何を確認するかを残します。AIの知識から業務上の事実を補わせず、「未確認」と返せるかを試します。
3.読取り・整理・判断を分けて試す
例えば請求番号の取り違えなら、文字の読取り、行の対応付け、同じ請求かという判断のどこで変わったかを見ます。複数の工程を一つの回答にまとめると、原因が追いにくくなります。
回答の各項目について、提供資料の該当箇所と一致するかを確認してください。根拠を特定できない項目は「根拠未確認」としてください。資料にない説明や数字を追加しないでください。相違の候補と、人に確認する内容を分けてください。
このような再確認の指示を使っても、同じAIの回答だけで検証を完結させません。原本、確定した参照資料、件数や合計の独立した照合を組み合わせます。
4.変更は一つずつ記録し、通常例も再確認する
指示、資料、出力列を同時に大きく変えると、どの変更が効いたか分からなくなります。直す対象を絞り、誤った例に加えて以前から使っている通常例も試します。
| 記録する項目 | 架空の例 |
|---|---|
| 誤り | 番号がない資料を別の受付へ統合した |
| 確認結果 | 元資料には対応を決められる記載がなかった |
| 変更 | 番号なしは確認待ちへ出す指示を追加した |
| 再確認 | 通常、番号なし、訂正版、対象外で結果を照合した |
デジタル庁の生成AI技術検証では、具体的な利用場面のテスト例が公開されています。自社でも、期待する動作と未確認の範囲を残します。
5.直せない場合の止め方と代替手順を持つ
再確認で誤りが続く場合は、対象を絞る、人の確認へ戻す、既存の方法で処理するなどを検討します。未確認のまま自動処理の範囲を広げません。変更管理で、切替えと戻し方も整理します。
当事務所は、一つの業務について入力・出力・確認工程を分けて見直します。料金・標準範囲と成果物の見本をご覧ください。個別の誤りについて、再現条件と影響する範囲から確認します。
よくあるご質問
高性能なAIへ変えれば解決しますか?
解決するとは限りません。入力不足、古い参照資料、曖昧な識別子などは別に確認が必要です。利用環境を変える場合も、同じ対象で結果を比べます。
AIに自分の回答を点検させれば十分ですか?
点検の補助には使えますが、それだけで確認を完了しません。元資料や確定した根拠、独立した件数・合計の照合などで確かめます。
一度正しい回答が出たら運用してよいですか?
一度の回答だけでは判断しません。通常例と例外で確認し、実際の担当者が確認・保存・例外対応まで進められるかを試します。
元資料に答えがない場合はどうしますか?
根拠未確認と残し、確認する相手と項目を整理します。AIに実務上の事実を創作させて確定する方法にはしません。
参考資料
- デジタル庁「生成AIの適切な利活用に向けた技術検証」。原因の切分け表は当事務所の業務例です。