税務・確定申告

夜職の確定申告|天引きされていても、申告は必要?

公開日:
岡田健志(公認会計士・税理士)

「毎月、税金は引かれているはず。確定申告も自分でする必要があるのでしょうか?」

夜職の収入について、まず確認したいのがこの点です。

結論からいうと、税金が天引きされていても、確定申告が必要になる場合があります。 給与として受け取っているのか、報酬として受け取っているのか、ほかにも収入があるのかによって扱いが変わります。

「引かれているから大丈夫」と判断する前に、明細を見ながら順番に整理してみましょう。

まず、何が引かれているかを確認しましょう

明細の差引額は、すべて税金とは限りません。衣装代や送迎代などが差し引かれている場合は、税金とは分けて確認します。

給与や対象となる報酬を支払う際に、支払者が所得税などを差し引く仕組みを「源泉徴収」といいます。ただし、同じ夜職でも、仕事内容や支払いの性質によって取り扱いは異なります。国税庁「ホステス等に支払う報酬・料金」

まずは、次の3つを確認してください。

  • 差し引かれる前の金額はいくらか
  • 税金として引かれている金額はいくらか
  • それ以外に、何の費用が引かれているか

明細の「税金」「控除」といった表示だけでは内容が分からない場合は、支払元に内訳を確認しましょう。

「給与」か「報酬」かで、確認することが変わります

給与として受け取っている場合

勤務先で年末調整が行われ、税金の精算が済んでいれば、確定申告が不要となる場合があります。

ただし、掛け持ちで複数の勤務先から給与を受け取っている場合や、給与以外にも所得がある場合などは、別途確認が必要です。「年末調整をしてもらった」という理由だけで、すべての収入について申告が不要になるわけではありません。国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」

報酬として受け取っている場合

給与ではない報酬は、給与の年末調整では精算されません。1年間の収入や必要経費、控除などを整理して、確定申告が必要かを判断します。

確定申告は、1年間の所得に対する税額を計算し、源泉徴収された税金などとの過不足を精算する手続きです。報酬から税金が引かれていることと、申告が不要であることは別の話です。国税庁「確定申告」

なお、「夜職だから全員が個人事業主」ということではありません。給与か報酬かは、呼び方だけで決めず、契約内容や実際の働き方を確認します。

手取り額だけで収入を集計しないこと

口座に入った金額や、現金で受け取った金額だけを足しても、申告に必要な収入を正しく把握できるとは限りません。

給与所得の計算は、原則として源泉徴収される前の給与収入をもとに行います。報酬についても、税金などを引く前の収入と差引額を分けて整理することが大切です。年末にまだ受け取っていない報酬も、契約等に応じてその年の収入になることがあります。国税庁「給与所得」「収入金額とその計算」

また、差し引かれた費用が、そのまますべて必要経費になるわけではありません。事業所得や雑所得の計算では、仕事との関係や私生活での利用を確認します。私生活と仕事の両方に関係する支出は、業務に直接必要な部分を明確に区分できることが必要です。国税庁「必要経費の知識」

給与の場合は、原則として実費を必要経費にする方法ではなく、給与所得控除を使います。一定の要件を満たす特定支出控除は別の制度です。国税庁「給与所得」

申告すると、税金が戻ることもあります

源泉徴収された税金などが、1年間の所得から計算した税額より多ければ、還付を受けられる場合があります。申告義務がない場合でも、納め過ぎた税金の還付を受けるために申告することができます。国税庁「還付申告」

ただし、「夜職なら必ず戻る」「引かれた金額が全部戻る」ということではありません。反対に、計算の結果、追加の納税が必要になる場合もあります。

税金ではない衣装代や送迎代などが、所得税の還付として返ってくるわけでもありません。

相談前に用意しておくとよいもの

最初からすべてを整理しきる必要はありません。まずは、手元にある資料を集めてください。

  • 毎月の給与・報酬の明細
  • 給与の場合は源泉徴収票、報酬の支払調書が手元にある場合はその書類
  • 振込履歴や、現金で受け取った金額の記録
  • 仕事で支払った費用の領収書と、用途が分かる記録
  • 契約書、ほかの勤務先や副業の収入が分かる資料

資料が足りない場合は、何が不足しているかを確認するところから始めましょう。報酬の支払調書が手元にないことだけを理由に、申告できないと考える必要はありません。

なお、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要となる場合があります。所得税と住民税は分けて確認してください。大阪市「市民税・府民税・森林環境税に関するQ&A」

まずは、申告が必要かを確認するところから

「何が引かれているのか分からない」「自分の収入が給与か報酬か分からない」という段階でも、相談の出発点になります。

大阪市福島区の岡田健志公認会計士・税理士事務所へ、現在の状況をお聞かせください。

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※この記事は、国内に居住する個人の所得税・復興特別所得税を中心とした一般的な説明です。個別の申告要否や税額は、対象年、契約・勤務の実態、ほかの所得、適用できる控除などを確認して判断します。

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