AIによる文書校正では、文章を読みやすくする修正と、事実・条件を変える修正を分けます。 自然な文章になっていても、日付や担当者、金額、約束した範囲まで正しく保たれたとは限りません。
この記事の文書・日付・比較例は、当事務所が作成した架空例です。実際の社内通知や取引先とのやり取りではありません。
1.校正してよい範囲を決める
誤字や表記の揺れを直すのか、構成や語調まで変えるのかで、確認する範囲は変わります。まず用途、読者、文書の版と、変更してはいけない情報を示します。
| 区分 | AIに整理させる例 |
|---|---|
| 文字・表記 | 誤字、送り仮名、用語の揺れ、重複表現 |
| 読みやすさ | 長い文の分割、主語や指示語の不明箇所 |
| 事実の確認候補 | 数字、日付、固有名詞、参照資料の不一致 |
| 意味の変更 | 義務、対象者、期限、条件の変更につながる修正 |
事実が未確認の箇所は、読みやすい文章へ補完して確定させず、確認する項目として残します。
2.元の文書と、修正案の差分を見る
全文を修正案へ置き換える前に、どこが変わったかを確認します。例えば次のように、元の記載、修正案、変更の種類を並べます。
| 架空の変更 | 確認すること |
|---|---|
| 「11月5日」が「11月6日」になった | 誤字修正ではなく期限の変更。原資料で確認 |
| 「提出できる」が「提出する」に変わった | 任意と義務の意味が変わっていないか確認 |
| 部署名が一般的な別名称になった | 実際の正式名称へ照合 |
| 参照していない制度名が追記された | 根拠のない説明として、そのまま採用しない |
AIに「事実は変えない」と指示しても、変更が起きない保証にはなりません。重要な数字、期限、相手先や部署名は、原資料を使って別に照合します。
3.根拠にする資料と版をそろえる
文書本文と添付資料、旧版の社内規程、メールの説明が食い違う場合、AIがどれかを推測で優先しないようにします。担当者が正本と適用する版を確認し、相違がある箇所は保留にします。
相対的な「来週」「翌月」などは、基準日がなければ日付を決められません。書いた人の意図を確認したうえで、具体的な日付へ直すかを判断します。
誤字・表記、読みやすさ、事実の相違候補、意味が変わる修正を分けて示してください。元の文と修正案を対応させ、日付・数字・固有名詞を勝手に置き換えないでください。確認できない内容は補わず、確認する資料と相手を示してください。
4.公開・送信の前に、人が確認する
校正済みの文章でも、宛先、添付ファイル、共有範囲、承認の要否は別の確認項目です。文章の内容が整ったことを、公開や送信の承認と同じにしない運用にします。
個人名、従業員情報、社外秘の内容を含む文書は、使えるAI環境と入力する情報の範囲を先に確認します。準備方法はAIへ渡す資料のマスキングでも説明しています。
5.用語集と確認記録を残す
会社名、部署名、製品名、よく使う表記を用語集にすると、毎回の修正方針をそろえやすくなります。用語集も更新日と管理担当を決め、古い名称へ戻らないようにします。
元文書、修正案、採用した修正、確認者、確定版を分けて保存します。次回の校正では、以前の修正案ではなく、確定した版から始めます。
業務マニュアルのAI下書きや議事録のAI活用と組み合わせる場合も、原資料にない条件を追加しない確認工程を残します。
当事務所のAI導入支援の内容と成果物の見本をご覧ください。費用は料金・標準範囲の節でご案内しています。
よくあるご質問
校正を依頼すれば、書いてある事実も確認されますか?
文章を整える作業と、事実を原資料で確認する作業は別です。正本や確認する資料を指定し、不明なことは確認待ちにします。
AIの修正案をそのまま採用してよいですか?
変更箇所を確認し、とくに日付、数字、固有名詞、条件、義務や任意の表現を原資料に照らします。採用する修正は担当者が判断します。
文書の内容は同じでも、宛先確認は必要ですか?
宛先や添付、共有範囲は文書校正とは別に確認します。文章が整ったことだけで公開・送信を確定しません。
毎回同じ表記を直させるにはどうしますか?
正式名称や表記ルールを用語集にまとめ、版と更新担当を決めます。過去の修正案より、現在の確定したルールを優先します。
参考資料
- 個人情報保護委員会の生成AIに関する注意喚起。校正の区分と架空例は当事務所作成です。