2026年分の年末調整(会社向け)

2026年分の年末調整は何が変わる?会社が確認する申告書・計算・還付

公開:2026年10月23日 / 執筆:岡田健志(公認会計士・税理士)

2026年分の年末調整では、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が適用されます。 これらは2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に適用されます。11月までの毎月の源泉徴収は変わりません。会社は12月の年末調整で、改正後の控除額を使って1年分の税額を計算し、それまでに源泉徴収した税額と精算します。

この記事は、自社で年末調整をする社長・経理担当者向けに、前年と変わる点と作業の順番を国税庁の資料に沿って整理します。従業員側の確認点は年末調整で終わる?会社員の確定申告をご覧ください。

最初に結論:会社が押さえる5つの変更点

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変更点2026年分の年末調整での扱い会社の作業
基礎控除合計所得金額489万円以下は104万円など(改正前は58万円に加算)基礎控除申告書の控除額を確認する
給与所得控除の最低保障額65万円から74万円へ改正後の「給与所得控除後の給与等の金額の表」または対応済みのソフトで計算する
扶養親族等の所得要件合計所得金額58万円以下から62万円以下へ(給与だけなら123万円以下から136万円以下へ)新たに対象となる家族の扶養控除等(異動)申告書を回収する
生命保険料控除の特例23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料の一般生命保険料控除の上限が6万円に保険料控除申告書の計算を確認する
精算と還付11月までは改正前の源泉徴収税額表、12月に1年分を精算還付額と、納付する源泉所得税からの差引きを確認する

出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」、「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」1~3ページ、「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点。

基礎控除:合計所得金額489万円以下なら104万円

2026年分の基礎控除額は、従業員の合計所得金額に応じて次のとおりです。金額の単位は万円です。

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合計所得金額2026年分改正前収入が給与だけの場合の給与収入
132以下10495206以下
132超336以下10488206超、475万1,999円以下
336超489以下10468475万1,999円超、665万5,556円以下
489超655以下6763665万5,556円超、850以下
655超2,350以下6258850超2,545以下

合計所得金額2,350万円超の基礎控除額に改正はありません。2027年分も2026年分と同じ額で、2028年分以後は額が変わります。

年末調整では、従業員が提出する基礎控除申告書に記載された合計所得金額の見積額に応じて基礎控除額を控除します(所得税法第190条第2号ヘ)。2026年分の基礎控除申告書(配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書と兼用の様式)は前年分から様式が変わっています。2026年分の様式を配り、改正後の控除額が記載されているか確認してください。

出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」1ページ、令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A Q2-2。

給与所得控除:最低保障額が74万円に

給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に引き上げられました。2026年分の給与収入が74万1,000円以上219万1,000円未満の人は、給与所得の金額が「給与収入-74万円」になります。パートやアルバイトなど給与収入が少ない従業員ほど影響があります。

年末調整の計算には、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」に掲載された改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使います。給与計算ソフトを使う場合は、2026年分の年末調整に対応した版か確認してください。

なお、基礎控除104万円と給与所得控除74万円を合わせると178万円です。給与収入だけの人が、ほかに所得控除がない場合の目安ですが、実際の税額は社会保険料控除などを含めて計算します。

出典:令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A Q3-1。

扶養親族等:給与だけなら136万円以下まで扶養控除の対象に

扶養控除などの対象となる家族の所得要件は、次のとおり変わりました。金額の単位は万円で、かっこ内は収入が給与だけの場合の給与収入です。

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区分2026年分改正前
扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子62以下(136以下)58以下(123以下)
特定親族(19歳以上23歳未満)62超123以下(136超197以下)58超123以下(123超188以下)
配偶者特別控除の対象となる配偶者62超133以下(136超207以下)58超133以下(123超、201万5,999円以下)
勤労学生89以下(163以下)85以下(150以下)

扶養控除等(異動)申告書に書く項目そのものは変わりません。ただし、この改正で新たに扶養控除などの対象となる家族がいる従業員は、その家族を記載した申告書を会社に提出します。その際は「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載します。

提出は、原則として2026年12月1日以後、最初に給与を支払う日の前日までです。年末調整を行う時までに提出があれば、その申告に基づいて年末調整ができます。11月30日以前に支払う給与で源泉徴収税額表を使うときは、この改正で新たに対象となる家族を「扶養親族等の数」に含めません。

出典:令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A Q2-1・Q2-4。

架空例:大学生の子のアルバイト給与が130万円の場合

次は、従業員の子(2026年12月31日時点で20歳、生計を一にする)の収入がアルバイト給与130万円だけ、と仮定した説明用の例です。実在の従業員・申告書ではありません。金額の単位は万円です。

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基準子の合計所得金額従業員が受ける控除
改正前の基準130-65=65特定親族特別控除の対象(58超123以下)
2026年分130-74=56扶養控除(特定扶養親族、63)の対象(62以下)

この場合、従業員が会社に出す書類も変わります。特定親族特別控除申告書ではなく、子を特定扶養親族として記載した扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。家族の所得の見積額を前年の感覚で判断しないよう、年末調整の書類を配る段階で従業員に知らせておくと手戻りを減らせます。子の判定の詳細は大学生の子のアルバイトと扶養控除(2026年分)で説明しています。

生命保険料控除:23歳未満の扶養親族がいる場合の特例

2026年分と2027年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の額を次のとおり計算します。

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年間の新生命保険料控除額
3万円以下新生命保険料の全額
3万円超6万円以下新生命保険料×1/2+1.5万円
6万円超12万円以下新生命保険料×1/4+3万円
12万円超一律6万円

旧生命保険料とこの特例の対象となる新生命保険料の両方を支払った場合の一般生命保険料控除の上限も、4万円から6万円になります。一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の合計の上限は、改正前と同じ12万円です。保険料控除申告書の計算が、従業員の扶養親族の年齢に合っているか確認してください。

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」昨年と比べて変わった点。

12月の精算:還付が増えたときの資金と納付を確認する

2026年は、11月までの給与を改正前の「源泉徴収税額表」で源泉徴収しています。12月の年末調整では、改正後の基礎控除と給与所得控除後の給与等の金額の表で1年分の税額(年調年税額)を計算し、毎月の源泉徴収税額の合計と比べて精算します。

架空例:年税額の比較

給与収入400万円、給与から控除した社会保険料60万円、扶養親族なし、ほかの所得控除なしと仮定した説明用の計算です。金額の単位は円です。

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項目改正後の基礎控除で計算改正前の基礎控除で計算
給与所得控除後の給与等の金額2,760,0002,760,000
社会保険料控除600,000600,000
基礎控除1,040,000880,000
課税給与所得金額1,120,0001,280,000
算出所得税額(5%)56,00064,000
年調年税額(×102.1%、100円未満切捨て)57,10065,300

この例では、改正後の基礎控除で計算した年税額が8,200円少なくなります。毎月の源泉徴収税額との差は12月の精算に反映されるため、例年より還付(過納額)が大きくなることがあります。

還付は、納付する源泉所得税から差し引く

過納額は、年末調整を行った月分(通常は12月分。納期の特例を受けている場合は7月から12月までの分)として納付する源泉所得税から差し引いて、従業員に還付します(所得税法第191条)。その月分で還付しきれないときは、その後に納付する源泉所得税から順次差し引きます。

還付することとなった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書兼残存過納額明細書」を所轄税務署に提出し、還付を受けることができます(所得税法施行令第313条)。

従業員への還付は会社が支払い、後で納付する源泉所得税から差し引く形になります。従業員の人数が少なく、12月分(納期の特例では7月から12月までの分)の納付額が小さい会社は、還付額が納付額を上回らないか、12月の給与支払前に試算しておくと資金の予定を立てやすくなります。資金繰り表の作り方もご覧ください。

出典:令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A Q3-1。

会社の年末調整スケジュール(2026年11月~2027年2月)

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時期会社の作業
2026年11月2026年分の基礎控除申告書(兼用様式)・保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書を配布・回収する。扶養控除等申告書の記載に変更がないか従業員に確認してもらう。改正を反映した書類は12月1日より前に受け取って差し支えない(Q&A Q1-2)。2027年分の扶養控除等申告書も回収する。
2026年12月改正で新たに対象となる家族の扶養控除等(異動)申告書を、年末調整までに回収する。その年最後の給与(または賞与)の支払時に年末調整を行い、過不足を精算する。
2027年1月1月1日以後に支払う給与から「令和9年分 源泉徴収税額表」を使う。12月分の源泉所得税は原則1月10日が納期限で、2027年は休日の関係で1月12日(火)。納期の特例を受けている場合は、7月から12月までの分を1月20日(水)までに納付する。
2027年1月31日まで従業員に2026年分の給与所得の源泉徴収票を交付する(所得税法第226条第1項)。
2027年2月1日(月)まで市区町村に給与支払報告書、税務署に法定調書合計表などを提出する。2027年1月以後は、市区町村に給与支払報告書を提出した人の源泉徴収票は税務署への提出が不要(源泉徴収票のみなし提出の特例)。従業員への交付は引き続き必要。

出典:令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A Q1-1・Q3-3・Q4-1、国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」。

よくあるご質問

11月までに支払った給与の源泉徴収を、改正後の内容でやり直す必要はありますか?

ありません。2026年11月までの給与の源泉徴収事務に変更はありません。改正の内容は、12月の年末調整で1年分を計算し直して精算します。

年末調整の書類を11月中に集めてもよいですか?

差し支えありません。国税庁は、12月1日以後に適用される改正を反映した年末調整関係書類を、同日前から提出することとしても差し支えないとしています。

11月に退職した従業員にも、改正後の基礎控除を使えますか?

最後の給与を2026年11月30日以前に支払った人の年末調整では、改正後の基礎控除などは適用されません。その人が改正後の控除を受けるには、確定申告などが必要です。

ひとり親控除が38万円に上がったと聞きました。今年の年末調整に影響しますか?

影響しません。ひとり親控除の引上げは2027年分以後の所得税に適用されます。

源泉徴収票の様式は変わりますか?

今回の税制改正による様式の変更はありません。ただし、国税システムの更改に伴い、2026年8月以降、源泉徴収票を含む法定調書の様式が変わっています。最新の様式を使ってください。

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年末調整の進め方で迷ったら

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根拠・確認した資料

2026年10月23日に確認した公表資料に基づきます。所得税法第86条・第190条・第191条・第226条、所得税法施行令第313条、租税特別措置法第29条の4・第41条の16の2を参照しました。架空例は、記載した前提以外の所得・控除がない場合の簡略な計算です。個別の税額や還付額を保証するものではありません。

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