議事録にAIを使うときは、読みやすい要約より先に、決まったこと・未決のこと・担当と期限を区別します。 会議で合意していない担当や期限をAIが補うと、自然な文章でも実際の約束と違う記録になります。
ここでは、一般的な社内業務の打合せを想定した架空例を使います。実際の録音や会議資料、従業員の情報は使用していません。法令・社内規程で形式や承認手続が定められる正式な議事録の要件を示すものではありません。
1.使う元記録と共有範囲を先に決める
メモ、文字起こし、配付資料を同時に使う場合、どれが何を示す資料かを分けます。配付資料に書かれた予定を、会議の決定事項へ置き換えないようにします。
録音を使う場合は、目的、参加者への案内、利用する環境、保管と閲覧の範囲を会社で確認します。すべての会議を一律にAIへ入力するのではなく、対象とする会議から決めます。
| 元記録 | 確認する内容 |
|---|---|
| 会議メモ | 記録した人、対象の会議、記載していない範囲 |
| 文字起こし | 話者の取り違え、聞き取れない箇所、参照できる位置 |
| 配付資料 | 版、作成日、会議中に変更された点 |
| 前回の宿題 | 前回の決定と今回の更新を区別できるか |
2.決定・未決・対応事項を別々に出力する
一つの段落へまとめる前に、項目ごとに根拠と確認状態を付けます。担当と期限は、元記録で確認できないときは「未確認」とします。
| 出力欄 | 書くこと |
|---|---|
| 決定事項 | 合意した内容と、元記録の該当箇所 |
| 未決事項 | 残る論点と、追加で確認すること |
| 対応事項 | 誰が何を行うと確認されたか |
| 期限 | 合意した期日。記録にない場合は未確認 |
| 確認待ち | 発言の相違や、話者が特定できない箇所 |
デジタル庁の生成AIの案内でも、文章作成や要約などの用途が紹介されています。本記事の会議メモの欄と確認手順は、当事務所が作成した業務例です。
3.曖昧な発言を、そのまま未決で残す
架空の打合せで、「次回までに様式を見直したい」「担当はあとで調整する」という発言があったとします。この記録から、特定の人が次回までに完成させると確定してはいけません。
| 元記録の内容 | 整理の例 |
|---|---|
| 様式を見直したい | 見直しの提案。採否の合意は要確認 |
| 担当はあとで調整する | 担当者は未決。決める人と次の確認機会を照会 |
| 案Aで進めると合意した | 合意した範囲と根拠を決定事項へ記載 |
| 日程は会議後に確認する | 期限は未確認。確定済みの日付を補わない |
指示文には、提案と合意を区別することを含めます。
元の会議記録だけを使い、決定事項、未決事項、対応事項に分けてください。各項目に根拠の段落または時刻を付けてください。担当者と期限が記録で確認できない場合は「未確認」としてください。提案を合意へ変えず、記録にない担当、期日、約束を補わないでください。
4.参加者の確認後にタスクへ移す
AIの出力は下書きとして参加者や責任者が確認し、合意した記録を確定します。タスク一覧への転記はその後に行い、議事録の該当項目へ戻れるようにします。
担当者の確定、期限の変更、完了とする判断をAIの要約だけで進めず、会社で定めた担当者が記録します。AIへタスク管理サービスの操作権限を与えることと、議事録の下書きを作ることも別に考えます。
確認後にメールで案内する場合は、資料依頼メールの確認手順と同様に宛先・添付・期限を確かめ、送信前に見直します。
5.修正の負担を含めて効果を比べる
短い会議、複数の話者、話者不明、取り消された提案、期限未定などを試します。要約の速さだけでなく、元記録へ戻る時間、参加者からの修正、担当の確認まで含めて比べます。
当事務所は、一つの社内業務の会議記録について、入力区分、下書きの様式、確認手順と引継ぎを整理します。料金・標準範囲と成果物の見本をご覧ください。実際の記録を使う前に、利用環境と共有範囲を確認します。
よくあるご質問
録音がなく、手書きのメモだけでも検討できますか?
元メモにある情報の範囲で下書きを作る方法から検討できます。記録されていない合意や発言を復元したものとして扱わず、不足は参加者へ確認します。
AIが担当者と期限を決めてもよいですか?
本記事では、会議で確認された担当と期限だけを整理します。未決の項目は未決と残し、会社の担当者が決定・確認します。
文字起こしの聞き間違いは自動で直せますか?
前後の文脈だけで訂正を確定しません。専門用語、固有名詞、数値などを元記録や参加者に確認し、聞き取れない部分は未確認として残します。
取締役会などの正式な議事録にも使えますか?
本記事は一般の社内打合せの整理例です。法令・社内規程に基づく正式な議事録は、必要事項、承認や保存などの要件を別に確認して扱います。
参考資料
- デジタル庁「ガバメントAI」。一般的な用途を参照し、会議例と指示文は当事務所が作成しています。