入金確認でAIを使う場合は、売掛金と入金明細の対応候補を整理し、根拠と確認待ちを残すところから始めます。 金額が一致しただけで、売上の登録や消込を自動確定する手順にはしません。
以下は、当事務所が作成した架空の台帳と入金例です。実在する取引先、銀行口座、入金実績を用いていません。
1.台帳と銀行明細を、別の原本として持つ
売掛金台帳には請求番号、取引先、請求額、入金期日、未回収残高をそろえます。銀行明細は入金日、入金額、振込名義、明細番号を残します。台帳の予定日と銀行の入金日を同じ意味の列にしないことが大切です。
| 元資料 | 残す識別情報 |
|---|---|
| 売掛金台帳・未決済取引 | 請求番号、取引先、請求額、未回収残高 |
| 銀行の入金明細 | 明細番号、入金日、入金額、振込名義 |
| 入金案内や照会回答 | 対象の請求番号、回答者、受領日 |
AIへ渡す情報の範囲は、利用環境と社内ルールを確認して絞ります。口座番号や連絡先など、照合に必要のない情報を一式渡す前提にはしません。
2.同額の候補と、一部入金を分ける
単位:万円。いずれも架空例です。
| 状況 | 原資料にある数字 | 確認用一覧に残すこと |
|---|---|---|
| 同額の候補が2件 | A社11、B社11に対し、名義未確認の入金11 | A・Bの両候補を残し、請求番号や入金案内を確認 |
| 一部入金 | C社の未回収16.5に対し、対応が確認できた入金11 | 残額5.5。次の入金予定や処理状況を確認 |
| 複数請求のまとめ入金 | 入金額が複数の未回収額の合計と一致 | 内訳と対象請求を確認し、同じ明細を重複使用しない |
最初の例では、一つの入金11万円をA社とB社の両方に割り当てません。二つ目の残額5.5万円は、C社への対応が確認できたという前提で計算しています。
3.一致した理由を、担当者が追える形にする
候補一覧には、台帳の請求番号、銀行明細番号、対応候補、根拠、差額、確認状態を分けて記録します。「一致」とだけ書かず、金額、名義、入金案内など、何を根拠にしたかが分かる形にします。
売掛金台帳と入金明細から、対応する可能性のある組み合わせを整理してください。請求番号と明細番号を残し、根拠、他の候補、差額、確認待ちを示してください。一つの入金を複数回使わず、金額が同じだけでは対応を確定しないでください。登録・消込・取引先への連絡は実行しないでください。
担当者は、候補のない明細や台帳側だけに残る請求も確認します。AIが拾った候補だけを見て終えると、漏れを見つけにくくなります。
4.会計ソフトの消込と、AIの候補整理を分ける
freeeの公式ヘルプでは、未決済取引と入出金明細を対応させる消込、まとめ入金、差額、一部入金などを説明しています。同額の未決済取引が複数ある場合などは、推測内容を確認する必要があります。
AIで作る対応表は、会計ソフトの登録結果ではありません。既存の未決済取引、明細、処理済みの状態を担当者が確認し、二重に売上を登録したり、同じ入金を重ねて処理したりしないようにします。
差額を振込手数料、値引き、相殺などと推測で決めることも避けます。契約、入金案内、照会結果などを確認し、会計処理は担当者が判断します。
5.確認後の状態まで追う
確認済みの対応、保留中の候補、照会が必要な明細を分け、処理した結果を会計ソフトの残高と照合します。確認前の一覧と、登録後の結果を混ぜず、どこまで終えたかを残します。
元資料の番号や列の意味をそろえる方法は、AI導入前のデータ整備で解説しています。対象を絞るときは一人経理のAI導入もご覧ください。
当事務所のAI導入支援の内容と成果物の見本をご案内しています。費用は別の料金・標準範囲で確認できます。
よくあるご質問
入金額が一致したら消込を確定できますか?
同額の別請求や、まとめ入金などの可能性を確認します。金額だけで対応を確定せず、名義、請求番号、入金案内などの根拠を合わせます。
差額はAIに手数料として処理させてよいですか?
差額の理由を推測で確定しません。原資料や取引先への確認をもとに理由と処理方法を担当者が判断します。
AIで対応表を作ればfreeeへの登録も終わりますか?
対応表は確認用の候補一覧です。freeeの明細・未決済取引・処理状態を確認し、会計ソフト上で必要な登録と残高の照合を行います。
入金候補が見つからない明細は除外しますか?
除外せず、候補なしとして残します。照会先や確認する資料を整理し、未回収の請求と未処理の入金の両方を追います。
参考資料
- freeeヘルプ「未決済取引の消込をする(自動で経理)」。製品の操作とAIの候補整理は区別しています。
- 個人情報保護委員会の生成AIに関する注意喚起。対応表と架空例は当事務所作成です。