夜のお仕事と確定申告
夜のお仕事の家賃・スマホ代は経費になる?仕事と私用を分ける家事按分
公開:2026年11月6日 / 執筆:公認会計士・税理士 岡田健志
2026年分を念頭に、2026年11月6日時点の公表資料を確認しています。申告画面は利用時に最新案内をご確認ください。
夜のお仕事でお客様やお店との連絡にスマートフォンを使ったり、自宅の一部で仕事の記録を整理したりすると、家賃や通信費を経費にできるのか迷うことがあります。生活費と仕事の費用が混ざる場合は、支払った全額を一律に経費にせず、業務に必要な部分を根拠に基づいて整理します。
この記事は2026年11月6日時点の公表資料を基に、事業所得や業務に係る雑所得などの報酬を想定して説明します。給与所得の場合、以下の必要経費の整理をそのまま当てはめることはできません。所得区分や実際の使用状況は個別に確認してください。
家事按分とは、仕事に必要な部分を分けること
仕事と生活の両方に関係する支出を「家事関連費」といいます。必要経費として確認できるのは、業務に必要であることが明らかに区分できる部分です。収入を得ていることだけを理由に、住居費や通信費の一定割合が自動的に認められるわけではありません。
| 確認する順番 | 確認したいこと |
|---|---|
| 1.誰が支払ったか | 契約者・支払者・明細を確認する |
| 2.何に使ったか | 業務の内容と、私用との関係を記録する |
| 3.分けられるか | 使用面積・時間・利用明細など、費用に合う基準を検討する |
| 4.証拠が残るか | 請求書・領収書と、割合を決めた資料を保存する |
家事費と必要経費の区分については、国税庁の必要経費の知識を確認してください。申告の全体像は自分で確定申告を進める手順にまとめています。
家賃は、自宅で何をしているかから確認する
契約書と家賃の支払記録を確認し、自宅のどの場所を、どの業務に、どれくらい使っているかを整理します。仕事専用で使う場所がある場合でも、部屋の面積だけで決めず、実際の使用状況や業務との関係を確認します。生活と共用の場所については、私用部分を除ける根拠があるかも重要です。
たとえば、報酬の明細や帳簿を整理する場所があるときは、間取りや使用場所、使った期間と用途を記録します。自宅で連絡を取っているだけで、自宅全体の家賃を経費にできるとは限りません。家族が支払っている場合や、お店が住居費を負担している場合は、自分が実際に負担した額と契約内容も確認しましょう。
スマホ代は、業務連絡と私用を分ける
スマートフォンでは、月々の基本料金、通話料、データ通信料、端末代などを明細で分けます。仕事専用と私用が明確に分かれるものは、利用内容と請求を対応させます。同じ回線を仕事と私用で使う場合は、通話・通信の利用実態を調べ、区分できる根拠を残します。
たとえば、明細で仕事の通話だけが特定できる場合、その通話料を確認します。基本料金など個別に分けにくい費用は、実際の利用状況に即した合理的な基準を検討します。連絡先の人数やフォロワー数だけで、業務使用割合が決まるわけではありません。端末本体は取得価額や使用期間、税務上の取扱いも別に確認します。
架空の例:月額料金をどう分けるか
次は計算方法を示す架空の例です。業務のための使用が確認でき、利用実態の記録から仕事に対応する部分を30%と整理できたと仮定します。この割合は目安や一般的な基準ではなく、個別の事情によって異なります。
| 内容 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| スマホの月額料金 | 請求明細で確認 | 6,000円 |
| 業務に対応する部分 | 6,000円×30% | 1,800円 |
| 私用に対応する部分 | 6,000円−1,800円 | 4,200円 |
この例では、業務に対応する1,800円を必要経費として検討し、私用分4,200円は含めません。使い方が途中で変わったときは、変更前後の状況を分けて確認します。領収書や請求額だけでなく、30%とした理由と確認資料も残してください。
記録は「金額」と「割合の根拠」の両方を残す
請求書・領収書・通帳やカードの支払記録とともに、仕事の内容、使用した場所・期間、業務用とした割合、計算方法を記録します。記録には実際の状況を反映し、お客様の個人情報などは不要に書き残さないようにしましょう。
資料が不足している場合は、確認できた事実と、追加確認が必要な事項を分けます。推測した割合を根拠なしに確定せず、契約書や明細を取り寄せるなどして確認しましょう。資料がないときの整理と夜のお仕事の経費一覧も参考になります。
申告前に、重複と所得区分を見直す
給与所得の場合と、事業所得・業務に係る雑所得の場合では、所得の計算方法が異なります。報酬を受け取っていても、明細の名称だけで所得区分を決めず、契約と実際の働き方を確認します。白色申告・青色申告などによっても確認事項が異なります。
お店がすでに負担した費用を自分の経費に含めていないか、支払明細の天引きと別途支払った費用を二重計上していないかも確認しましょう。白色申告の収支整理では、報酬・源泉徴収・費用・手取りを分ける例を紹介しています。
自分で整理し、迷う部分だけ相談する
まずは家賃・スマホ代の家事按分と家事按分ノートを参考に、分かる資料から整理できます。ツールは記録の補助であり、割合や経費の可否を自動で確定するものではありません。所得区分や業務との関係に迷う場合、また申告書の作成を依頼したい場合は、夜のお仕事の確定申告・税金相談をご覧ください。対応範囲と料金は事前にご案内します。