会計・経営 / freee導入ガイド 4

freeeの開始残高(期首残高)はどう設定する?前期の決算書から合わせる手順と、合わないときの直し方

公開日:
岡田健志(公認会計士・税理士)

開始残高は、freeeを使い始める会計期間の期首日時点の貸借対照表を、前期の決算書からそのまま写す作業です。合計が合わないときは「未確定勘定」が自動で立ち、そのままでは年度締めができません。差額を適当な科目で埋めるのではなく、部ごとの合計、抜け、マイナスの向き、内訳の順に原因を探します。

他社ソフトからfreeeへ移った直後の相談で多いのが、「試算表の期首がおかしい」「売掛金が二重に立っている」「決算のときに未確定勘定が消えない」という3つです。いずれも開始残高の設定に原因があります。この記事では、設立2期目以降の法人がfreee会計の開始残高を設定する手順と、残高が合わないときの直し方を、freee公式ヘルプに沿って整理します。新設法人(初年度)の設定と個人事業主の設定は対象外です。

開始残高とは、期首日時点の貸借対照表のこと

開始残高は、freeeを使い始める会計期間の期首日時点での資産・負債・純資産の残高です。前期の決算書(貸借対照表)または残高試算表をもとに設定します。当期の終わりに年度締めをすると期末残高が翌期の期首残高に繰り越されるため、開始残高の設定はfreee利用初年度に一度だけ行います。

開始残高として登録した金額は、貸借対照表の「期首」欄に反映されますが、仕訳帳には表示されません。消費税の税区分はすべて対象外として扱われ、領収書などのファイルも添付できません。期首日以後の取引を開始残高で登録しないよう、期首日を境に分けて考えます。freeeヘルプ「開始残高を設定する(設立2期目以降法人)」/同「開始残高設定を設定する(新設法人の場合)」

設定する前に:順番と手元にそろえる資料

freeeの初期設定は、①会計期間の設定 → ②口座の登録 → ③開始残高の設定の順に進めます。口座を先に登録しておかないと、開始残高で銀行口座ごとの残高を入力できません。freeeヘルプ「開始残高設定ウィザードで開始残高を設定する(設立2年度目以降)」

手元にそろえる資料は次のとおりです。

  • 前期の決算書(貸借対照表)
  • 勘定科目内訳明細書(預貯金等、売掛金・未収入金、買掛金・未払金・未払費用、借入金など)
  • 預金通帳またはネットバンキングの残高(期首日時点)
  • クレジットカードの利用明細(前期に利用し、当期に引き落とされる金額)
  • 借入金の返済予定表(長期・短期の区分と、1年内返済分の確認)
  • 固定資産台帳(開始残高とは別に、固定資産台帳への登録が必要)

3つの入力方法と選び方

[その他設定]→[開始残高]を開くと、入力方法を選ぶ画面が表示されます。

方法向いている会社注意点
ガイドに沿って入力(開始残高設定ウィザード)会計担当者が簿記に不慣れな会社。前期決算書のPDF・画像から読み取る機能があるプランによっては表示されない。完了後はウィザードに戻れず、以後は簿記形式で編集する
簿記形式で入力前期の貸借対照表を見ながら転記できる会社。取引先別・品目別の内訳を細かく付けたい場合資産は借方、負債・純資産は貸方に転記。合計が一致しないと未確定勘定が立つ
残高データをインポート旧ソフトから貸借対照表(残高試算表)のCSVを出力できる会社法人の貸倒引当金はfreeeでは資産のマイナス。旧ソフトで貸方プラスになっていればCSV上でマイナス表記に直す

税理士事務所が関与する場合は、前期の決算書と勘定科目内訳明細書がそろっているので、簿記形式で転記して内訳まで付けるのが確実です。freeeヘルプ「開始残高を設定する(設立2期目以降法人)」

簿記形式での転記の順番

  1. 資産の部を借方へ。前期貸借対照表の資産の部を、上から順に[借方科目を追加]で入力します。現金及び預金は、口座ごとに登録した銀行口座・現金に分けて入力します。
  2. 負債・純資産の部を貸方へ。買掛金、未払金、借入金、預り金などを貸方に入力し、資本金と繰越利益剰余金も貸方に転記します。
  3. クレジットカードは口座として。freeeではクレジットカードを1つの口座として扱い、決算書では既定で「未払金」に集計されます。前期に「未払費用」など別科目で計上していた場合は、勘定科目の設定で表示名を変えるか、簿記形式で口座残高に付け替えます。
  4. 貸倒引当金はマイナスで。法人では資産のマイナス勘定として、借方にマイナス金額で入力します。
  5. 内訳は「取引先」か「品目」のどちらか。売掛金・買掛金などに取引先別の内訳を付けると、前年度から繰り越した未決済取引が自動で作成され、当期の入金・支払と消し込めます。旧ソフトの仕訳をインポートして決済を登録する予定なら、保存時に「消し込み用のデータ(未決済取引)を削除する」を選び、未決済取引を作らない設定にします。
  6. 借方合計と貸方合計を確認して保存。

出典:freeeヘルプ「開始残高を設定する(設立2期目以降法人)」/同「開始残高設定ウィザードで開始残高を設定する(設立2年度目以降)」

残高が合わないとき:「未確定勘定」を消す確認の順番

借方と貸方の合計が一致しないまま保存すると、差額を埋める仮の科目「未確定勘定」が自動で追加されます。未確定勘定が残っていると正しい決算申告ができず、年度締めもできません。次の順に確認します。

  1. 部ごとの合計を前期貸借対照表と照合する。資産の部・負債の部・純資産の部のどこで差額が出ているかを先に絞ります。
  2. 抜けている科目と入力ミスを探す。長期借入金や預り金など、金額の大きい科目の入力漏れが典型です。前期決算書で▲が付いている金額にマイナスを付け忘れていないかも確認します。
  3. 読み取り機能を使った場合は、別の部に似た名前の科目が入っていないか確認する。
  4. 貸倒引当金の向きを確認する。法人は借方にマイナス。CSVインポートで貸方プラスになっていると差額が出ます。
  5. 内訳と科目残高のずれを確認する。取引先別の内訳の合計が科目残高と合わないと、保存時にエラーになります。
  6. それでも合わなければ、前期の貸借対照表そのものを確認する。前期の決算書が誤っていることもあります。作成した税理士に確認し、差額の原因を特定してから直します。

ヘルプでは、原因が見つからない場合に法人は貸方「役員借入金」で差額を埋める案内がありますが、当事務所では原因を特定するまで差額を科目で埋めることはお勧めしません。前期の決算書と一致しない開始残高は、当期の決算・申告にそのまま影響します。freeeヘルプ「開始残高の未確定勘定を解消する」

前期の売掛金・買掛金を回収・支払したときの登録

開始残高に入れた売掛金が当期に入金されたとき、その入金を「売上高」で登録すると、前期に計上済みの売上を当期にもう一度計上することになります。freeeが案内する処理は次の3通りです。

  • 取引先別の内訳を登録している場合。自動作成された未決済取引に対して、自動で経理または手動で決済(消込)を登録します。開始残高から作られた取引は「前年度繰越収益」「前年度繰越費用」という勘定科目で登録されています。
  • 内訳を登録していない場合。入金明細を勘定科目「売掛金」(支払なら「買掛金」)で取引登録し、残高を直接減らします。
  • 前受金や前払費用などの振替。振替伝票で仕訳を直接入力します(例:前受金→売上高)。

開始残高から作成した未決済取引を修正・削除するときは、先に決済を削除してから[開始残高を編集]→[内訳を登録]で行を直します。freeeヘルプ「開始残高に入力した内容を消し込む・振り替える」

freee利用2期目以降に、期首残高を直したいとき

freee利用の2期目以降は[開始残高]のメニューが表示されません。当期の期首残高は前期の期末残高から引き継がれるため、直す場所は前期側です。

  • 前期からfreeeで記帳していた場合。[決算申告]→[年度締め]から前年度の編集に戻り、振替伝票などで前年度を修正し、再度年度締めをします。すでに提出した前期の申告内容と食い違う修正になる場合は、修正申告や更正の請求の要否を先に検討します。
  • 前期はfreeeに登録しただけで記帳に使っていなかった場合。[その他設定]→[リセット]で不要な期間の取引を削除し、[年度締め]でfreee初年度まで巻き戻したうえで事業年度開始日を変更し、当期をfreee初年度として開始残高を設定します。

いずれも試算表・決算書・申告書に直接影響する操作です。期の途中で行う場合は、修正前の試算表と開始残高のエクスポート([開始残高インポート・エクスポート]→[エクスポート - freee形式])を保存してから着手します。freeeヘルプ「開始残高を設定する(設立2期目以降法人)」

よくある質問

Q.[その他設定]に[開始残高]が表示されません。

A.freee利用の2期目以降、または年度締めを済ませた後は表示されません。期首残高を直す場合は前年度の編集に戻って修正し、再度年度締めをします。

Q.銀行口座の期首残高は自動で入りますか。

A.開始残高設定ウィザードでは、口座と連携して取得した明細から期首日時点の残高が推測されます。ただし明細データがない場合や、期首以降で最も古い明細の日付が期首日から31日以上離れている場合は推測されないため、通帳や残高証明で確認して入力します。

Q.開始残高で登録した金額は仕訳帳に出ますか。

A.出ません。開始残高は貸借対照表の期首欄に反映され、仕訳帳には表示されません。税区分は対象外として扱われ、ファイルも添付できません。期首日以後の取引は開始残高ではなく取引として登録します。

まとめ:開始残高は「前期の決算書と同じ数字」を目指す

開始残高は前期の貸借対照表を写すだけの作業に見えますが、口座別・取引先別の内訳、クレジットカードの扱い、貸倒引当金の向きでつまずきます。合わないときは差額を埋めず、原因を見つけて直すことが、当期の決算と申告を守る近道です。

当事務所では、freeeの開始残高の設定と、前期決算書との照合、旧ソフトからの移行をまとめて支援しています。顧問契約のないスポットのご依頼も受け付けています。

freee導入・運用支援について詳しく見る

大阪市福島区を拠点に、オンラインでのご相談にも対応しています。初回相談はこちら。

※本記事は2026年9月24日時点のfreee公式ヘルプに基づく一般的な説明です。画面名やメニューはプランや時期により異なることがあります。実際の設定は、契約プラン、会計期間、前期の決算内容を確認して行ってください。

お気軽にお問合せください

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

岡田けんし
公認会計士・税理士事務所

住所

〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島5丁目13-18 福島ビル422号室

アクセス

福島駅から徒歩1分

受付時間

10:00~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日