AIで作ったExcelは、数式エラーが表示されない場合も、集計する月や行、対象条件が違うことがあります。 結果の数字だけでなく、「何を含み、何を除いたか」まで検算すると、実務で使えるか判断しやすくなります。
以下の表と期待値は、当事務所が作成した架空データです。顧問先の集計や、特定のAI製品の性能評価ではありません。
1.期待する結果を、数式の外側で決める
先に対象月、対象行、単位、空欄の扱いを文章で決めます。AIが出した数式を読んでから条件を合わせると、誤りに気付きにくくなります。
架空の元データはA列から「ID、対象月、区分、金額」の順です。金額の単位:万円。対象は2026年10月かつ区分が「対象」の行とします。
| 行・ID | 対象月・区分 | 金額 |
|---|---|---|
| 2行目・DEMO-01 | 2026-10・対象 | 12 |
| 3行目・DEMO-02 | 2026-10・対象 | 8 |
| 4行目・DEMO-03 | 2026-10・対象外 | 5 |
| 5行目・DEMO-04 | 2026-11・対象 | 20 |
期待値は12+8=20万円です。単純な =SUM(D2:D5) では45万円となり、対象外と翌月の行まで含めてしまいます。合計が計算できることと、集計条件が正しいことは分けて確認します。
2.参照範囲と条件を、一つずつ読む
この例で条件を指定する式は、例えば =SUMIFS(D2:D5,B2:B5,"2026-10",C2:C5,"対象") です。ただし、実データの月が日付形式なのか文字列なのかによって、条件の設定方法は変わります。そのまま別の台帳へ貼り付ければよいという意味ではありません。
| 見るところ | 確認する内容 |
|---|---|
| 参照範囲 | 先頭と末尾の行、追加行、別シートの参照 |
| 条件 | 対象月、対象区分、空欄と未入力の区別 |
| データの型 | 数値と文字列、日付、先頭ゼロを持つ番号 |
| コピー後の式 | 相対参照・絶対参照、行や列のずれ |
Microsoftの公式資料には、数式のエラーを調べる方法や、範囲内のセルが式から抜ける例などが示されています。エラーチェックを利用しつつ、業務上の対象条件も別に照合します。
3.合計、件数、対象IDを別の方法で照合する
合計だけが一致しても、対象の行が正しいとは限りません。誤って加えた行と漏れた行の金額が同じなら、合計の相違として現れないからです。
架空例では、対象件数が2件、対象IDがDEMO-01とDEMO-02、合計が20万円であることを照合します。少数の例を手で確認した結果や、別に作った対象一覧と比べる方法があります。
集計条件と数式を比較し、対象に含まれるID、除外されるID、参照範囲、型の違いを説明してください。提示した期待値と異なる場合は、数式を正しいと決めず、原因候補と確認するセルを分けてください。元データや期待値を書き換えて一致させないでください。
4.例外の入力でも試す
0、空欄、文字列の数字、対象がない月、追加行、同じIDの再送などを試します。0という値があるのか、未入力なのか、対象がないのかを同じ表示にしないことも確認します。
IFERROR などで見た目のエラーを消しても、原因が解消したとは限りません。エラーを0へ置き換える前に、参照先や入力の不足を調べます。式を直した場合は、通常例と例外の両方を再確認します。
5.利用するExcelで再計算してから使う
AIが説明した結果だけで確認を終えず、実際に使うExcelで、式の入力・再計算・追加行・保存後の再読込を確かめます。Excelの版や利用環境が違うと、使える関数や挙動が異なる場合があります。
Excel転記と月次集計の実演は、様式の異なる資料をそろえる流れを扱っています。この記事は、その後の数式と対象範囲の検算に焦点を当てています。
当事務所のAI導入支援の内容と成果物の見本をご覧ください。料金・標準範囲は別の節にまとめています。
よくあるご質問
エラー表示がなければ正しい数式ですか?
構文上は計算できても、対象月、条件、参照範囲が違うことがあります。期待する対象と結果を別に決め、照合します。
合計が一致すれば検算は終わりですか?
件数と対象IDも確認します。漏れと誤った加算が相殺され、合計だけが一致する場合もあります。
AIに「もう一度確認して」と聞けば十分ですか?
同じ説明を得るだけでは十分な確認になりません。元データ、対象条件、期待値、実際のExcelでの結果を照合します。
ここにある数式を自社の表へ使えますか?
架空の列配置と文字列の月を前提にした例です。列、行、データの型、対象条件を自社の表に合わせ、実際のExcelで再計算して確かめてください。
参考資料
- Microsoft「Excelで数式のエラーを検出する」。架空データと期待値は当事務所作成です。
- Microsoft「数式とセルの関係を表示する」。機能の対応環境は公式資料をご確認ください。
- Microsoft「SUMIFS関数」。合計対象範囲と条件範囲・条件の組み合わせを確認できます。