卸売業でAIを試す場合は、受注・納品・請求をつなぐ情報をそろえ、不一致の候補を担当者が確認できる形にします。 文章や不揃いな資料の整理をAIに任せる前に、既存の販売管理システムで取込み・連携できる範囲を確認します。
この記事の伝票や業務の流れは架空の説明例です。当事務所の導入実績を示すものではありません。自動発注、在庫引当、請求確定、支払実行までを一度に扱わず、確認用の整理から始めます。
1.同じ取引をつなぐ番号と項目を決める
取引先名と合計だけが似ていても、同じ取引とは限りません。受注番号、納品番号、品番、対象期間など、原本をつなぐ項目を確認します。
| 確認する項目 | 整理すること |
|---|---|
| 取引先・納品先 | 取引先と届け先を区別し、社内の登録情報と対応させる |
| 受注・納品・請求番号 | どの番号で原本同士をつなぐかを決める |
| 品番・名称 | 似た名称や別の品番を、推測で同じ商品にしない |
| 数量・単位 | 個、箱などの単位と、換算条件を確認する |
| 日付・締めの範囲 | 受注日、納品日、請求対象月を区別する |
番号のない資料や、対応が決まらない明細は、候補と理由を残します。AIがもっともらしい対応を出しても、確認なしで確定しません。
2.既存システムの連携で足りるかを確認する
中小機構は、販売管理システムについて受注情報を納品・請求の伝票へ連携する機能などを紹介しています。すでに登録済みの情報を別の表へ転記しているなら、その連携・出力機能を先に調べます。
| 困っている工程 | 先に確認する方法 |
|---|---|
| 同じ情報を別伝票へ入力している | 販売管理システムの連携・複製・取込み機能 |
| CSVの列が合わず手で直している | 取込み設定や、共通の列へそろえる処理 |
| 取引先ごとに文書の形式が違う | 読取機能やAIでの整理と、原本照合 |
| 対応する伝票が見つからない | 番号・対象期間の整理と、確認待ち一覧 |
AIを使うこと自体を目的にせず、既存機能、表の式、定型操作と組み合わせます。考え方はAI・RPA・Excelの使い分けをご覧ください。
3.分納・返品・訂正を、通常の不一致と区別する
受注した数量と、一回の納品数量が違う場合でも、分納であれば直ちに誤りとは限りません。返品や訂正がある場合も、どの原本をつないで確認するかが必要です。
| 架空の確認ケース | 一覧に残すこと |
|---|---|
| 一つの受注に納品書が複数ある | 対応する受注番号、各納品の数量と日付、未確認の範囲 |
| 返品の記録がある | 元の納品との関係、対象品番、確認する担当者 |
| 訂正前後の伝票が混在する | どちらを有効とするか、訂正の根拠と原本 |
| 単価・数量が合わない | 異なる項目、原本の値、取引条件の確認先 |
AIは「不一致の候補」を整理する補助として使い、返品や訂正の理由を原本なしで作らせないようにします。売上や請求の確定、取引条件の判断は別の確認・承認に進めます。
4.件数・合計と、確認待ちの残りを照合する
確認済みの行だけを見て、処理が完了したと判断しないようにします。入力した原本、一覧に出た行、対応が決まらない行をつなげます。
- 原本の範囲と、一覧の対象期間が同じか。
- 同じ資料を二重に取り込んでいないか。
- 分納や返品を含む対応関係を説明できるか。
- 件数や合計の差が、どの資料から生じたか追えるか。
- 確認待ちの理由、担当、期限が残っているか。
数字の計算には、式や元データへ戻れる方法を使います。見た目が整った一覧でも、確認待ちが残る場合は完了扱いにしません。
5.取引先への影響を分けて、小さく試す
最初は確認用の表だけを作り、受発注先への送信や既存システムへの登録とは分けます。通常の資料と、分納・返品・訂正などの例外を含め、試行・受入確認の表で確かめます。
取引先別の価格や条件を含む資料は、共有先、閲覧範囲、利用環境を確認してから使います。初回相談は、資料の種類と入力元・完成形の説明で進められます。
当事務所は経理・総務の一つの業務の整理から引継ぎまで支援します。料金・標準範囲、確認用一覧・確認票などの見本をご覧ください。
よくあるご質問
今の販売管理システムを変えますか?
まず現在の取込み・伝票連携・出力機能を確認します。そのまま使える工程と、別の整理が必要な工程を分けて検討します。
取引先ごとに書式が違っても使えますか?
共通の項目へ整理する範囲から試せます。読み取りにくい箇所、項目の不足、取引条件の違いは確認待ちとして残します。
分納や返品も自動で処理できますか?
本記事では対応関係の候補と確認待ちを整理します。分納・返品の確定や、売上・請求への反映は原本と社内の確認手順に従います。
AIが作った一覧から請求書を自動送信しますか?
本記事の範囲は確認用の整理です。外部への送信は別の工程とし、宛先・対象・内容を確認してから進めます。