TAX RETURN GUIDE
無料AIで確定申告の準備はどこまでできる?Geminiの使い方と質問例
「確定申告を自分で進めたいけれど、何から始めればよいか分からない」。そんなときは、無料で使えるAIを、準備する資料や確認事項の整理に役立てられます。この記事では、個人のGoogleアカウントで使うGeminiを例に、コピーして試せる質問文と、回答を確かめる手順を紹介します。
この記事のポイント
まずは書類そのものを渡さず、お仕事の種類や困っていることを文章で説明します。AIに「足りない情報」「確認する資料」「次の作業」を整理してもらい、税務上の判断と金額は元資料・公式情報で確認してから申告に使います。
この記事の内容
1.無料AIは、準備の順番と確認事項を整理するのに使う
最初に頼むことは、「確定申告を全部やって」よりも「準備するものを一覧にして」「この説明の意味を教えて」のように、作業を小さく区切ると確認しやすくなります。
AIに頼みやすい作業
必要書類の候補を挙げる、資料を分けるための表を作る、分からない言葉を説明する、相談前の質問をまとめる、といった下準備です。
元資料と照合する作業
収入・経費の金額、所得の区分、控除の適用条件、対象年、申告義務の有無は、AIの回答だけで確定させず、資料と制度の条件を照合します。
GeminiにはGoogle AIの有料プランに加入せず利用できる範囲があります。ただし、利用量や機能には上限があり、提供状況も変わります。この記事の質問例は、通常のテキストでのやり取りから始められる構成です。まず短い質問を1つずつ試し、上限に達したら画面の案内を確認してください。
Geminiの公式サイトで質問する前に、次の情報の扱いを確認しましょう。申告全体の流れは、自分で確定申告をするための準備から提出までにまとめています。
2.書類を入れる前に、入力する情報を絞る
最初は「会社員で、副業としてデザインの仕事をしている」のような説明だけで十分です。氏名・住所・勤務先名・取引先名・口座番号・マイナンバー・ログイン情報や、顧客の情報は入力せず、必要なら「勤務先A」「取引先B」に置き換えます。置き換え後も、内容の組合せから個人や取引が分かる情報は省きます。
Googleの案内では、設定等に応じてチャットや共有ファイルがサービス改善や人間によるレビューの対象になります。アクティビティの保存をオフにした場合や一時チャットでも、応答や安全確保のための処理等は残ります。設定を変えれば機密資料をそのまま渡せる、とは考えないでください。
以下の質問例は、書類のアップロードも、Googleドライブとの連携も不要です。源泉徴収票や申告書を丸ごと渡す前に、まず状況だけを説明してみましょう。仕事用・学校用アカウントでは条件が異なる場合があるため、利用するアカウントの規約も確認します。
参考:Google:Gemini アプリのプライバシー ハブ、Google:Gemini アプリでファイルをアップロードして分析する
3.質問例①:必要書類と、まだ足りない資料を一覧にする
対象年と収入の種類、現在どこまで整理できているかを伝えます。「申告する年」は提出する年と区別し、例えば2027年に提出する2026年分の申告なら「2026年分」と書きます。次は架空の設定です。自分に該当する部分だけを書き換えて使ってください。
2026年分の所得税の確定申告に向けて、準備する資料を整理したいです。 私は会社員で、勤務先は1か所です。副業で業務委託のデザインの仕事もしています。 副業の請求書と入金記録はありますが、支出の整理はまだです。 1.「確認する内容/用意する資料の候補/手元にあるか/追加で確認すること」の表を作ってください。 2. 全員に必要な書類と、条件に当てはまる場合の書類を分けてください。 3. この情報だけで申告の要否や所得区分を断定せず、判断に足りない情報を先に質問してください。 4. 2026年分について未公表・未確認の事項は、そのように明示してください。
回答を受け取ったら、表の「手元にあるか」を自分で埋めます。「これから発行される」「手元にない」「対象外」も分けると、次に何を集めるかが分かります。AIが挙げた書類をすべて添付するわけではありません。入力用・添付用・保存用の区別は、申告する年分の公式案内で確認します。
副業の申告が必要になる条件は、会社員の副業と確定申告も参考にしてください。
4.質問例②:経費を決める前に、不足している情報を探す
「これは経費ですか」とだけ聞くと、仕事との関係や使用状況をAIが勝手に補ってしまうことがあります。支出の内容と分かっている事実を伝え、未確認の点を挙げてもらいましょう。
確定申告の準備として、次の架空の支出について確認事項を整理してください。 ・携帯電話料金:仕事と私生活の両方で使う。業務で使う割合は未確認。 ・打合せ時の飲食代:相手、目的、日時のメモがまだない。 ・パソコン購入:仕事で使うが、価格、購入日、使い始めた日をまだ整理していない。 「支出/追加で確認する事実/残しておく資料や記録/税務上の確認先」の表にしてください。 経費の可否や割合を推測で決めず、不明な欄は「要確認」にしてください。 国税庁の参考ページがある場合は、実際に確認できたURLと該当する説明を示してください。
回答を点検するときの整理例
以下は、当事務所が説明用に作成した架空例です。Geminiの実行結果ではありません。
携帯電話料金
業務で使用する状況と、それを説明できる記録を確認します。AIが示した一律の割合を、そのまま採用しないようにします。
飲食代・パソコン
飲食代は仕事との関係を説明できる情報、パソコンは取得価額や使用開始日などを集め、必要経費や固定資産の取扱いを確認します。
必要経費は、収入を得るために直接要した費用や業務上の費用などです。私生活の費用は必要経費になりません。仕事と私生活に共通する支出は、記録などに基づき業務上必要な部分を明らかに区分できるかを確認します。AIに勘定科目を付けてもらうことと、税務上の必要経費にできることは別の確認です。
5.質問例③:国税庁の説明を、自分が確認する項目に変える
制度を調べるときは、先に公式ページを指定し、その説明を整理してもらう方法が便利です。例えば必要経費の説明を読むなら、次のように依頼します。
国税庁「No.2210 必要経費の知識」を読んで、確認事項を整理してください。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm 1. ページに記載された法令等の基準日を示してください。 2.「ページに書かれている原則/例外や条件/私が確認すべき事実」を分けて説明してください。 3. どの見出しにその説明があるか示してください。 4. 2026年分の申告を考えています。対象年への適用を確認できない事項は、断定せず「要確認」にしてください。 5. URLを開けない場合は、読んだことにせず、開けなかったと伝えてください。
回答にURLが付いていても、そのページが実在し、説明が回答を裏付けているとは限りません。自分でもリンクを開き、基準日・対象年・条件・例外を確かめます。AIがページを読めない場合は、確認したい短い一節を自分で読み、その言葉の意味を聞く使い方に切り替えられます。
2026年分の申告準備をする際に、前年分の画面や控除額の説明が混在していないかも確認してください。未公表の手続案内は、対象年の案内が出てから確認します。
6.整理した結果を、帳簿・申告書につなげる
- 資料の有無を埋める。 AIが作った一覧を自分の管理表に移し、元資料の保存場所と未確認の項目を書きます。
- 数字を照合する。 読取り結果や集計結果は、請求書・明細・帳簿に戻って確認します。桁、符号、日付、重複、集計漏れを確認し、合計は会計ソフトや表計算等でも検算します。
- 判断が必要な点を解決する。 所得区分や経費、控除などで迷った箇所をまとめ、公式資料や税理士への確認につなげます。
- 申告書を作り、提出を確認する。 国税庁の作成コーナーなどで対象年を選び、確認済みの内容を入力します。提出・納付・保存までの流れを確認します。
AIとのチャットやAIが作った表があるだけで、申告や帳簿・書類の保存が完了するわけではありません。元の証拠書類や必要な帳簿は、書類ごとの保存要件に従って管理してください。
次の作業は「自分で確定申告」の準備・提出ガイドへ。日々の紙やExcelへの転記を減らしたい場合は、紙・Excel中心の経理を見直す方法もご覧ください。
よくあるご質問
無料のGeminiでも試せますか。
Google AIの有料プランに加入せず利用できる範囲があります。この記事の例はテキストでの質問を中心にしています。利用量や機能の上限、提供条件は変わるため、実際の画面とGoogleの公式案内を確認してください。
領収書や源泉徴収票を、そのままアップロードしてよいですか。
まずはアップロードせず、個人や取引先を特定できない状況説明から始めましょう。ファイル内の個人情報・機密情報と、利用するアカウントのデータの取扱いを確認する必要があります。アクティビティの保存をオフにするだけで、機密資料をそのまま共有できるとは限りません。
AIが「経費にできる」と答えたら、そのまま申告できますか。
支出の事実関係と適用条件を確認してから判断します。回答の根拠になっている公式資料を自分でも読み、仕事との関係や元資料と照合してください。判断に迷うものは、提出前に税理士などに確認しましょう。
AIで整理した内容を持って相談できますか。
整理した表と、確認したい点を用意すると状況を伝えやすくなります。AIの回答だけでなく、元の帳簿や証拠書類も確認できるようにしてください。当事務所では、ご相談内容に応じたご依頼の範囲と料金を事前にご案内します。
収入と資料の状況から、ご相談ください
大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所では、個人事業・副業などの確定申告について、税理士本人が対応します。資料の整理状況や対象年を伺い、ご依頼の範囲と料金を事前にご案内します。初回相談は無料です。
根拠・参考資料
- Google:Gemini アプリの使用量上限とアップグレード
- Google:Gemini アプリのプライバシー ハブ
- Google:Gemini アプリでファイルをアップロードして分析する
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識
- 国税庁 No.2020 確定申告
- 国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
主な根拠:必要経費・家事関連費について所得税法第37条・第45条、所得税法施行令第96条。申告・記帳保存について国税庁の上記案内。AIの提供条件・データの取扱いについてGoogleの上記公式案内。2026年10月1日に確認した公表資料に基づく一般的な説明です。適用する制度・控除・期限は対象年や個別事情により異なります。