請求書が発注内容と違ったら?社内確認・取引先への問い合わせ・再照合の手順
発注書と請求書の数量・単価に違いが見つかったときは、最初に、その違いが何によるものかを確かめます。分納、発注後の条件変更、対象期間の違いなど、請求書の誤り以外にも理由が考えられるためです。
この記事では「社内で事実を確認する→取引先に照会する→回答や訂正版を再照合する」という順番を、メール文例と確認待ち一覧で紹介します。会社名・番号・数量・回答はすべて架空の説明例です。
照合する項目から確認したい方は、発注書と請求書の数量・単価を見比べる手順をご覧ください。
1.取引先に連絡する前に、社内で確認する
発注10個に対して請求8個だった場合、まず発注担当者に、今回何個が納品され、社内ではどこまで確認できているかを聞きます。8個だけ納品された分納であれば、今回の請求8個と整合する可能性があります。
| 違いが見つかった項目 | 先に社内で確認すること |
|---|---|
| 数量 | 今回と過去の納品数量、請求済み数量、未納分の有無 |
| 単価 | 発注後の変更について、合意した記録があるか |
| 対象の発注 | 発注番号・明細番号、品目、担当部署が対応しているか |
| 請求書の版 | 訂正版や差替えの案内が届いていないか |
同じ品目の別発注や、前回分と今回分を取り違えていないかも確かめます。確認できた事実、まだ分からないこと、根拠にした原本を分けてメモに残すと、取引先への質問を絞れます。
2.確認メールは「事実」と「質問」を分ける
社内確認で分からない点が残ったら、発注番号・請求書番号・対象明細を示して取引先へ照会します。「請求が間違っている」と決め付けず、手元の記録と質問を具体的に伝えます。
次は、発注10個のうち8個の納品を社内で確認し、今回の請求も8個だった場合の文例です。記載した事実を原本と確認し、宛先・番号・希望日を実際の内容に置き換えて使います。
件名: 【確認のお願い】発注例-01に対する今回のご請求数量について
[仕入先名]
[ご担当者名]様
いつもお世話になっております。
[自社名]の[氏名]です。
請求書「請求例-01」の下記明細について、確認をお願いいたします。
・発注番号:発注例-01
・対象明細:商品A
・発注数量:10個
・当社で今回の納品を確認した数量:8個
・今回の請求数量:8個
今回のご請求は、今回納品された8個分という理解で
相違ないでしょうか。
あわせて、残り2個の納品予定とご請求予定をお知らせください。
当社の記録と異なる点がございましたら、
該当する明細とその内容をご教示いただけますと幸いです。
[希望日]までにご回答いただけますでしょうか。
確認にお時間がかかる場合は、回答の見込みをお知らせください。
よろしくお願いいたします。
[自社名]
[氏名] 単価が違う場合も、まず「発注書と請求書で記載が異なる明細」と「確認したい条件」を伝えます。変更の合意が社内に残っているか分からない段階では、社内確認を先に進めます。
メールに原本を添える場合は、その照会に必要な範囲を選び、別の取引先の情報や関係のない明細が含まれていないかを確認します。AIを使う場合も、送信前に宛先・番号・添付・質問内容を担当者が確かめます。
3.確認待ち一覧で、担当者と次の対応を残す
確認待ち一覧には、相違だけでなく「誰が、誰に、何を確認し、次に何をするか」を残します。
次は、照会を始めた時点の一覧の見本です。社内確認中と取引先の回答待ちを区別しています。
| 管理番号・対象 | 確認できた事実/未確認の点 | 担当・照会先 | 状態 | 次の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 確認-01:発注例-01/請求例-01・商品A | 発注10個、今回納品8個、今回請求8個。残り2個の予定は未確認 | 経理担当→仕入先担当者 | 回答待ち | 今回分の認識と残り2個の納品・請求予定を確認 |
| 確認-02:発注例-02/請求例-02・商品B | 発注単価と請求単価が異なる。変更合意の記録は未確認 | 経理担当→発注担当者 | 社内確認中 | 条件変更の記録を探し、必要なら取引先へ照会 |
| 確認-03:請求例-03・商品C | 請求書に発注番号の記載がなく、対応する発注は未確定 | 経理担当→購買担当者 | 社内確認中 | 発注担当と対応する明細を確認 |
実際の一覧には、原本の保存先、照会日、回答希望日、回答日も記録します。回答日が空欄なら「未回答」と分かるようにし、希望日を過ぎたものは担当者が次の連絡を判断します。
回答を受けた後の記録例
確認-01について、仕入先から「今回は納品済み8個分の請求で、残り2個は次回納品後に請求する」と回答があったとします。
| 記録する項目 | 確認-01の記録例 |
|---|---|
| 回答内容 | 今回8個分を請求。残り2個は次回納品後に請求予定 |
| 根拠 | 回答メール、発注例-01、今回の納品・検収記録、請求例-01 |
| 再照合 | 今回納品8個・今回請求8個を確認。発注残2個は残件として記録 |
| 状態 | 今回の請求は照合済み・承認待ち |
| 次の対応 | 今回分を社内の承認手続へ回す。残り2個の納品予定を別途管理 |
「回答が届いた」と「原本との再照合が済んだ」は分けます。今回の請求を確認できても、未納分まで完了扱いにしないことがポイントです。
4.訂正版が届いたら、対象明細をもう一度照合する
確認の結果、訂正版が届いた場合は、どの旧版を置き換えるのか、数量・単価・合計のどこが変わったのかを確認します。旧版、訂正版、取引先の回答を関連付けて残し、一覧では処理対象の版が分かるようにします。
再照合では、今回の対象明細だけでなく、過去の請求との重複や、未納・未請求の残りも確認します。すでに会計への登録や支払準備を進めている場合は、担当者に訂正内容を引き継ぎ、旧版と訂正版を二重に処理しないようにします。
支払期日が近い場合は、未解決の点と期限を社内の責任者へ伝え、取引先への連絡を含めた対応を確認します。支払方法や支払時期の変更は、責任者の判断と必要な合意を経て進めます。
5.AIには下書きと一覧整理を任せ、人が確認する
AIは、照合結果のメモから質問を整理したり、メールの下書きを作ったり、回答から一覧の更新候補を作る補助に使えます。事実と推測が混ざらないよう、確認済みの内容と未確認の点を分けて渡します。
例えば、架空のメモを使って次のように依頼します。
確認済みの事実と未確認の点を分け、取引先への確認メールを下書きしてください。未確認の納品日や合意内容を補わず、請求書の誤りや支払の可否を断定しないでください。回答を受けた後も、一覧には更新候補を示すだけとし、確認済みへの変更は担当者が原本を照合してから行います。
AIに渡す情報と利用環境は事前に確認します。実資料を入力する前に、この記事のような架空例で、必要な質問と確認待ちが残るかを試せます。メール文面の作成と実際の送信は別の工程として、送信前に担当者が確認します。
不足資料を依頼する場面は、資料依頼メールをAIで下書きするときの確認事項も参考にしてください。
自社の確認の流れを整えたい方へ
まずは、相違が見つかった請求について「社内確認→照会→再照合」の担当と記録の置き場所を決めてみてください。
請求書業務を例に、経理業務の整理と試行の進め方を確認できるAI導入支援の資料もご用意しています。請求内容を事務所で確認した後、PDFをメールでお送りします。役割分担や進め方から相談したい方は、AI導入支援の相談欄をご利用ください。
執筆者:岡田 健志|公認会計士・税理士